再会、病状。
「久しぶりだね。ルチルちゃん。」
「……どこかでお会いしましたっけ?」
「覚えてない……か。」
「……すみません。」
「しょうがないよ。もう何年も会ってないし、他に色々な体験をしてきたんだ。」
お姉さんは眼鏡を外して、名を名乗る。
「ローリン。君とよく遊んでいた、ローリンお姉ちゃんだよ。」
「……ほ、ほんとに!?あの、ローリンお姉ちゃん!?」
ローリンお姉ちゃん。私が戦争に行く前一緒に遊んでくれた、ここの院長の娘さんだ。実の姉のように、私をとても可愛がってくれた。
あの頃はとても可愛い少女だったが、今はもう立派なお姉さんだ。過去とのギャップが凄すぎて気づけなかった……
「覚えてくれてたの!」
「ローリンお姉ちゃん……久しぶり!」
お姉ちゃんに抱きついた。あぁ、懐かしい感覚だ。子供の頃、こうやって抱きつくと優しく頭を撫でてくれた。
「良く頑張ったね……えらいえらい。」
涙が自然にこぼれ落ちた。戦争中はこんな泣くことは無かったのに。帰ってきて、人間らしさを取り戻すことが出来たみたいだ。
***
「落ち着いたみたいだし、診察を始めるよ。」
仕事モードのローリンお姉ちゃんはとてもかっこよかった。質問の仕方も上手で、こちらも自然と回答ができた。
戦争の話、帰ってきてからの王様や人々からの態度。色々なことを話した。
「……なるほどね。やっぱり原因はストレスと疲れ、その上に睡眠不足だろうね。ルチルちゃん、戦争中も全然寝れなかったんでしょ?」
「……うん。昨日もほんの少ししか寝れなかった。」
私は上手く眠れなくなっていた。寝ようとすると、悲鳴や怒号、戦争中に見た色々なものを思い出してしまう。昨日は運良く少しだけ眠れたが、内容は悪夢だった。
「睡眠剤を出しておくから、それを飲んでみて。」
「わかった。ところで、私のお母さんはどこにいる?」
「ルチルちゃんのお母さんなら、そこだよ。」
ローリンお姉ちゃんの指をさす方向をを見ると、お母さんはベッドで眠っていた。
「ルチルちゃんのお母さんも、色々溜まってたんだろうね。ルチルちゃんをここへ運んできた時に倒れたものだからびっくりしたよ。」
「倒れた!?お母さんは大丈夫なの!?」
「もちろんだよ。特に病気とか怪我ではない。ルチルちゃんと同じで、ストレスだろうね。」
「……そっか。」
お母さん……心配をかけてしまったな。前みたいに、一緒に笑顔で暮らそう。これ以上、負担はかけられない。
「ローリンお姉ちゃん、私の居ない間に立派なお医者さんになっててビックリしちゃった。」
「ルチルちゃんが頑張ってる間、私も勉強いっぱい頑張ったんだ。」
私が戦争に行く前からローリンお姉ちゃんは医学の勉強をとてつもない程していた。私の六歳年上の十七歳にしてこれだけ立派なお医者さんになったんだ。努力の証だ。
「ローリンお姉ちゃんのお父さんを見てないんだけど、今日はどこかお出かけに行ってるの?」
「……お父さん、死んじゃったんだ。」
「え?ど、どうして……?」
「…ルチルちゃんが戦争に行ってから、お父さん大きな病気が見つかってね。他の病院で入院して、闘病してたんだ。その間、私がいっぱい勉強して革新的な治療法を思いついたんだけど……」
「思いついたんだけど……?」
「遅かったみたい。治療を始める前に、ね。」
必死に勉強した、視力がとても良かったローリンお姉ちゃんが眼鏡をしているという所からも読み取れる。
普通の病気は魔法では直せない。どんな大魔法使いでも。
「……そっか。ローリンお姉ちゃんも頑張ってたんだね。」
私が頑張っている間、皆も頑張っていた。私が人を殺している中、ローリンお姉ちゃんはお父さんを救おうとしていた。
とてつもなく胸が痛い。
「今日はここに泊まっていきなよ。ルチルちゃんのお母さんも寝てるみたいだし、また何かあった時にここならすぐに対応できるからね。」
「分かった。そうさせてもらうね。」
異世界はアニメの様で勘違いしてしまいそうになるが、ここも前世と同じ。私が何かをしている間にも世界は目まぐるしく回っている。
私が戦争に行っている間、この町で、この国で何が起こったのか知らない。私はそれを知るとこから始めないといけないのかもしれない。
のんび〜り書いていきますので、温かく見守っていただけると幸いです。




