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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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魔境の復讐 3

夕暮れ時の下総立明館学園、最新の設備が揃ったA棟・一般的な設備のB棟・明治時代に建てられた特別棟の3棟からなる小・中・高一環のマンモス高である。


 そのB棟の屋上に数人の男子生徒の姿があった、その顔には打撲傷を隠すように湿布が張られ一目で喧嘩の敗北が見てとれた。


 彼らはB棟の住人、高校からの入学者が殆どで小・中からの生徒は殆どいない。

 彼らはスポーツ推薦で入学するも思った成績も出ず鬱屈としていた。


 「知らないおっさんには伸されるし、明には歯が立たないし。どうして俺達こうなったんかね?」


 脇を短く刈り上げて残りを逆立てた背が小さめの学生が呟く。


 「やっぱあれじゃね?綾子に乗せられたのが悪かったんじゃねぇの?」


 黒髪をオールバックにした体格のいい学生がそう答える。


 「そんな事いっても、丸之内に逆らったら学校でいきてけんだろうが」


 長髪を金色に染めたイケ面風の学生が更にそれに答える。


 「そうえば、佐藤と伊藤はどこいったんだ?」


 「ん?便所じゃないの?アイツ等本当にいつも一緒だよな」


 「名前も後半一緒だしな、そう考えるとなんか顔も似てるような気がするな」


 三人は笑いながら先程までの鬱屈した気分が晴れていくのを感じていた。


 「そもそもさ、ここはお金持ち様の学校だぜ。本物の不良なんていないだろ」


 「え?お前もしかして高校デビュー?」


 「え?もしかしてお前たち生粋の不良なの?それで俺に負けるって可笑しくない?」


 「い、いや。俺達だって。こ、高校デビューだし」


 「あははは、肩肘張る必要なんてないんだな。是からは気楽にいくか?」


 金髪の学生はお遊戯を楽しむ子供の様に無邪気に笑う。


 バン!


 その笑いをかき消す様に乱暴にドアが開かれる。

 不審に思い3人の学生が目を向けた先には友人の伊藤が青ざめた顔で立っていた。


 180cmもある身長、空手で鍛え上げた筋肉、それらを兼ね備えた伊藤が青ざめる様なモノなど数すくないのではないか?


 ましてや、学校というせまい空間にそんな人間などいない筈だ。

 不審に思いながら3人は伊藤に近づいて歩いて行く。


 「伊藤?如何したんだ?佐藤は一緒はじゃないのか?」


 「た、助けて。佐藤が、か・・・・・・」


 何かを言いかけた伊藤が勢いよく何かに引っ張られたようにドアに吸い込まれていく。


 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ガン! ゴン! ゴ! ガ! ゴトン! バタン!  ギィィィィィ!


 階下から恐らく伊藤が階段に叩き付けられているであろう音が聞こえて来た。


 3人は息を呑み込んだ後に無言で見つめ合うと誰とも無しに音が聞こえていた階下に向かい歩き出す。


 途中の階段には所々に伊藤の血と思われる物が残っていた。

 量から見て出血量は多くはない事を確認した3人は軽く安堵の溜息吐き。いよいよ階下へと辿り着いた。


 血痕は引きずられる様にトイレへと続いていく。

 それを辿り遂には半開きのドアの前にたどり着くとギィィ!と、音を鳴らしながら扉を開く。

 そして、血痕の行き着いた先はトイレの壁に掛けられた鏡だった。

 まるで中に引きずりこまれたかのように続く血痕を不思議そうに覗きこむ。

 

 其処には、苦痛に顔を歪める伊藤と佐藤の姿があった。

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