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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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古銭の誘い 23

 鮫島は時間を確認する。

 時計の針は13時を回っていた、どうやら3時間は経っていた様だ。

 鮫島は思い出した様に民族歴史博物館を見据える。


 「こいつは、急がないとな」


 鮫島は鬼気迫る表情で走り出す。

 トイレに向かって。


 渡部は民族歴史資料館の受付に頼みある一冊の書籍を借りて読んでいた。

 ここでは調査資料の販売をしているがこの資料は販売中止になったという事であった。

 学生時代に郷土史の研究の為に読んだ事があったのを思い出したのだ。


 「後藤さんの夢に出てくる光景が気になるんですよね」


 渡部はこの付近で過去から現在にかけて建造された洋館の資料を調べていた。

 是までに建造された本格的な洋館の数は少なく、10件程度のみだった。

 その中で後藤が言っていた赤レンガで造られた洋館は2件。

 隣町のワイン作りを目的とした建物とこの町の農場経営を目的としたものだ。

 

 「この内の一軒は現存している建物ですね」


 隣町の建物は割りと有名なもので観光地にもなっている。

 レストラン経営などもしていて料理と自家製ワインが楽しめる事でも話題になっていた。


 「ふむ、美味しそうですね。この案件が片付いたら二人にご馳走してあげましょうかね」


 彼がこういう言い方をする時は大体自分が行きたいだけである場合が多い。

 渡部はもう一軒の情報を見る。


 どうやら此方は今現在は廃墟となっている様だ。

 農場経営を目的として立てられた様だが資料によると貴族趣味の傾向が強く利益度外視の経営だったようだ。

 こちらは相続に当たって所有者が細分化された事によりその存続が維持出来なくなり放棄されたと思われる。

 と、いう事であった。


 「そうか、是だったのか」


 渡部は今回の調査を始める前から気になっていた事があった。

 それは、後藤が相談に来る前に一度接触した時の事であった。

 後藤が万年筆を買いに来た時だった、その際に渡部は見たのだ。


 彼の後ろに立つ女の姿を。

 その女は中世ヨーロッパの貴婦人の様な服を着ていた、その時点で人間ではないと渡部は思っていた。

 見えていない振りをしながら渡部は金を受け取り後藤に万年筆を手渡した。

 後藤が万年筆を受け取るとその女は満足そうな顔をして歩いて帰って行ったのだ。

 突然現れた森の中の洋館に向かって。

 渡部は資料の中の写真を見つめる。

 そこにはあの日渡部が見た洋館が写っていた。

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