謝ってすむと思うなよ。
「この度は誠に申し訳ございません」
頭を下げ目の前のご老人に謝意する。こんなことになるのならほっておけばよかった。
自分から突っ込んでミスを押し付けられた。あームカつく。
お客様はなにも悪くない。これは確かだから誠心誠意頭を下げる。
「謝ればすむと思っているのかしら。事は私だけではないのよ。ほかの方にもご迷惑がかかるの」
「承知しております。申し訳ございません。」
「今後の取引は考えさせてもらうわ」
「・・・申し訳ございません、期待に応えられないばかりか信頼を信用を損なう結果になってしまったこと大変申し訳ございませんでした」
「あなたに謝られてもね。賠償については後日、お話しさせていただきます。
いうだけ言うとご老人は帰っていった。
これから上司に報告し、事によっては社長のところへ同行になる。
そもそも、このプロジェクトは無理があったと思うのだ。
プライバシーがうるさい時代に、情報を流出させたのはまずい。かなりまずい。
溜息を飲こんで、隣の部署の係長に報告する。
「経緯はわかったけど、なぜ君がでしゃばるの」
50代半ばの嫌味ったらしいこの人は部下の動向を把握できていないらしい。また自分であげたヘルプ要請も忘れたらしい。やめちまえよと思う。
「ヘルプ要請にしたがい駆け付け手伝っていましたが、すべて押し付けられたため、なぜか私が代表で謝りにいけと言われたための報告です。でしゃばっているとおっしゃるなら係長がまとめていただければよかったですのに・・・こちらの部署の方は面の皮が厚すぎてびっくりです」
ここぞとばかりに文句も言ってしまう。
自分の部署の係長もそう変わらないと思いながら、挑戦的な目を向けてしまう。
「君はもっと謙虚にならないといけないよ。これだから勘違い女は・・・社長への報告は一緒にきてもらう。君が勝手に先方に謝ったんだから」
「勝手にですか・・・分かりました。同行します」
本当にどいつもこいつもムカつくな。
責任の押し付け合いとか付き合いきれない。本当に。このままですむとおもうなよ。
係長と社長室へいく。道中はお前が悪いとグチグチ言われ続けた。もうスルーしていいよね。
秘書の人に取り次いでもらう。さぁここからが本番だ。
コンコンコン
「A部署のA係長・B部署のBがきました」
「入りたまえ」
完