魔法学院の一室にて
「ここが魔法学院かぁ」
北地区を占める魔法学院は魔法連邦の“魔法統括推進省“が主導で建てられた連邦“唯一“の教育機関で5歳から誰でも入ることができる。
「では私の部屋に案内しますね!」
勢いとは裏腹に静かに門を越えるテスラ。
「では2人とも静かに入ってください、くれぐれも大きな音を出さないようにさもないと」
「さもないと?何がいけないんですか」
「それはもう、あの鬼寮長に怒られ⋯⋯あ」
テスラの後ろに立つ女性はユーリの持つ木刀に似た刀を持ち仮面をつけていた。
「テスラさん?何度注意すればいいんですか?」
「いや、あのえっと、はは⋯⋯」
「はは、じゃないです!もうこれで30回目ですよあなたがここに入学してから!」
「いや〜そんなにしてたかな〜」
でかいため息を吐く女性。
「今日は一日お説教です!」
「そっそんなぁ〜」
「すみません、僕たちはどうすれば?」
「あぁ失礼しました、テスラさんの部屋は寮の東端にありますので今日はそちらでくつろぎください、それと自己紹介が遅れました、私の名前はナグサ・ムネチカこの魔法学院の女子寮の臨時寮長を務めています」
「これはご丁寧にどうも」
「それでは私とテスラさんは寮長室にいますので何かあったらそちらに」
テスラを引っ張りながら寮の方へ行くナグサさん。
「それじゃあ私たちはテスラの部屋に行きましょうか」
「そうだね、それにしても女子寮に僕入っていいの?」
「⋯⋯さぁ?」
「さぁって⋯⋯仕方ない様子を見ながら行くしかないかぁ」
恐る恐る様子を見ながらナグサさんの通った道を歩いていく、周囲にはまだ9時頃ということもあってか人の姿は見えない。
「取り合いず大丈夫そうかな?」
「そう見たいね」
「2人ともこっちだよぉ〜」
首根っこを掴まれながら手を振って呼ぶテスラ。
そのまま進んでいきテスラの部屋に入る。
「それではまた」
「後で話そうねぇ〜」
扉が閉まり僕とユーリだけになる。
「さてどうしよっか?」
「そうね⋯⋯まずはこの散らかった部屋を片付けましょうか」
周りは本や紙、服などで散らかっておりとても人が住んでいるとは思えない部屋だった。
「僕も人のことは言えないけどここまで散らかるかなぁ?しかも部屋も大きいし」
この部屋は僕の自室の1.5倍ぐらい大きかった。
「しばらくはここにいることになるんだし仕方ないでしょう?じゃあノアは本を本棚に戻して私は服関係を片付けていくから」
「了解!」
それから2時間ほど片付けをしていき、床の見えなかった場所の床が見えるようになった。
「これであらかた片付いたわね、あとは小さなゴミをまとめて捨てたいけれどこの広さじゃ集めるだけ一苦労ね」
「どうしようか?」
「魔法を使えたらよかったんだけど⋯⋯」
「それなら僕が!」
「駄目!せっかく片付けた部屋がまた荒れるかもしれないじゃない」
「それもうだね⋯⋯」
「それなら私にお任せ!!」
振り返るとそこにはテスラの姿があった。
「風の魔法“集“」
そうテスラが唱えると小さなゴミが一塊になってテスラの指の上に浮く。
「すっすごい!」
「これはねぇ!風の魔法の応用だよ〜、初歩の技術ではあるんだけど!」
ふふん!と言わんばかりの顔で話していると集まったゴミがユーリによって回収される。
「さてそれじゃあテスラ要件を話してくれる?」
「はい!」
テスラがベットに座り、僕たちは椅子に座る。
「それじゃあ話しますね!私がして欲しいのはあなたたちどちらかの名前を貸してほしんです!」
「ん?」
意図が理解できず頭にハテナが浮かぶ。
「つまりどういうこと?」
「えっとですね、今日闘技場前にある看板を見てもらったと思うんですがその中の大決闘にどうしても参加したいんです!」
ユーリに促されてやけに説明口調になったのはともかくとして、それはそれで疑問が浮かぶ。
「自分の名前じゃ出られないの?」
「そうなんですよ、あの大決闘、年齢は問わないんですけど、なぜか!なぜかです!魔法学院生徒だけは出場できないんですよ!」
「それはどうして?」
「いや、それは〜、その〜」
なぜか急に顔色が悪くなるテスラ。
「それは私から説明しましょう」
気づくと扉のところにナグサさんが立っていた。
「なんでここに!?」
「なんでってあなたが話の途中に抜け出すからでしょう!」
「いや〜、同じ話を何回も聞くだけだったしいいかなぁって」
「よくありません!全くもうもう少し⋯⋯としての認識を持ってほしいです」
小さくて聞こえなかったが⋯⋯として?とはなんだったのだろうか?
「まぁいいでしょう、それではなぜ魔法学院生が大決闘に参加できなくなった理由ですが一年前の大決闘にて魔法学院生⋯⋯いえはっきり言いましょうテスラさんが“詠唱魔法“で第一回戦で他の参加者を全滅させるだけでなく闘技場の破壊などをしてから魔法学院生は参加できなくなったんです」
「なるほど」
テスラの方を向くとそーっと顔を逸らしていた。
「つまりはテスラさんが概ね悪いということですね」
「なっ!私はただ魔法を試そうと!」
「それで闘技場が“氷漬け“になったらダメでしょう!」
「うぅ⋯⋯」
「それで僕たちの名前を使いたいと、でも顔がバレてるなら無理なんじゃ?」
「そこは大丈夫!」
やけに自信ありげに言うテスラ。
素早い動きで僕の目の前にきて頬に手を当てられる。
「人は万物を模倣す、時を写し、形を写し、色を写す、我は模倣者“タイム・イミテート“!」
そう唱えたステラの顔や体が次第に変化していき数分経つと僕と同じ姿形になっていた。
「これなら誰にもバレないでしょ!」
「なっ」
呆然とするナグサさん、そして驚く僕、最後に何か小さな声で喋っているユーリ、各々がそれぞれの反応を示す。
「どう?これで大決闘に出れるでしょ!」
「なっ、なんて魔法を作ってるんですか!」
「これは別になんということもないでしょ?」
「なんということもないこともないです!!こんなの誰かに伝われば悪用されるかもしれないじゃないですか!」
「まぁそこは大丈夫だよこの魔法尋常じゃないくらい魔力使うし維持だって相当苦労するから余程の天才じゃないと無理だから」
笑いながらそう語るテスラ。
「笑ごとじゃないです!なんであなたはいつも突発的に魔法を作るんですか!?」
テスラは見ての通り魔法の作成、使用、応用など幅広い面で魔法が使えるそれは彼女の昔からの努力の賜物とも言えるし生まれ持った才能とも言える、ただし彼女を例えるならノアは“童話の探求者“なのに対し彼女は“魔法の探求者“と言える。
「それで話は戻るんだけど、お願い!名前を貸してくれない?」
「僕はいいけどユーリはどう?」
「そうね、それじゃあ条件をいくつか追加するわ、まず元からある条件の身分証明パスの発行の手続きの手伝い、
それとその期間の泊まる場所の提供後はノアにあなたが魔法を教えること」
「それだけどいいの!?」
驚いて乗り出すテスラ。
「えぇ、これだけあれば十分よ、あとは私も⋯⋯」
「よかった〜断られたらどうしようかと思ったんだよ〜」
「それとこの条件の前に後ろの人を説得するのが先なんじゃない?」
「あぁ、そうね、うんそれじゃあまた後で〜」
再びナグサさんに連れて行かれたテスラ。
「それじゃあ荷物を取りに行きましょうかノア」
「そうだね、それともう少し町を見て回ろうか」
「!!⋯⋯えぇ!!」
2人で部屋を出て町へ戻っていくのだった。
詠唱魔法「タイム・イミテート」
テスラによって作られた魔法で人の姿形を模倣することができる。
結構魔力がいる。ちなみに詠唱する単語を増やせば安定しやすい上に必要魔力も減る。
設定を今削ってる最中なので結構変わるかもしれない、申し訳ないです。




