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死にたがり魔族の逃避行  作者: 米奏よぞら
第一章(アロヴィン編)

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07.✕✕✕✕✕✕✕の物語

 僕の名前は、✕✕✕✕✕✕✕。


 れっきとした魔王の後継者だ。


 城の中ですれ違う使用人はもちろん、六人の兄たちも僕の前では頭を垂れる。


 それは、僕が至高の黒髪と黒い瞳を持っているから。


 ────たったそれだけの理由で尊ばれた。



「✕✕✕✕✕✕✕は特別なんだ」


 幼い頃からそう教えられていた。



「お前が兄たちと関わることで彼らの卑しさが引き立ち、笑われてしまうよ」


 そう言われたから兄たちとは関わらなかった。



「お前が誇らしい」


 魔王は赤い瞳を和らげて、いつもそう言っていた。

彼だけは、僕自身を認めてくれていると信じていた。



後継者としてもっとふさわしくなれるように、日頃の所作や勉強、武術に至るまでひたすらに努力した。




 でも、僕に魔力がないって分かった途端、皆の態度が一変した。



「黒髪黒眼を持っていながら魔力量0とは、とんだ恥さらしだな」


 数年ぶりに対面した長兄の言葉に、胸がきつく締め付けられた。



 あまりの居心地の悪さに街へ逃げると、髪と瞳の色ですぐにバレて笑われた。


「初代魔王の再来と言われていたのに、ただの無能じゃねえか」



【第七王子✕✕✕✕✕✕✕を魔界から追放する】


 魔王は最早僕を視界にも入れたくないのか、それは書面での通知だった。



───魔界がこんなにも醜い場所だなんて、知らなかった。

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