魔物
「テスラ、このダンジョン自体は初めてじゃないんだよね?」
「そだよー、とは言ってもまだ、え〜っと、一二三⋯⋯何回だったけ?」
「テスラちゃんは8回でしょ」
「おぉ、そーだった、そーだったありがとうアネモネちゃん!」
アネモネ、彼女は同じクラスの生徒でクラスのムードメーカー的な存在、学院に入ったばかりの僕たちにも気さくに話しかけてくれた、ユーリも。
「アネモネさんはいい人ね」というくらいには信用されている。
「8回かぁ多いなぁ」
「とは言っても全部に参加したわけじゃないから実際はもっと多いんだろうけどね!」
そう大きな笑い声を上げる。
「ん!きたよテスラちゃん!」
「おや、これはいっぱいだねぇ、種類は"牛"系かな?」
「そうみたい、数は5匹だよ種類は闘牛が1匹と常牛が4匹!」
「それなら僕1人でやっちゃうね!ノアくんしっかりみといてよ、実戦での魔法の使い方を」
確かにテスラがちゃんと魔法を行使するのは初めて見る、修行期間はの僕の魔法を見ることに集中してたみたいだし。
「オッケー、しっかりみとく」
「うんうん!じゃあ久しぶりだしでっかいの一発いっとこうか!詠唱は、しときますか」
そうして杖を構え敵を見据えながら詠唱が始まった。
「世界の終わりを示し始まりを示すもの、万物は等しく氷塊へと変わりその大地は白く閉ざされん、万物よ凍れ"氷結の園"」
詠唱が済んだのと同時にテスラの前方が白く変わり急激に凍りつく、魔物たちも一瞬で氷塊に変わった。
「やっぱり魔法って最高ー!」
「お疲れ様テスラちゃん!」
「お疲れー」
『お疲れ〜』
全員でテスラに割と適当なねぎらいの言葉をかける。
「それじゃあこの氷塊どけて進む?テスラ」
「んや、溶かして進む方が早い、無限の炎」
パッと放たれた魔法で先ほどまで道にあった五つの氷塊が綺麗さっぱり溶けて無くなった、と思ったのだが原型はとどめていた。
「あれ?原型とどめてない?」
「そりゃねいろいろ回収しないと意味ないし」
「回収?」
「ほらこの前使った魔石とかだよ、本命はこっちだけど」
氷でパパッと作られたナイフで牛の魔物の肉を解体している。
「こちら闘牛のステーキです!!」
「⋯⋯はい?」
「はい?もなにもそのままです!」
「食べるの?」
「食べます!」
「そっかー」
差し出された丁寧に切り分けられた闘牛のステーキ肉、見た目は普通の牛肉と変わらないけども⋯⋯。
周りを見ていると全員普通に食べていた、えぇ、いや普通なのか?
「大丈夫だって、味も見た目も対して普通の牛肉も変わらないから⋯⋯強いていうなら少し硬いけど」
「それならまぁ」
覚悟を決めて!
豪快にパクッと口に入れて噛む。
言われた通り少し硬かったが噛めないほどでもないし⋯⋯逆に噛めば噛むほど肉汁が溢れてくるからあまり食べたことのない新鮮な気分になった。
「確かに牛肉とあんまり変わんないね」
「でしょでしょ、多分魔物自体対して動物と種類が離れてないと思うんだよね、あっちなみに急速冷凍、急速加熱してるからそこら辺のもの食べるより百倍安全だから安心してね!」
安心⋯⋯安心かぁ、できないことはないけども⋯⋯。
「検討しとく」
「テスラちゃんそろそろ先進むよ〜!」
「はいさー、それじゃあノアくんいこっか」
「オケ、ちなみにこのダンジョン何層くらいまであるの」
「学校の資料だとたどり着いただけでも9層、でもまだ先まであるんじゃないかな?この前行った時も9層で終わりって感じはなかったし」
「1人で?」
「そうそう1人で⋯⋯っておおい!何言わせてんの!?ナグサちゃんには言わないでよ!」
「はいはい」
「適当!⋯⋯まじでやめてね?」
「検討しとく」
「またそれ!?」
「わかったよ〜検討に検討を重ねて検討しとくからさ〜」
「絶対に安心できないパターンなんだけど⋯⋯」
え?本当に大丈夫だよね?⋯⋯ね?




