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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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古銭の誘い プロローグ

以前に乗せていた古銭の誘いのブラッシュアップ版です。

前回から、エピソードを追加しておりますので気になる方はお読み下さい。

 後藤真二は今日も辟易としていた、毎日の様に通う寂びれたパチンコ店。

何ともなしに遊戯を始めたのが午前10時の頃だったと思う、投資は5000円程度と少なく済んだが出玉は箱が1つと半分程度だった。


 「プラス域ではあるが止めるにはちょっと少ないか」


後藤は呟きあたりを見回す、それとなく隣の島に目をやると空台の札が差してあった。

近づき台を確認する、データはここ数日下がりっぱなしである。

なんとなくその台を気に入った後藤は持ち玉を移動させると席につく、所謂萌え台という奴だろうか?

台のスペック的にはミドルタイプ、大当たりの後に確立変動という機能があり出だまが加速するタイプのようだ。


 この手の台は大型店には結構な数が導入される、しかし高齢者をターゲットとしているこの店にはちょっと変わった組み合わせだ。少し前に話題になった機種だと記憶している。


 玉を台に投入しグリップを握ろうとし、ふと気付いた。

位置を固定する為にに小銭を出す、だが既に先約がいた。


 「前の人のかな? 既に調整済みみたいだしこのまま回してみるか」


 後藤はグリップを握ると遊戯を開始する。

すると、玉は飲み込まれる様にスタートチャッカーに飲み込まれていった。

面白い程回転する台に後藤は気分を良くした、このホールは高齢者から巻き上げる事を前提にしたようなふしがあり店内も若干薄汚れており経営を頑張ってる様にはとても見えない。


 普段ならば今回の半分も回転しない所だがどういうことか今日は非常に調子がいい。


 「今日は当たりを引いたかな?」


 程なくして画面が煽りを始める。


 「お、まだ100回転もしてないけど。これはきたかな?」


 独り言を呟き画面を食い入るように見る、ガラスに人影が写ったように見えたので思わず振り返る

 が、そこには誰もいなかった。


 「気のせいか」


 視線を戻すと、そこには右打ちと表示されていた。


 「当たる瞬間見逃しちゃったよ、もったいない」


 呟きつつ姿勢を戻した




 結果を言えば大勝だった、10箱以上のドル箱を前に思わず頬が緩む。


 「今日はついてたな、こいつはラッキーアイテムだな貰っておこう」


 独り言を言いながら小銭を手にする、その小銭には明治3年と表記されていた。


 「ん? 金額の数字が無いな、古い金か?」


 呟きながらポケットにその硬貨を入れる。


 「ありがとう」


 ん? 声が聞こえたような気がして振り向くが誰もいない。


 「遠くで店員が話してたのかな?」


 店員を呼び帰る準備をする、時計を見ると14:00を差していた。


 「久しぶりに焼肉かな」


 完金を済ませ自転車に乗ろうとして見当たらない事に気付いた。


 「マジかよ? ついてんだかついてないんだか」


 ぼやきながら家路につく。


 「今日のところは帰って寝るか」

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