心ここに在らずの怒涛の展開
針子達を謁見室に置いたまま移動された部屋は裁判室で
王弟から預かった資料を読み終わった王は発端から今までをつぶさに精査、確認をしたあと
三貴族は当主とその妻。
男爵令嬢は令嬢と両親。
その全てを公開処刑とした。
三貴族の子供達や他の親戚は国外追放。
それ以外の対立派閥の面々も手を貸したとして爵位剥奪から名誉貴族になったりと粛々と王は断罪をしていった。
王太子妃選抜に残っていた他の5人は対立派閥の貴族がいたり、でっちあげた罪を黙ってやる代わりに課題をこなせ。と命令をしたと針子からの陳情があったため王太子妃候補はレティシアのみとなった。
あれよあれよと色々なことが終わり、気づけばレティシアは庭の花を王太子と見ていた。
『…あれ?』
『どうした?シア?』
レティシアの愛称である。お茶を共にした時だって一度も呼ばれたことのない名である。
王太子のマントを羽織ったまま王太子に庇われ怒涛の数時間だったような気がする。
『シア…今まで何もせずすまなかった…
ヘリオスが証拠集めをしている間奴等に勘付かれてシアに手を出される訳にはいかないと自らを戒めていたのだが…』
ーーー今は、何をしても許される。
手の甲に口づけをし、肩を抱き締める。
幸せすぎてこのまま何も考えずにいたいが疑問も残る…。
聞きたいことは色々ある。
男爵令嬢は転生者なのにこのような凶行に及んだのか。
転生者といえどそれなりの知識はあるだろう
なぜそれが活かされなかったのか。
ヘリオスは転生者なのか。
あと、アレは…
『あらあら、王太子様ったら。まだ正式な婚約も決定してるわけではないのですから。』
ーーーーあまりがっつきすぎると嫌われますよ。
庭の花の間からまぶたを腫らしたヘリオスが顔を出した。
王弟のアンドルーと共に。
『レティシア様は今回の事件に疑問を残しておいででしょうし。いっしょにおさらいしましょうか。』