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36 貞操の危機

「じゃあ、狩りにでも行くかな」


 薬を追加で10個作ったので効果の確認行こうと思ったらゲーム内メッセージが飛んできた。


「ん?梟が手紙を持ってくるんか」


 梟が嘴に手紙を咥えて窓の近くの木からこちらを窺っていた。


「猛禽類って近くで見ると怖いな……」


 これから遊べますか?

 というか先輩って私以外とパーティー組まないんだからいいですよね!

 ボッチのソロより楽しんですから一緒にしましょ!!


 クスカより


 …………いや、いいよ全然。

 だって俺だけじゃなくクスカのHPがどんな風に回復するのか見たいし。


「ボッチは余計だよ」


 少しイラっとしたが、パーティー申請が一緒に来ていたので了承する。

 集合場所が書いてなかったので送ろうとすると、手書きじゃなく半透明上のキーボードが浮かび上がり打ち込んでメールを書くみたいだ。


 時計塔前集合。


 レイより


 書き終えると梟が咥え持って行ってしまった。


「ま、まあこれでいいだろ」


 歩いて時計塔まで向かうと男達に注目されているプレイヤーがいた。

 だが今日はいつもと違い黒髪のオールバックで髭が生えた厳つい男と、ツーブロックのロングポニーテールで金髪女性がいた。

 おっと、これは予想外だぞ……。


「親しく話しているからパーティーメンバーなんだろうけど」

 どこかに乗ってるのか?

 でも乗ってそうなとこないしな……。


「あ、いたいた!」


 イヤ、なんでこんなすぐに見つかるんだ……。

 今日は思いっきり抱き着かれ、鎧でグリグリされるのは痛かった。


「痛いから!痛いから放してくれ!!」

「す、すみません」


 すぐに解放してくれたが頬に痛みが少し残っている。


「他にも人がいるなんて聞いてないぞ?」

「え?パーティーメンバの名前とHPは左上に表示されてますよ?」


 画面の見やすさ重視で設定したからそういうの切ってたんだった。

 クスカの教えてくれたことで思い出し、設定をパーティーになったら表示するようにした。

 

「ルーストさんとハンさんであってるか?」

「はい、あっていますよ」


 見た目からしたらヤバそうな人たちだけど……。


「……行きますか」


 近づくにつれて二人の大きさがわかる。

 男性なんて180㎝ありそう……女性のかたも170㎝ぐらいありません?


「おっ、君がレイちゃんっすね」


 厳つい男がなんか見た目に反した喋り方してる……。

 確かに怖くないのわ良いけど、何故にそんなじゃめり方なんだ。


「先輩が紹介してくれる子がこの子なんですね」

「そうそう、いつもソロだったから呼んでみたの」


 しょうがないだろ。

 こんな見た目だったらロリコン野郎がいっぱい集まってくるわ。


「レイって言います。武器は短剣ですが戦闘は得意じゃないです」

「私はルーストね!武器は棍棒よ」


 見た目ヤンキーなだけありセーラー服でぼこぼこになってるが金属バットは普通にヤバい。


「俺はハンって名前っす。武器は弓ですけどいつかは銃を使うのが目標っす!」

「えっ!!銃とかあるんですか!」


 あるなら俺は狙撃銃使いたい!


「ないっす!」


 ないんかい!

 ちょっと期待したのに……。


「なにレイちゃん悲しませてんのよ!」


 ハンの腰あたりに蹴りを入れるが、ひょいっと簡単にかわしてしまう。


「急に蹴るなよ~」


 笑いながら避けるから蹴りがさっきより早くてよけきれなかった。


「痛った!」


 HPにダメージが4分の1入ったがいつもの事なのか、ハンはポーションを飲んで回復している。


「クスカ、これ、本当に大丈夫か……」

「先輩は何も気にしなくていいですよ。ただの痴話喧嘩ですから」

「誰が痴話喧嘩ですか!!」

「痴話喧嘩じゃないっす!!」


 二人はこっちを向き同時に言ってくる。


「うん、確かにこれは痴話喧嘩だね」

「でしょ」


 抱きかかえらえてるのでしょうか……?


「あの、クスカさんや。何で抱えられてるんですか?」

「ちょうどここに抱きやすそうな幼女がいたからですよ」


 ………え?

 クスカの顔を見ると性犯罪者のような目をしていた。


「ハンさん助けて!!」

「うわ、クスカさんの目ヤバ……」

「確かにあの目はヤバいっすね」


 二人が来る前にひょいっと誰かに抱えられおろしてくれた。


「お嬢さん、大丈夫ですか?」

「あ、マスターだ」


 助けてくれたのはスキル屋のマスターだった。


「そちらのお嬢さんに捕まってましたが何かされたんですか?」

「何もしてないですがされそうではありました……」

「……そうですか」


 少し間があいた後にクスカの方にマスターが向く。


「お嬢さんも立派なレディーなのですから大衆にあのような顔を見せないようにしないといけませんよ」

「は、はい……」


 呆気にとられたのはクスカだけじゃなくハンとルーストもだった。


「お嬢さんどれくらい溜まりましたか?」


 ん?

 なんのこと……ああ、『禁断道化の人形師』の事か。


「まだまだですね」

「あの額を数日で集めるの不可能ですからね」


 苦笑いしながら軽く歓談すると、助けてくれたお礼をお言い分かれた。

 その前に名声スキルの『内心』を使ってみるか。

 字面的にNPCの信頼度がわかると思うんだよな。


 カルステン・バシュ

 レイの事を「自分の孫」のように思っている


「レイちゃん何でそんなに嬉しそうなの?」

「……内緒です」


 俺マスターみたいな人は好きだな。

 言っておくが性的な意味じゃなく尊敬の意味だがな!!

 だがやはり『内心』は信頼度というより、どう見られてるかを知れるスキルって言うのが分かったな。

 手を振ってマスターと別れる。


「あのNPCとどういう関係なんですか!先輩!!」

「どういう関係って……」

「もしかして中年趣味なんですか……」


 悲壮感を漂わせるクスカに殴りたい衝動に駆られる。


「俺は趣味にケチはつけないっすよ」


 そんなフォローいらないし俺は中年趣味じゃねぇ。


「確かにさっきのNPCのおじ様は紳士的で素敵だったわね」

「じゃ、じゃあ先輩もっ!?」


 さすがにここまで馬鹿にされて黙ってはいられず、ダメージがきちんと入るように、鬼人化ポージョンを飲む。


「違うわ!!」


 一人ずつ殴るが誰一人ダメージを入れられなかった……。

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