07.✕✕✕✕✕✕✕の物語
僕の名前は、✕✕✕✕✕✕✕。
れっきとした魔王の後継者だ。
城の中ですれ違う使用人はもちろん、六人の兄たちも僕の前では頭を垂れる。
それは、僕が至高の黒髪と黒い瞳を持っているから。
────たったそれだけの理由で尊ばれた。
「✕✕✕✕✕✕✕は特別なんだ」
幼い頃からそう教えられていた。
「お前が兄たちと関わることで彼らの卑しさが引き立ち、笑われてしまうよ」
そう言われたから兄たちとは関わらなかった。
「お前が誇らしい」
魔王は赤い瞳を和らげて、いつもそう言っていた。
彼だけは、僕自身を認めてくれていると信じていた。
後継者としてもっとふさわしくなれるように、日頃の所作や勉強、武術に至るまでひたすらに努力した。
でも、僕に魔力がないって分かった途端、皆の態度が一変した。
「黒髪黒眼を持っていながら魔力量0とは、とんだ恥さらしだな」
数年ぶりに対面した長兄の言葉に、胸がきつく締め付けられた。
あまりの居心地の悪さに街へ逃げると、髪と瞳の色ですぐにバレて笑われた。
「初代魔王の再来と言われていたのに、ただの無能じゃねえか」
【第七王子✕✕✕✕✕✕✕を魔界から追放する】
魔王は最早僕を視界にも入れたくないのか、それは書面での通知だった。
───魔界がこんなにも醜い場所だなんて、知らなかった。




