魔境の復讐 幕間
最近流行のカフェテラスがお洒落な喫茶店がある。
其処にはいつの頃からか一つの噂が囁かれるようになった。
「ねぇ、伝説の彫金師って知ってる?」
「なにそれ?アプリの新キャラ?」
「違う違う、神谷のサテンに出没するらしんだけどね。その人のアクセ買うと人生変わるってさ」
「へぇ、あのお兄さんかな?ちょっとのぞいてみようよ」
噂話をしていた少女達がカフェのテラスで商売をしている青年に声をかける。
「すいませ~ん、お兄さんが伝説の彫金師ですか?」
「は?伝説かどうかは知らないけど自作のアクセ売ってるから彫金師ではあるよ」
細目の青年は微笑みながら冷やかしの相手をする。
「ねぇ、その黒いのって鏡ですか?」
「そう、鏡だよ。でも、ただの鏡じゃないんだな。これが」
青年は自慢げに鏡に光を当てると壁にそれを投影する。
そこには、子供を抱いた女性のような形が移る。
「ええ~、何これ不思議~」
「こいつはね、魔鏡って商品だ」
「魔鏡?なんか物騒な名前ですね」
「鏡ってのは石や金属を平らに磨いて作るんだけどな、偶然模様が入る事があるんだ。昔の人ははそういった鏡を魔鏡と呼んだのさ」
「へぇ~、おいくらですか?」
「ああ、悪いね。コイツは売約済みなんで売れないんだ」
「ええ~、じゃぁ飾らないで下さいよ~」
「ははは、コイツには意志があってね。俺の言う事は聞かないんだよ」
「なにそれ~からかわないでよ~」
「ははは、じゃぁ。これなんかどうかな?安くしておくよ」
「ん~綺麗なんだけどな~ちょっと考えさせてください」
そういって少女達は歩き去っる、その後ろ姿を見ながら青年は呟く。
「意志をもつ道具なんてのはいくらでもあるんだぜ。さて、君は誰の元にいくのかな」
青年が魔鏡を空に投げると、それは跡形も無く消えた。




