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EscapeGoat  作者: 鈴木崇嗣
16/27

Extra Episode 陰で輝け、開豁なり景勝



西暦4192年2月10日。

人間(オリジナル)復活の朗報に沸(わ)く福祉技研(ふくしぎけん)は組織を立ち上げて以来の大騒ぎにてんやわんや。

無秩序と化した秘密機関の職員達がどさくさに紛(まぎ)れてハメを外(はず)す中、神出鬼没(しんしゅつきぼつ)のすけこまし山本(やまもと)景勝(かげかつ)は別の意味で暴れていた。

2階に上がって食堂を正面に捉(とら)えたらその手前、均等に置かれた数台のテーブルとソファーが程よい手抜き感と共に職員達を日々の激務(げきむ)から解放してくれる憩(いこ)いの場。

項垂(うなだ)れるようにしてテーブルにのしかかる1人の女性職員を見つけるや否(いな)や景勝(かげかつ)は早速(さっそく)声を掛ける。



「可蓮(かれん)ちゃん発見!」


「うわっ!また出た!!」


一切(いっさい)の気配を覚(さと)られる事なく彼女の間合(まあ)いへと踏(ふ)み込(こ)んだ景勝(かげかつ)は、たらしな文句と共に小さな紙袋を差(さ)し出した。

いきなり過ぎて警戒する間もなく彼女が中身を確認すると入(はい)っていたのは優雅(ゆうが)な甘い香りと説明不要の高級感を漂(ただよ)わせるチョコレートケーキだった。

乙女心をくすぐる魅惑の逸品(いっぴん)を前にして、わざとらしく"なにこれ?"と景勝(かげかつ)に問い掛ければ曰(いわ)く"前に大きなイベントがあったら一度食べてみたいって言ったろ?" との事。

数ヶ月前、景勝(かげかつ)に対して、ふと漏(も)らした一言をまさか覚えていたなんて・・・限りなく気持ち悪いサプライズだが、そこに僅(わず)かな嬉しさを見出(みいだ)してしまった彼女は"まぁ景勝(かげかつ)だから"という理由で彼の行(おこな)いを渋々正当化。

素直に喜べない心を隠して礼を述(の)べると、まるで芸術作品のような輝きを放つチョコレートケーキを未来(げんだい)的小型カメラで撮影。

ついでに景勝(かげかつ)もおやつタイムに誘(さそ)ってやろうかなと彼女が顔を上げた時、既(すで)に彼の姿はどこにもなかった。

本当にこの為だけに現れたのか?まさに神出鬼没(しんしゅつきぼつ)のすけこまし。

いないならいないでも別にいいやと開(ひら)き直(なお)った彼女が備(そな)え付けのフォークを手に取り、きめ細やかなダークブラウンのスポンジを優しく優雅(ゆうが)に切り分けた時、その香りに釣られた甘味(かんみ)の虫もとい同僚達が恨(うら)めしそうに彼女の周りに集まりだした。


「どうしたのそのケーキ?」


「景(かげ)からの差(さ)し入れ。よくもまぁ本人さえ忘れてるような事を数ヶ月も覚えてられるわ」


「なにアンタ?また男誑(たぶら)かしてんの?」


「相手が景(かげ)ってだけで、そんなモン違うってわかるでしょ!?」


「どうだかねぇ〜?で、その景勝(かげかつ)は?」


「知らない。いつの間にかいなくなってた。本当に毎回不思議に思うわ。声を掛けられるまで近くに景(かげ)がいる事にすら気付けないし、逆にいつ消えたかもわからないし」


「あぁそれ?本当かどうかわからないけど噂(うわは)じゃ景勝(かげかつ)って日本軍にいた頃は、絶対に相手に気配を覚(さと)られない事と名前の景勝(かげかつ)を捩(もじ)って"影(シャドウ)"のコードネームで呼ばれてたらしいよ」


「影(シャドウ)?誰がそんな事、言ってたのよ?」


「三課(さんか)の古寺(こでら)さん。可蓮(かれん)もたまに食堂で会うでしょ。でね、所長から調べ物を頼まれて日本軍のデータベースを漁(あさ)ってる時にそんな情報を見つけたらしいの。しかも記録は80年代のモノだったらしいし、それって山本(やまもと)兄弟が現役の頃でしょ?」


「まさか〜。それじゃ景(かげ)って実は三佐(さんさ)主任(しゅにん)以上にヤバいって事?」


「まぁ仮にも元軍人だし?三佐(さんさ)主任(しゅにん)と比べちゃえば、わからないけどそこらの軟派(なんぱ)者よりかは確実に上よ」


「へぇ〜。ま、どうでもいいけど」



景勝(かげかつ)の差(さ)し入れた1つのケーキが麗(うるわ)しき一時(ひととき)に華(はな)を添(そ)える。

その輪(わ)に自分は不要と見たのか見てないのか、男子禁制だからこそ盛り上がる乙女の本音トークをBGMに、その場を立ち去る爽(さわ)やかな後ろ姿があった事を彼女達は知らない。

あゝ開豁(かいかつ)なり景勝(かげかつ)。

人間(オリジナル)が復活してから約1ヶ月後の3月2日。

源以(げんい)の許可が下(お)り、遂(つい)に福祉技研(ふくしぎけん)の職員全員にフォシルの存在がお披露目(ひろめ)された今日。

ひょんな事からフォシルのお目付役(めつけやく)を任(まか)された楓(かえで)は自分の事でもないのになぜか此(こ)れ見(み)よがしに胸を張り続け、それに比例したやりきった感と共に休憩スペースの一画(いっかく)で、ぐで〜っとソファーの背にもたれ燃え尽きていた。

そこに現れる神出鬼没(しんしゅつきぼつ)のすけこまし。


「仕事って言葉を聞くと、いつも白(しら)けるお前にしちゃ珍しく今日は1日中頑張ってたな?」


「か・・・景勝(かげかつ)!いつもいつもお前はどこから湧(わ)いて出てくんだ!!」


「ほぉ、この景勝(かげかつ)に興味津々(きょうみしんしん)か?」


「あぁ?」


いつもの挑発?を受け、本来なら"そんなんあるわけねぇだろ!"と罵声(ばせい)を浴(あ)びせながら蹴(け)りをかましてやりたいところだがソファから立ち上がって踏(ふ)み込(こ)み、左足を軸にして放つ必殺のスラッシュローを打ち込むにはいかんせん既(すで)に気力(エネルギー)は底を尽きていた。

行く手を遮(さえぎ)る障害物も何もないのに身体が動かない。

目の前にヤツがいるのに攻撃できない。

得(え)も言われぬ悔(くや)しさに身を焦がした楓(かえで)は意地でも一矢報(むく)いてやろうと上体(じょうたい)を前のめりに傾(かたむ)け、無気力に倒れる勢いに+α(アルファ)最後の気力(エネルギー)を上乗せして渾身のフライングヘッドバットを放つべく超低空飛行で景勝(かげかつ)めがけて飛びたった。

最高の発射角、最高の姿勢、最高のタイミングで宙(ちゅう)を舞(ま)うもその飛距離僅(わず)かに数十cm。

あと1歩届かないどころか地面に激突する寸前(すんぜん)で景勝(かげかつ)に抱(だ)きかかえられ保護されてしまう。

その姿、手負(てお)いの虎(とら)に非(あら)ずしてまさに往(い)なされた猫(ねこ)が如(ごと)く。

悪足掻(わるあが)きがてら"離せー!"と暴れてみるも100対0で自らの完全敗北を認めざるを得(え)ない状況に楓(かえで)は涙を堪(こら)えて悔(くや)しがる。

その後ふかふかのソファーに放り投げられた彼女は"おのれぇ・・・!"と呻(うめ)きながら陸に打ち上げられた小魚よろしくピクピクと震えている。

最後の最後まで噛み付こうとする威勢を崩さない彼女の根性は見事とも言えるし往生際(おうじょうぎわ)が悪いとも言える。

そんな彼女がようやく牙を納(おさ)めるに至(いた)ったのは、ひれ伏(ふ)した後頭部に何か硬いモノが置かれた時だった。

なんだ?と思いそれを手にして見てみれば──


「・・・栄養ドリンク?」


その時楓(かえで)は何故(なにゆえ)に自分が1人の時を狙って景勝(かげかつ)が声を掛けてきたのかを理解する。

これはなんとなくだが普段から楓(かえで)が景勝(かげかつ)の事を蹴(け)り飛ばしてるのは皆が知っている。

そしてそんな相手から労(ねぎら)いの逸品(いっぴん)をもらったところで意地(いじ)っ張(ぱ)りな彼女の事、誰かが近くにいたら素直に受け取れないんじゃないかと考えた景勝(かげかつ)は敢(あ)えてこのタイミングを見計(みはか)らったのだろうと。

その真相を聞きたくても既(すで)に景勝(かげかつ)の姿は見当たらない。

少しだけ罪悪感を覚えた楓(かえで)が栄養ドリンクのフタを開けようとした刹那(せつな)──


「えっ・・・これ・・・栄養ドリンクは栄養ドリンクだけど・・・って!これカップルとかが"夜に使う方の栄養ドリンク"じゃねぇかよぉ!?あんにゃろうわざとか!?それとも素(す)で間違えたのか!?出て来い景勝(かげかつ)!この"栄養ドリンク"はどっちの意味だコラァ!!」



先ほどまでの萎(しお)れっぷりが嘘のよう暴れまわる楓(かえで)。

人間、なにか1つの事に集中すると良くも悪くもそれ以外の事を忘れてしまうモノ。

彼女は今、景勝(かげかつ)に対する文句に気を取られ自分が元気いっぱい騒(さわ)いでいる事に気付いてはいない。

その後、楓(かえで)が夜の栄養ドリンクを飲んだか飲んでないかは別として、次の日もそのまた次の日も彼女が溌剌(はつらつ)としていたのは今日の事があってなのかも知れない。

あゝ開豁(かいかつ)なり景勝(かげかつ)。

それから1週間ちょっとが過ぎた3月11日。

いつの間にかアーティなる武器(パートナー)を手に入れたフォシルが源以(げんい)の言い付け通り、学習型AIに様々な事を経験させるべく福祉技研(ふくしぎけん)内をうろうろしていた日。

クセの強い景勝(かげかつ)よりもおとなしくして物静かで少しミステリアスで知的な雰囲気を醸(かも)し出し、神出鬼没(しんしゅつきぼつ)でもなければ、わけのわからない持論を掲げる事もない人物。

アーティに0(ゼロ)から何かを教えるにあたって、これ以上ないほどの適任者に選ばれた白露(はくろ)との会話中フォシルが突如(とつじょ)発狂したのが2時間前。

あまりに突然の出来事に、なにが起きたのかを理解できる者はおらず騒然となる福祉技研(ふくしぎけん)。

最後にフォシルと関わっていたのは白露(はくろ)だが誰も彼女の事を責(せ)めようとはしないし責(せ)める資格もない。

しかし白露(はくろ)は責任を感じている・・・誰が気にするなと言っても彼女は一向に首を縦には振(ふ)らなかった。

そこに現れるはもちろん神出鬼没(しんしゅつきぼつ)のすけこまし。


「白露(はくろ)さん・・・」


「・・・」


「まぁあれだけの事があって我関(かん)せずなヤツよりはマシかも知れませんがフォシ坊は時々、昔の事を思い出す事があるらしいんです。楽しかった事とか嫌な事とか」


「・・・」


「だからタイミングってヤツですよ。仮にあの場面に白露(はくろ)さんじゃなくて俺がいたら、今ごろ俺は大バッシングを受けてたハズ。でも白露(はくろ)さんを責(せ)める声なんてどこからも聞こえてこない。それはここにいる全員が間違っても白露(はくろ)さんはそんな事をする人間じゃないって事を知ってるからです」


「・・・!!」


「"でも"は無しです。たとえば目の前で見知らぬ誰かが、すっ転(ころ)んだとするじゃないですか?それを見て"私がもっと、しっかりしていれば"とか言ってるヤツがいるとします。どうです?お前は何に責任感じてんだって思いませんか?」


「・・・」


「確かにフォシ坊は見知らぬ誰かでもなければ俺達が最優先しなきゃイケない人間(オリジナル)ですが考え方は同じですよ。誰も悪くないんです。誰も悪くないって事は物事を悪く考える必要もないって事です」


「・・・」


「もちろん白露(はくろ)さんを悪く言うヤツがいるってんなら、たとえアニキだろうが所長だろうがこの景勝(かげかつ)が天に代わり裁(さば)きの鉄槌(てっつい)を振(ふ)り下(お)ろしてやりますよ!」


「・・・」


恐ろしいほどポジティブな景勝(かげかつ)の言葉に白露(はくろ)は少しだけ元気付けられた。

何かあるとすぐに考え込み、必要ない事にまで責任を感じてしまう自分の性格をわかっているからこそ景勝(かげかつ)くらい単純明快(たんじゅんめいかい)な人間の言葉が刺さる時もある。

それを見越(みこ)してか景勝(かげかつ)は、そっと彼女に1本のボトルを差(さ)し出した。



「よかったらコレを。温かいレモンティーを飲めば気分も落ち着くって、どこかの資料に書いてあるような気がするんで」



"気がする"というわけのわからないオチで話を締(し)めた景勝(かげかつ)の一言に思わず白露(はくろ)は笑ってしまった。

彼女が笑えば景勝(かげかつ)も爽(さわ)やかな笑みを浮かべて輝きを放つ。

そしてその輝きが白露(はくろ)の心にかかった黒いモヤを悉(ことごと)く薙(な)ぎ払(はら)っていった。

あゝ開豁(かいかつ)なり景勝(かげかつ)。

さらに1ヶ月後の4月14日。

イレギュラーにより駆(か)り出されたアーティと、怒りでこの場を立ち去った楓(かえで)に取り残され野郎2人っきりとなってしまったココはフォシルの部屋。

寧(むし)ろこのタイミングを待っていたと述(の)べる景勝(かげかつ)の妙(みょう)に膨(ふく)らみを持たせた言葉にフォシルは顔をしかめサードメイカンドとしてアーティの何が不自然なのかを聞いてみる。

あまり事の重大さを感じていないフォシルに対してこれを本人に伝(つた)えるべきか否(いな)かを本気で迷ったと景勝(かげかつ)は釘を刺し、その一言でフォシルもようやく状況を理解する。


「どういう意味ですか・・・?」


改めて問い返したフォシルの言葉のニュアンスはしっかりとした重(おも)みのあるモノへと変わり、今こそソレを語る時が来たと景勝(かげかつ)は口を開く。



「この景勝(かげかつ)、女の瞳をみれば全てがわかると豪語(ごうご)するのは伊達(だて)じゃない。だからこそアーティの瞳にはサードメイカンドとして不自然なモノが映(うつ)っていた事を見抜いた・・・それを知りたいかって意味だ」



今まで見た事もないほど真剣な表情で語る彼を見て、誰があの神出鬼没(しんしゅつきぼつ)のすけこましその人とわかるだろうか。

ここまで来て最新の高性能カメラが映(うつ)っていましたなんてオチはあり得(え)ない・・・だとしたら景勝(かげかつ)が言いたいのは物的違和感の事ではなくアーティという存在を構成する根本に潜(ひそ)む違和感。

約1ヶ月にわたり時間を共有してきたパートナーの秘密を知る事を怖いと思う反面、それを知らない事もまた怖いと感じてしまう。

だがいつの世も知らなくていい事なんて、なに1つとして存在しない。

わざわざ景勝(かげかつ)が本気で考え1対1の状況を作ってまで行動しているのにそれを無下(むげ)にするのは景勝(かげかつ)とアーティ、なにより現実から逃げる事に他ならない。

そして思い出すのは"進んでも絶望、退(ひ)いても絶望、立ち止まれば終焉(おわり)の分かれ道、君ならどの絶望を手にしたいかね?"と皮肉る源以(げんい)の言葉。

胸糞悪いこの考えを一部でも否定できればとフォシルは意を決して景勝(かげかつ)の気付いた違和感というヤツがなんなのかを聞いてみる。

案(あん)の定(じょう)それはあまりにも不可解(ふかかい)、あまりにも不可思議な内容だった為いくら時間をかけて考えたところでフォシルの頭では、その鱗片(りんぺん)すらも理解する事はできなかった。

尤(もっと)も、アーティの謎がどうこうなどと言うわけではなく"景勝(かげかつ)の言い分(ぶん)が"という意味ではあるが・・・。



「アーティの瞳には"愛"が映(うつ)っていたんだ」


「あ・・・い・・・?」


「本来サードメイカンドはプログラム上の擬似的な感情で"愛のマネ"こそしようが本物の感情を抱(いだ)く事はない。だがこの景勝(かげかつ)の眼には確かに見えたんだ・・・アーティの瞳に本物の愛が」


コイツは何を言っているんだ?

フォシルの頭の中を"?"が覆(おお)い尽くした事など言うに及(およ)ばず、だとしてもなんでそれを伝(つた)えるにあたって景勝(かげかつ)は本気で悩んだのか?

なんで2人っきりでなければ話せない内容なのか?

そこにはすけこましならではの、しょうもない理由があった。



「アーティの瞳に映(うつ)った愛は・・・フォシ坊に対してのモノじゃなかったからだ。辛(つら)いとは思うがこれは現実だ。そしてその愛は闇よりも深く光よりも眩(まぶ)しいモノだった・・・つまり今後アーティがフォシ坊に対して愛を捧(ささ)げる可能性は0(ゼロ)%以下だ!こんな事を言われて辛(つら)いのはわかるが、言わなきゃならなかった俺も辛(つら)い!だが決して叶わぬ事と知っても──」


その後も景勝(かげかつ)は呆(あき)れるくらい情熱的に、時に涙を浮かべて熱く熱く語り続ける。

フォシルが口を挟(はさ)もうとしても"言わずともわかる!" と、なにがわかるのかよくわからない事を叫びながら誰に遠慮する事なく1人エチュードを繰り広げた。

だがアーティ=十(つなし)冬羽(とうわ)としてサードメイカンドならざるモノという秘密を暴(あば)いただけでなくその愛が照史(あきと)に対する純情、つまり冬羽(とうわ)と照史(あきと)の関係を見抜いた恐るべき心眼は本物。

遠回しだがある意味で事実にたどり着いた景勝(かげかつ)の目利(めき)きは間違ってはいない。

ただ1つだけ着地点を大幅に間違えている事を除(のぞ)いては。

本物の愛を知っている=サードメイカンドじゃない=アーティの正体は人間だ。

そうなれば真実にたどり着けたモノを景勝(かげかつ)は愛に着目してしまったが故(ゆえ)に話は明後日の方向へと飛んでいってしまう。

これではフォシルに対してなにが響くわけもなく、寧(むし)ろリアクション的な意味で彼を困らせるだけとなってしまった。

あゝ景勝(かげかつ)よ、神出鬼没(しんしゅつきぼつ)のすけこまし。

その御心(みこころ)はまさに開豁(かいかつ)なり。

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