2人の旅の約束
町を出て国境にある検問に向かうために完全に整備さえ切っていない道を歩いていく。
「結局ノアとはあれから話せなかったわね⋯⋯最後ぐらいお礼言えたらよかったのに⋯⋯嫌でもノアに会っちゃったら町から離れられなくなったかもしれないしこれがいいのかもしれないな⋯⋯」
歳の変わらぬ同じ家に住む幼馴染であり一緒に競ったり励ましあったり時には喧嘩することもあったけどそれでも長い時間一緒に時を分かち合った幼馴染であり家族であり唯一思いを寄せた異性。
そんな彼があの場にいたら離れられなかったかもしれない、ならいっそ会わずに別れた方がよかったのかもしれない。
その時周りにある茂みが揺れる。
「何!?」
この道は整備されているとはいえ不完全でしかも稀に魔物も出てくるため安全とは言えない。
腰にかけていた木刀を持ち茂みの方へ向ける。
幼い頃もらった木刀、年季は入ったとはいえどまだ使えるように父に何度も魔法で修理してもらった。
「魔法が使えなくても戦えるはず!!」
茂みから何か出てきた瞬間勢いよく木刀を振り落とす。
「痛った!!」
帰ってきたのは鳴き声ではなくよく聞いたことのある声だった。
「なんで木刀で殴るんだよ⋯⋯ユーリ!」
それは今まで共に過ごしていた幼馴染でありしばらく会話をしていなかった幼馴染だった。
「いてて〜全くいきなり木刀を振るうなんて酷い話だよ〜」
「酷い話だよじゃないわよ!どうしてここにいるの!!」
「どうしても何もついて行くから?としか言いようがないなぁ」
「付いてくるってどうして別にノアは追放されてないじゃない!!」
「それもまぁそうだけど⋯⋯」
「それにお父さん達はどうしたの!それにレンやリンは!!」
「それに関してはさっき別れを伝えてきた」
「っ!」
時は30分ほど前に遡る。
ユーリが町から出たから5分後、ノアも家族達のいる場所に向かった。
「ノア!!遅かったじゃない!!ユーリちゃんもう行っちゃったわよ!!って!なにその荷物!?」
ノアは今カバンを背負いトランクを手に持ちながらここまできた。
「本当?出遅れちゃったかぁ」
「出遅れちゃったかぁじゃないわよ、それにそんな荷物持ってどこに行くつもりなの」
「ん?あぁこれ、これはねユーリについて行こうとして思って」
軽々と言われたその言葉に驚く。
「ついて行くってあなたは別に追放されてないのよ!?」
「それもそうだね」
「じゃあ何で!!」
「ルーナ!落ち着け」
黙っていた父が突然口を開く。
「でもあなた⋯⋯」
「ここは俺に任せてくれルーナ」
「えっ、えぇ」
父の言葉に母は下がる。
「ノアついて行くというのは本当か?」
「別にこんなところで嘘はつかないよ」
「それじゃあなぜついて行くんだ別にお前はついて行く必要はないだろう」
「それもそうだね」
「じゃあなんでついていこうとするんだ理由を言ってみろ」
「そんなの⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯以外に理由がいる?」
「そうか、なら俺は許そう、ただし行くからには気合を入れていけ!!」
「はい!父さん!それじゃあお母さんもいい?」
「もういつもだらだらしてるだけだと思ったら急に行動力豊かになるんだから、しっかり健康には気を遣うよ!」
「別にだらだらはしてないけども⋯⋯じゃあレン家のことは任せたぞ、リンや母さん達をしっかり守ってやってくれ」
「お兄ちゃん行っちゃうの?」
いつもはお兄さんなのに対して珍しくお兄ちゃんと呼ぶ弟。
「まぁそうだなこれは極めて個人的な願いだけど僕はユーリの後を追うよ」
「じゃあもう会えないの?」
「いやそういうわけでもないと思う、だってこの大陸は広いようでとても狭いそれにレンが15歳になって魔法学校
に入って卒業して自由に国を行き来できるようになった時僕たちを探してくれれば会えるかもしれないだろ?」
「そうだね⋯⋯お兄ちゃん、いやお兄さん!僕頑張るよ!!あとお兄さんも僕たちにわかりやすいように何かでかいことを成し遂げてね!!」
「そうかぁこれは頑張らないとな〜」
兄弟で笑い合う、そして。
「クリスさん、ミアさん一つだけお願いが⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ませんか?」
「それはユーリ次第だからなんともいえないが、ただ私たちから言えることは『娘をよろしくお願いします』
深く頭を下げるクリスさんとミアさんに謙遜しつつ最後の1人に目を向ける。
「リンちゃん」
「お兄ちゃんも行っちゃうの?」
「そうだね」
「じゃあお姉ちゃんを守ってね!!」
自分の今一番思っていることは簡潔にそして最大限にいうリン。
「任せておいて!」
そして立ち上がって。
「それじゃあみんなまたね!」
『行ってらっしゃい!』
そうして今に至る。
「なんでよあなたは帝国の歴史の中でも才能が一番あるのよ、あなたなら帝都で安定した職にだってつけたわざわざ私についてこなくてもいいじゃない!!」
突き放すような言葉を投げつける。
「そう言われればそうだけどまぁそんなことは別に関係ないよ」
「そんなことって!!」
「そんなことじゃないよ!」
真剣な顔で座り込んでしまったユーリと目を合わせる。
「これは僕のしたいことだから」
「何よ探求なら魔法学校でだって出来るじゃない!!」
「そうじゃない」
「じゃあどうして!!」
「これは僕の極めて個人的なことでただユーリと一緒に幼馴染であり家族でありそれ以上に大切なユーリと一緒に僕は生きたいから、⋯⋯一緒に旅ができるなんてとても楽しいことだとは思わない?世界は広い魔法学校の中みたいな小さな箱庭じゃなく広く世界を見れる、僕とユーリの2人でね!」
「もう、ノアはやっぱりノアね!わかったそれならいいわ、一緒にいきましょう世界を見るために」
「うん!」
「それと、ノア、改めてありがとう!」
「それじゃあ行こうか僕たちの僕たちだけの人生をしに!」
朝日が昇る中2人の旅はここから始まる。
幼少期編 完!!
本当は三話ぐらいで終わるつもりだったし、最後に書きたいことをまとめすぎたよな〜っと心の中で反省している作者こと水銀です。
というわけでここから本格的に話が動いていきます。
自分のペースで書いていきますので、読んでくださった皆様に面白いと思っていただけるよう頑張ります。
どうかよろしくお願いします。




