ダンジョンボス:闘牛王 其の三
残り九体。
「はーい、武器没収!」
残り6体。
「旋風、風雲!」
「あと二体!」
残り二体まで減った闘牛に攻撃をするため、前進しようとしたその時。
衝撃音と共に前方に巨大な物体、斧が振りかざされた。
「土の魔法!」
咄嗟の判断で前方に巨大な壁を作る。
「一体これは!?斧に見えたけど!」
「わからない、でも確かなのはあのダンジョンボスが巨大な物体を生成したってこと!」
「なら、やることは一つだね!さっきの攻撃で残りの闘牛も巻き込まれただろうし」
「ええ、ここからはベリー先輩と一緒に」
『ボス戦の時間だ!!』
「そうと決まれば全力ダッシュだね、僕は風の魔法で追い風を作るけど」
「ほどほどにね」
「オッケー」
走り出す、目標はダンジョンボス:闘牛王の直下。
そして土煙の中にいるであろ先輩の元に。
「それにしてもこの煙魔法で一気に晴らせないかな、風の魔法の応用⋯⋯、応用ねぇ、どうせやるんだったら派手にいきたいよね!なら!」
この世界に魔法の限界点は存在しない、だからどんな魔法だって、僕たちが創意工夫をやめない限り、絶えることは無い!
「目指す先は前、果てなき道、風は吹かず、草木もなく、そこにあるのは人類の進んだ荒野の道、それならば、僕が風を!追い風を吹かせる!!風科神来」
ノアの土壇場の詠唱。詠唱において必ずの正解はない、言葉を紡ぐことでそれは魔法になる。
発動した魔法は土煙を晴らし、そして竜巻状になった風が闘牛王に直撃する。
「なんか、わかんないけど上手くいった?」
闘牛王に直撃した竜巻は巨体を押し倒し、肉体を削り取る。
「とにかく今はベリー先輩とユーリを探さないと」
周りを見渡し、人影を探す。
すると、前方、闘牛王が倒れている少し前の位置に2人の人影が。
「あそこか!おーい2人とも大丈夫?」
全力疾走しながら手を振る。
「ノア!まだ!」
ユーリが何か叫んでいる。
「どうしたの?」
しかし、聞いた時にはもう遅かった。
ユーリが走る速度よりも早く、倒れていた闘牛王が斧を掴み、ノアを横から切るように、しかもご丁寧に長さまで調整済み。
「これは!?土のま⋯⋯」
いや、間に合わない!でもまだ死ぬわけにはいかない!まだ何も、真実を、世界を知るまで諦めるわけにはいかないんだ!!
その時にはユーリもすでに最高速度で走り出していた。
「ノア!!」
確実に間に合わない、しかしそれがわかっていたとしても諦める理由にはならない。
刀を抜き、全力で投げる。
「届いて!」
その時、刀が空中で止まる。
「何が!?」
特性による書き換え!?いやそれなら最初の時点で私たちの負けが確定するはず⋯⋯。
頭の中で色々な考えが巡る。
「ユーリ!」
しかしその声で意識が現実に戻ってくる。
「ノア!!良かった⋯⋯!」
ユーリがその場に崩れる。
「でも、どうして?」
「僕にも何がなんだか、いきなり斧の動きが止まって」
ノアの言う通り小さくなったとはいえ、それでもまだ大きい斧が完全に停止している。
あれは一体⋯⋯。
ユーリが目を凝らして見ると。
「糸?」
「2人とも無事?」
「ベリー先輩!?」
そこにはコートが一部“無くなった“先輩の姿があった。




