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お約束なんていらないっ!  作者: 陽乃優一
第1章 異世界拒否編
3/7

第3話 フラグクラッシャーとの攻防

最初タイトルは『死闘』にしてたんですけど、死にはしないので『攻防』に留めました。

「みんなー、おはよー」


 2~3週間ほどかかってようやく再登校が認められ、ひさしぶりの学校に安堵する。主だった友達には既に顔を見せており、他のクラスメートにも話は伝わっているはずだ。


「片桐さん、本当に生き返ったのね」

「俺、お前の葬式に出席したんだぞ?」

「片桐、記念にサインくれサイン」


 みんな、普通に受け入れてくれてよかった。変な人もいるけど。


「…ねえ、話があるんだけど」

「アンタが入ってるオカルト研には入らないわよ?」


 お約束は早々に排除するに限る。



 学校に復帰後、すぐに定期試験だった。そんなお約束は…と思ったのだが。


「優美、すごい!しばらく登校してなかったのに、学年成績上位だなんて」

「た、たまたまよ、たまたま」


 親友でクラスメートの早川瑞穂にほめられて、ちょっとドギマギする。

 だってねえ、問題が『お約束』の固まりだったんだもん。一夜漬けでなんとかしようと教科書や参考書見たら『あ、これなんか出そう』ってすぐわかって、そのつもりがなくてもヤマを張っちゃったっていうか。ちゃんと内容理解しているから、チートじゃないわよね?ダメかな。


「それでね、優美、私、これから試験の復習をしようかなと思ってるんだけど…」

「あら、瑞穂がそんなこと言うなんて珍しい。…ああそっか。くっさなぎくーん!」

「やかましい!でかい声で呼ぶな!」


 草薙 悟。クラス委員もやってるイケメンで頭もいいが、いかんせん無愛想だ。瑞穂が片想いしているのは、彼本人を除いてクラスの誰もが気づいている。あまりに無粋なお約束だから、ここで潰しておこう。


「ぶー、せっかく瑞穂とあたしとで一緒に図書室で勉強しようって話なのに」

「試験後に何言ってるんだ?お前達だけでやれ」

「今回、あたしと同順位だったでしょ?試験結果の見直ししたいのよ」


 ちなみに、試験前の勉強には機会あるごとに誘ってきた。もちろん、瑞穂のために。それでも話がちっとも進んでいないのだから、こいつの天然ぶりがどれだけお約束化しているかよくわかるだろう。


「…ふむ、それは確かに少し興味がある」

「でね、あたし最初の30分くらいしか時間とれないのよ。残りは瑞穂の復習に付き合ってあげて」

「え、ちょっと、優美!?」


 よし、フラグは立てた。あとは…。


「ふん、まあいいだろう。だが」

「あ、今日は委員会ないからね?あると思って瑞穂を放り出して先に図書室去らないでね」

「なに、本当にないのか?む、確かに掲示にそう書いてあるな…」


 瑞穂には聞こえないよう、そうやりとりする。なぜって?フラグへし折られそうだったところを聞かれたくないから。気後れして『やっぱ、いい』とか、大人しい瑞穂が言い出すお約束は回避だ。


「あと、置き傘を鞄に入れて。夕方は雨だって、さっきスマホで見た」

「そ、そうか、助かる」

「そういうわけで、図書室にれっつらごー」


 図書室の4人掛け机では、ふたりを隣同士に座らせる。何故、とか、普通は、とかほざいているが無視。だいたい草薙くん、アンタも瑞穂のこと気になってるってお約束が漂ってるのよ。


「じゃあ、あたしは行くね。そうそう、瑞穂が傘持ってないっていうから、帰りはその傘に入れてあげてね、途中まででいいから」

「え、おい、片桐!」


 早々に退散。フラグクラッシャーには先手を幾重にも打つに限る。



「あれ、もうこんなに降ってる。強くなる前にさっさと帰りたかったのに…」


 先に帰ろうと下駄箱に行ったら既に土砂降りだったため、あたしはそうつぶやく。

 まあでも、帰ろうとしたら雨が降り出して困るなんてお約束、あたしには効かないわよ!


 ぱかっ。


「「「「え…」」」」


 振り向くと、4人の男子生徒が下駄箱で傘を持って佇んでいた。なんだろ?

 まあいいや、帰ろう。朝見た天気予報をなんとなく無視して、折り畳み傘を鞄に入れておいて良かった。

ラストのシーンには一応、第1章エピローグの伏線が含まれているのですが、ギャグ作品に伏線も何もないですね。作者も伏線忘れるかもですし(なげやり)。

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