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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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古銭の誘い 11

 鮫島はデスクの上の円銀を眺めながら思案する。


 「さてと、どうしたもんかね?」 


 独り言を呟きながら事の次第を整理する。


 後藤が彼女が消えたと助けを求めてきたのが午前の事、今は昼過ぎだ。

 彼女の捜索を請け負ったがヒントとなるものは何も無い。

 この硬貨が巻き起こした現象である事は鮫島には分かる。

 何故かと問われれば答える事は出来ないが事実であるからしょうがない。


 「まずはコイツの出所を調べないとな」


 鮫島は階下に降りるとレジで暇そうにしている店主に声をかける。


 「おう、渡部様よ。コイツの出所を調べられないかね?」


 「探偵の癖にいきなり僕に頼るのかい?」


 「は! 俺が偽者だって事はアンタが一番知ってるでしょうが」


 鮫島はお手上げのポーズを取りながら渡部にふざけた笑みを投げる。


 「まぁ、いいですけどね。取り分は活躍によって分割ですよ」


 渡部は眼鏡をクイっとやりながら問いかけてくる。


 「で、どこまで分かってるんだい?」


 「こいつが製造されたのが明治3年~明治5年の間、製造枚数は360万枚だと言われているトコまでだな」


 「つまりは僕に全て投げるという事だなコレクターなら知ってて当然のレベルじゃないか」


 「それでいいんだよ、詐欺師なんてのは素人が納得する程度の知識があればそれでいい。嘘を本当にするのは渡部大先生様の役目でしょうよ」


 鮫島はおどけた仕草をしながら渡部に言った。


 そう、彼等は二人で一組の探偵である。

 鮫島はまじないや地方伝承などに強い祈祷師の家系である、平たく言えば土着形の霊能者だと思えばよい。

 彼の特技は物に宿る力を引き出すと言う触れ込みである。

 つまり、元々特別な力がある道具がないと何も出来ないのである。

 が、是までに多くの超常現象を収めた実績がある。

 証明できないのが痛いところではあるが。


 「お得意の占いとかその硬貨自体から何かできないのかい?」


 渡部は尋ねる。


 「占い用の水晶は砕け散った、神隠しを起こす道具を不用意には使えない、以上!」


 鮫島はぶっきらぼうに言い返した。


 「仕方無いですねちょっと調べて来るので店番頼みましたよ」

 言うと渡部は立ち上がり出かけて行った。


 渡部と共に店舗入り口に行き彼を見送った後に看板を準備中にする。


 「客なんてこねぇよ」


 鮫島は呟きながら事務所に戻ると昼寝を始めた。

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