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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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古銭の誘い 14

 女は名刺をマジマジと見つめた後に口を開く。


 「探偵ですか。立ち話もアレなんでどうぞ」


 二人を室内に招き入れる。

 鮫島と渡部は部屋に上がる事にした。


 彼女の部屋は物が少なく整理されていた。

 奥に折りたたみ式のテーブルがあり、その上にノートパソコンと手帳と万年筆が置かれていた。

 それ以外にあるものと言えば本棚と冷蔵庫くらいのものだった。

 それ以外はハンガーにスーツとスカジャンが搔けてあるくらいだ。

 他のものに比べて万年筆だけがやたらと高価な物である事が鮫島の印象に残った。


 「お一人ですか?随分と無用心では?」


 「一人暮らしって事がですか?それとも部屋に入れた事がですか?」


 問い返され鮫島は表情を引きつらせる。


 「女性一人で男二人上げるのは物騒でしょうよ。ん?一人暮らし?」


 「ええ、独り者ですが。それが何か?もてない事は罪なのでしょうか?お答え下さい。」


 「え!いや、そうじゃなくて。ちょっと、先生!助けて・・・・・・」


 予想外の展開に慌てて助けを求める鮫島、渡部は一頻り楽しむと助け舟をだす。


 「いやね、彼はどう見てもスケベそうな男を部屋に入れたら襲われやしませんか?って言ってるんですよ」


 「あぁ、そういう事ですか。今まで生きてきてそんな危険に会いそうになった事は無いですよ。モテないし」


 「いえいえ、十分魅力があると思いますよ僕は」


 「それがお世辞だってことくらいは分かりますよ。一応、物書き志望ですし。それにやられたらやられたで、ネタの肥やしになるでしょうよ」


 女の返答には流石の渡部も顔を引きつらせた。


 「まぁ、それに。犯罪を犯そうと思う人間には思えないですね。名刺に探偵って、余りにも怪しいでしょう?なんかやる気ならもっとまともな職業を選ぶでしょうし。それに貴方達は目立ち過ぎる、犯罪には向きませんね」


 「考えがあってのようだが。間違ってたらアウトだろうよ」


 鮫島は呟かずにいられなかった。


 「まぁ、いいですよ。で?何が聞きたいの?」

 

 「こちらに後藤真二さんはいないのですよね?」


 話の流れから察した鮫島が話を切り出す。


 「いないわね、見ての通り一人暮らし。なんなら彼氏がこの部屋にいた事すらない。それどころか男友達もいないわよ」


 彼女はそう言って自虐的に笑ってみせた。 

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