晴着の憂鬱 プロローグ
古銭の誘い読了有難う御座いました。前回までの部分で、あるサイトのホラーコンテストに参加しています。
その時に、文章数の不足を指摘された為に、第2弾を書いてみたのが今回の作品です。
宜しければ、読了までお付き合いください。
良く、晴れた日だった、鮫島は、空を眺めながら呟く。
「夏の空 カラリとなるは 我が財布」
俳句調に言ってみたものの、格好がつく筈がない。
鮫島は、正直焦っていた。
仕事が無いのは、実を言うと良くある事だが、今回は、いつもとは事情が違っていた。
そう、渡部がしばらく留守にしているのだ。
本来なら、予定にはなっかったのだが、実家でトラブルがあったらしい。
「ちょっと、不味いぞ、腹が、へってきた」
渡部が出かけてから三日ほどが経つ。
冷蔵庫の中身は、空になり、財布の中は元よりカラであった。
「このままでは、干上がってしまうな。背に、腹は、変えられないか」
鮫島は重い腰を上げるとゆっくりと動き出す。
「困った時は、お互い様、と、言うからな。流石に、嫌がりはしないだろう」
鮫島は、部屋から出ると、鍵もかけずに階段を降りる。
そこで、ふと気がついた。
「オイオイ、入り口に休業の札がかかってら。それは、誰も来るはずないわな」
そう呟く視線の先には、扉の前で、当たりをウロウロしている、挙動不審な一人の男性がいた。
それとなく見たその男と視線があってしまった。
目の前にいる以上は逃げる事は不可能だった。
仕方なく、鮫島は声を掛ける事にした。
鮫島は、扉を開けながら一言聞く。
「お客さん? 店主は外出中だから休業だよ」
「いえ、実は上の探偵事務所に相談に来たんですが。どうやら休業中らしく」
グゥゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
その時、まるで地獄の底から呻くような、若しくは大地を揺るがすような轟音が鳴り響いた。
驚いた男性が音のする先に視線を向ける。
それは、驚くことに、鮫島の腹から鳴り響いていたのだった。
「なんてこった! よりによってこのタイミングかよ......」
ある、夏の日の出来事だった。




