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魔科学  作者: 水銀
東方魔法連邦編
25/26

ダンジョンボス:闘牛王 其の五

ダンジョンコアはダンジョン内の最強所謂ボスが持つ特性石であり同時に生命と紐付けされた核である。核つまり生命の動力源である心臓とイコールの存在。だからこの作戦“ダンジョンコアの奪取”はダンジョンボスの撃破、ダンジョン攻略に繋がる最短ルート。


「作戦を伝えます」


降りてきた僕とユーリはベリー先輩の周り集まって話を聞く。


「ボアッッッ!!!」


背後で土壁の牢獄に囚われ、糸によって動きを封じられ、体の半分近くが凍り、半分以上が損傷した状態でなお、勝利を求める、闘牛(ケンタウロス)としての闘牛(ケンタウロス・)(ロメーロ)として勝ちを望むが故、痛む体を動かし、巨躯を振り回し、壁を破壊せんとする。


「作戦はこうです、まずコアを露出させる、それで露出したコアを僕の操糸盤扇(スレッドファン)で引っ張り出します、これが大まかな作戦概要」


「わかりました、それならまず私の刀で敵のコアの位置を探ってみます、そこにノアの魔法でコアを露出させましょう、ノアはどう?」


「うん、了解」


「よしそれじゃあ行動開始、ノアくんは土壁の解除からお願いね」


散開。ユーリが前衛として前に立ち、中間で先輩が糸を操り敵を止める、そして最後尾で僕が魔法の準備をする。まずは土魔法の解除から、なるべく上の方から順に解除していく。


「2人ともいくよ!」


そこに会話はなくとも、目と目で、互いに意思を共有する。


「解除の魔法!」


発動から数秒後土壁が崩壊、魔力になりその場で離散する。空間が開いた瞬間ユーリはすでに跳躍してコアを探す。「ボアッ!?」闘牛王は崩壊した壁に困惑しつつも残る糸を振り払わんと体を大きく動かす。ユーリはその間もコアを探すため、刀で敵の体をなぞりながら移動する。


「あった!」


ユーリからの合図、右肩のあたりに書かれたバツ印に、向けて魔法を放つべく詠唱を始める。先ほどの勢い任せとは違い、言葉を繋ぎ紡ぐ。


「その風地獄の業火も消し去り、その風荒波を鎮め、その風大地を平す、神風が作るは嵐、風科神来(アパルクティアス)


「ボォォ⋯⋯」


それは、遥か昔、かつて神と言われた、ものの名、しかし彼らはまだそれを知らない。放たれた魔法は敵のコアを露出させる。


「先輩!!」


「2人とも、サンキュー!!」


開かれた道、作り上げられた勝利への道なき道。


「いいとこ取りでしかないけど!操糸盤扇!」


それまで敵を縛っていた、糸が回転しながら露出したコアに絡みつく。絡まった糸は互いに無造作に結びつき、決して崩れない塊となって、コアを包む。


「よし!これで終了!!」


手を握り糸を操ることで、コアを引っ張り出す。出てきたコアは巨躯の体を動かす核とは思えないほど小さく、無機物なものが糸から離れ落ちる、と同時に、ボスは声にならない声をあげながら倒れる。


「最後はあっけなかったですね⋯⋯」


「戦いなんてそんなものだよ、勝ち負け、生と死しかそこには残らないんだよ、それが結果」


コアを拾いながら先輩はそういう。


「でもまぁ、今は勝利と生き残ったことを喜ぼうよ、初めてダンジョンに潜ったばっかりなのにすごいことだよ」


「はい⋯⋯そうですね⋯⋯」


初めての命の賭けあい、そこには勝利と生き残った喜びがないとは言わない、でも、でもだ命を奪った感覚を、敵で、魔物で同じ価値観を持つ訳でもなければ言語すら介さない全く違う生き物、例え日々生物の命を奪った結果にできた食べ物を食べているとしても⋯⋯実際奪うのとすでに奪われたものでは感覚が違う。その時肩に手を置かれる。


「ユーリ?」


「今は考えなくていいわ、例え結果として今この瞬間、何かの命を奪ったとしても、折り合いをつけるのは遠い先でいい、先輩も言ったでしょう?生き残ったのだから今はそれでいいじゃない、あなたは私を助けてくれた、それでいい分とは言わない、でも誰かを助けたあなたを忘れないで⋯⋯それじゃあ行きましょう、きっとみんなも心配してるわ」


「⋯⋯うん」


ダンジョンボスのコアが取られたとともに、闘技場は崩れ広がっていた空間は小さく広場サイズの空間になった。またコアの代償か、コアによって作られたに過ぎなかったのかそれであった気絶していた魔物は闘牛王は消滅した。


「本来はこんなに狭かったのか」


「魔物たちが消失したのは助かりましたね、この狭さだと私たちも圧死してたかもしれません」


「そだね」


「そのコアはどうするんですか?」


手の上で転がす、青く輝くコア。


「これは置いていくよ、このダンジョンは学院保有のものだし、このダンジョンにはまだたくさんの生き物がいる、彼がまた新しいダンジョンを築くさ、僕たちと何も変わらない」


コアを足元に置きその場を後にする。

このダンジョンは約十層本来なら魔物との戦いを含め上り下りで数時間を要するがダンジョンボスの討伐も影響してか脱出の道中敵に会うことなく、1時間もかからず脱出に成功した。


「外だね、2人ともお疲れ様」


入った時はまだ10時ごろだったが、もうすでに日は傾き、夕方4時ごろになっていた。


「流石に疲れたね」


「お疲れ様、ノア」


「皆さん!!」


こちらを呼ぶ声。声の方向にはナグサさんの姿があった。


「無事でしたか!!」


そのまま、僕たち三人を包み込むように抱きつく。


「よかった⋯⋯!本当によかった⋯⋯!!」


思わず涙を流しながら、話すナグサさん。


「先生!?」


「怪我などはありませんか!?体調は!?何もありませんでしたか!?」


「ナグサちゃん、落ち着いて」


慌てるナグサを静止するように、テスラが落ち着いた表情で話かける。


「あっ、テスラ」


「うっす、ノアくん無事でよかったよ」


「無事ちゃ無事だね」


「ノアくん、ユーリさん、ベリーとにかく今は無事でよかった、話などは後で聞きますので今は寮に戻って休んでください」


ナグサさんと、テスラに連れられて、寮に戻り今はしっかりと休む。いろいろな感情の整理をつけながら。

主人公たちまだ14歳なんですよ、まだ14歳、命の重みにスパッと折り合いをつけれるような年じゃないんですよ。

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