28 不安という名の恐怖
ログアウトしたらシャワーを簡単に浴びてご飯を食べず、そのままベットに直行した。
明日から学校という事になっているが緊張はあまりない。
学生時代もバイトばかりでクラスメイトとはあまり関わり合いになっていなかったのだ。
ボッチだったし今回もひっそり過ごしていれば学校生活なんていつか終わる。
「仕事よりは楽だけどまた勉強しなおすのか」
ゲーム内とはいえ結構なモンスターの数と戦ったので精神面で疲れが出て、そんな事をつぶやき溜息一つして寝てしまった。
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「今金欠だから3万欲しいんだけど」
またか、一番上の姉がまた集りに来た。
週に2回は絶対にどちらかが来る。
「ねぇ、聞こえてる?」
ないと答えても――
「そんなウソ通用しないって、この前給料日だったんでしょ?」
馬鹿にしたように笑いながら嘘を言い当てる。
それでも渡さなかったら顔や肌が見えるところは殴らずに腹や背中を重点的に殴ってくる。
痛いのは嫌だから給料日に近いときは数発殴られてから渡すようにしてる。
なんで殴られるか、疑問に思う人も多いいだろう。殴られて渡したら憂さ晴らしという名の理不尽な暴力が少し減ってくれる。
まぁそれでも殴られるときは殴られるんだけど。
「最初から渡してよね。ホント愚図いんだから」
電話でだらかと話しながらさっきとは一変して楽しそうに話してどこかに行った。
はぁ、やっとどっか行った。
そう思った束の間、コツコツとヒールの足音が聞こえてきた。
「どうせあの子の事だから数万円ぐらいしかとってないんでしょうね」
制服ではなく私服姿の長女が適当な服を見繕いある場所に連れて行った。
「ほら皆、連れて来たわよ」
長女と同じ大学のサークルの人達が待ち構えていた。
「じゃあ5発4万ね」
日々の鬱憤がたまった女性がストレス解消として俺を殴り。
ただ殴られるだけなら俺が可哀想という事でお金を払っているという仕組みだ。一応軽いクッションお腹に挟んでいるだけでもましだ。
もちろんそのお金は長女の懐に入り、俺の所には一円も入ってない。
「今日は人数が多かったぶん儲けれたわね」
長女も次女も学校では美人だの可愛いだの言われているが俺から見たらどう見たらそう映るのかわからなかった。
「ねぇ、そこで何してるの?」
その声を聞き、そちらに向くと銀髪の幼女がおり心底不思議そうにこちらを見つめている。
「ねぇ、そこで何してるの?」
長女がいた方向を向くと同じ銀髪の幼女がおり心底不思議そうにこちらを見つめている。
『ねぇ』
周囲に銀髪の幼女が現れ一様に心底不思議そうにこちらを見つめ、なぜか酷く不安になる。
『そこで何してるの?』
同じことをずっと聞かれる。
「なんでやり返さないの?」
「なんで周りに頼らないの?」
「なんで助けを求めないの?」
「なんで行動しないの?」
「何を恐れているの?」
恐怖で身が竦み、この恐怖から逃れるように耳を塞ぎ目を閉じた。
『ねぇ、私はそこで何してるの?』




