古銭の誘い 13
現在の時間は14:00頃、鮫島と渡部は車で5分程度の後藤の自宅に向かっていた。
「まったく、ドサクサに紛れて僕を亡き者にしようとは何たる悪辣」
「いや、違うって。俺はそこまで頭が回ってなかっただけだよ」
「それもそれで問題でしょうよ。僕は君の頭の悪さのせいで厄介な事になる可能性があったのですよ?いや巻き込まれてますね」
「いや、それは恐らくは大丈夫だろう。話を聞く限りでは現象は段階的に起きているようだ、いきなり消されるとは考えにくい。若しくは発生に至る何らかのトリガーがあるのかも知れないな」
「結果的に僕で試した訳だね?」
「悪かったよ。でも、いきなり俺が消えたらなんともならんだろ?」
「僕が消えてもなんともならんと思いますがね」
互いを牽制した会話をしていると目的地に辿りついた。
そこは何の変哲も無い普通のアパート、構造的にワンルームといったところだろう。
聞いていた部屋番号を探し確認する、表札には竹内と書かれていた。
「ん? 表札が違うぞ? どうする?先生」
「まぁ、取りあえずノックしてみなさいよ」
鮫島は扉をノックする。
「は~い、はいはい! 今出ますよっと!」
掛け声と共にドアが開かれる。
そこにいたのは、20代前半から半ばくらいの若い女性だった。
髪は長くストレートで腰の辺りまで伸びている。
大きめの眼鏡をかけている為に野暮ったく見えるが容易にその素顔は愛らしいものである事が想像できた。
ジャージ姿のその女は呆気に取られたように立ち尽くす。
「どうも、可愛いお嬢さん。私こういうものです、ちょっとお話いいですか?」
鮫島は一瞬嘆息した後に懐から名刺を出し挨拶する。
「で、こいつは助手の渡部靖です」
「まぁ、どっちが助手かってレベルですがねこの人は」




