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お嬢様、デザートは敵を殲滅してからです  作者: にゃん


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第4話:あたらなければどうということはない

「……リナ様。なぜ、そんなに殺気立って鏡に向かっているのですか? 獲物を狙うハイエナのような目つきですよ」


「失礼ねセバス。今日は記念すべき日なのよ。あの学園のバラ、マリアンヌ様から『親睦のためのピクニック』に誘われたんだから!」


私は、お世辞にも「豪華」とは言えないツギハギの制服を必死に整えながら答えた。 セバスは相変わらずの鉄面皮で、私のバスケット(中身はセバスが用意した「干し肉の端切れ」と「雑草の和え物」のみ)を覗き込み、深いため息をついた。


「いいですか、お嬢様。世の中には『無料ただより高いものはない』という言葉がございます。あの取り巻き軍団が、お嬢様に純粋な親愛を向けるはずがありません。どうせ、高級食材を見せびらかして、お嬢様の貧相な食事を笑い物にするつもりでしょう」


「……分かってるわよ、そんなこと。でもね、セバス」


私は不敵に笑い、決めポーズで言い放った。


「『戦いは非情さ』……。 向こうが豪華なお弁当を広げるなら、あたしはその『おこぼれ』を、三倍の速度で掠め取るだけよ。狙うはエビの天ぷら、そしてデザートの特製ミルフィーユ! 敵の油断こそが最大の勝機なの!」


「……なるほど、最初から略奪が目的ですか。いっそ清々しいですね。では、私は影から見守らせていただきます」


ピクニック会場である学園の裏庭。 そこは、色とりどりのドレスを纏った令嬢たちと、見るからに高価そうなバスケットで溢れかえっていた。


「あらぁ、リナさん。よくいらしてくださいましたわ。……あら? そのバスケット、随分と……『コンパクト』ですのね?」


リーダー格のマリアンヌが、扇子で口元を隠しながらクスクスと笑う。 彼女の前には、銀食器に並べられたローストビーフ、フォアグラのパテ、そして宝石のように輝くイチゴのミルフィーユが鎮座していた。


「ええ、実用性を重視しておりますの。……ところでマリアンヌ様、そのミルフィーユ、とっても『重そう』ですわね? もしよろしければ、私が半分ほど軽量化(胃袋へ移動)して差し上げてもよろしくてよ?」


「……相変わらず卑しいですわね。まあいいわ。今日は特別なものをご用意したの。この裏庭に最近現れるという『幻の銀色ウサギ』。それを狩るための猟犬も手配して……」


その時だった。 突如として地面が激しく揺れ、周囲の木々がなぎ倒された。


「グルアアアアアア!!」


現れたのは、銀色ウサギどころではない。 体長五メートルを超える巨体。三つの頭を持つ魔獣「トリプル・ベア」だった。


「きゃあああああ! 何よこれ! 護衛! 護衛は何をしているの!?」


令嬢たちがパニックに陥り、逃げ惑う。 その混乱の中で、マリアンヌのバスケットがひっくり返り、あのミルフィーユが宙を舞った。 ……そして、あろうことか、魔獣の真ん中の頭がそれをパクりと丸呑みにしてしまったのだ。


「…………あ」


私の脳内で、何かが決定的に壊れる音がした。


「……あたしの。あたしが狙っていた……軽量化予定のミルフィーユが。あんな、ケダモノの、唾液まみれに……」


どぉぉぉぉん!!


凄まじい魔圧が裏庭を支配した。 逃げ惑っていた令嬢たちが、あまりの圧力にその場にひれ伏す。


「聖なる……光……?」


マリアンヌが震える声で呟く。 光の中から現れたのは、もはや制服がはち切れそうなほどのダイナマイトボディを誇る「バインバイン聖女」様だ。


「……貴様。よくもやってくれたわね」


私は低く、地響きのような声で言った。 魔獣が脅威を感じたのか、三つの口から火炎と冷気と雷を同時に吐き出す。 だが、今の私は「怒れる胃袋」の化身。


「当たらなければどうということはない! どころか、今のあたしは、その火で肉を焼きたい気分なのよぉぉぉ!!」


私は回避することなく正面から突進した。 拳に凝縮されたのは、甘いものを奪われた怨念の塊。


「ミルフィーユ返せぇぇぇぇ!! デザート・デストラクションッ!!」


ドゴォォォォォン!!


放たれた一撃は魔獣の腹部を貫通。衝撃波が森を消し飛ばし、ついでに学園の結界を五枚ほど粉砕した。魔獣は断末魔を上げる暇もなく、肉片すら残さず「浄化(消滅)」された。


……しん、と静まり返る裏庭。


「あぁ……お救いくださった……」 「なんと、なんと雄大なお姿(胸部)……」


令嬢たちが涙を流して拝む中、私の魔力が急速に霧散していく。 シュルシュルと萎んでいく体。 そして光が晴れた後、そこには……。


「……ない。ミルフィーユが、カケラも残ってない。あの熊と一緒に、あたしの希望も浄化しちゃった……」


地面に四つん這いになり、土を握りしめる貧相なリナ。


「リナ様。お見事な殲滅っぷりでした。……おや、マリアンヌ様のバスケットから、泥まみれのパンの耳が一切れだけ転がり落ちてきましたよ。良かったですね」


セバスがどこからともなく現れ、汚れたパンの耳を差し出す。


「…………。あ~ん!! ひもじいよぉぉぉ!! こんなのミルフィーユの代わりにならないよぉぉぉぉ!!」


リナの絶望の叫びが、浄化されたはずの森に空しく響き渡る。 マリアンヌたちは「……え、今の聖女様が、まさかあの貧乏リナ? ……いや、胸の大きさが違いすぎるわ。」と胸の大きさだけで確信を持って頷き合うのであった。

気分転換に何気に書いてしまったこの作品・・・・・自分でも収集がつかなくなってしまいました。(´・ω・`)

ですが・・・・!

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