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ep1「目覚めは白いベッドにて」

大変お待たせしました。

三月冒頭開始を宣言してましたが、いろいろやったらこんな時期になってしまいました!

ごめんなさい!

 【クレマチス・オンライン】

 2025年に突如、アストロゲームという会社が専用ハード【NANA】と同時に発表したVRMMORPG。

 この二つは、これまで小説の中にとどまってたVRMMOというカテゴリを現実化のものとした。

 それだけでなく、その技術は医療機器への導入や各企業の業務形態への導入などの視野に入れられるなど、それまでの社会環境や企業バランスなどを一気に崩壊させる可能性を含むものとして登場した。

 発売から3年経った今でもゲームの人気が落ちることなく、それまでに発売された多岐にわたるジャンルのゲームの中でも、ダントツのアクティブユーザー数を誇っていた。

 そんなゲームを、家族からの誕生日プレゼントでもらった宿梨は設定を陽菜に頼んだ。 

 そうして生まれたのが【ラク】というプレイヤーだ。


  〇


「ん……んん~?」

 数回のロードとシステム処理。それを終えて世界に降り立ったラクは、天幕付きの豪華な白ベッドの上で目を覚ました。

 ――ここは……? どう見ても、自分の部屋じゃないか。

 ギリシャ神殿のような造りの白亜の空間で 彼女はベッドから降り立ちあたりを見回した。

 彼女の寝ていたベッドの横には姿見があり、ベッドの足側には奥へと続く回廊がある。 

 壁には等間隔に光石の燭台が付けられており、その燭台のおかげとで彼女のいる空間は十分明るかった。


【白氷の回廊】


 まるでラクの問いに答えるかのように、視界左に現れたエリア表示。それが消えると、設置された光石が彼女を奥へと導くように、発光と消光を繰り返し始めた。

「行くしかない、か。それよりもまずは……」

 ラクは姿見の前まで行き、今の姿。宿梨ではなく、【ラク】としての姿を確認した。

「うわ、結構リアルなうえに、ちゃんと要望通りにしてくれてる」

 感心するように言いながら自身の頬を触り、陽菜の作り上げたラクという存在をまじまじと見た。耳が隠れるほどの黒のショートに青い目、健康的な色の肌。黒い半そでシャツの上から茶色いベストを羽織り、ベストと同色の長ズボンを履いている。それから黒の指抜きのグローブに同色のベルト、ショートブーツという初心者装備一式を身に着けた身長160㎝ほどの少女。それが彼女だ。

 ――これからよろしく、こっちの身体。

「さてと、それじゃあ行けと言わんばかりに伸びる道に沿って行こっかな」

 どこまでも続いていそうな通路。聞こえるのは彼女の足音のみ。

 そんな空間を進むにつれて左右の壁は徐々にひび割れ、隙間から生えた蔦植物に侵食されていっており、白亜は鮮緑へと変わっていき始めて居t。

 やがて彼女は通路の先。崩壊した石造りの要塞と、それの周りの広がる深い森にたどり着いた。ただし要塞の先は崖となっており、その向こうには果てなき海が広がっていた。

 そんな森の中で、唯一白亜の回廊から続いている、光石の燭台は先と同じように光を放ち、彼女を要塞へと導こうとしていた。

 それからフォンッ、という音が背後から聞こえて彼女は振り返ると、そこにあったはずの【白氷の回廊】は完全にその姿を消していた。

「っていうことは、行くしかないよねぇ、どう考えても」 

 そうつぶやきながらゆっくりと歩いて行くラク。

 崩れ落ちた門を潜り抜け、隙間に草の生えた石畳をまっすぐと、城内を進んでいった。

 一体いつからこれはあるのか、ラクがそう考えるほど古い、塩害と風害を受けた辺境の要塞。当時の喧騒を語るものは一切なく、ただただ自然の音が聞こえてくる穏やかな場所となっていた。

「あーでも、最低でも二百年以上は前か」

 一度文明が滅びた二百年後の大陸が舞台。

 ということを思い出しながら中を歩くこと数分。道に迷いながらもどうにかラクがたどり着いたのは、学校の教室を二つ繋げたような広さで、厳かな装飾や彫像で神が祭られていたであろう教会。しかしその場には大小様々な氷杭が天井、床、壁を問わず、多方に突き刺さっている異質な場所だった。そして最奥には地面に突き立てられた一本の細剣と、ひとりの女性が逆光に照らされて立っていた。

 ――不思議な空間ね。風もないし寒さも感じないし。

 これほどの氷杭があっても寒さは感じず、されどそれに触れると確かな冷たさがある。

 そんな、なんともゲームらしい空間を、ラクは前方の人物の前まで歩いて行った。

「ようこそおいでくださいました。新たな導き手様」

 丁寧なお辞儀をして言った女性の髪と目は燃えるような赤。肌は凍てつくような白で、四肢は細く、細身ながらも魅惑的な体躯を持っていた。そんな彼女は華美な装飾の施されたオレンジの踊り子衣装をまとい、右手には祭具なのか、装飾の多い黄金の杖を持っていた。異質な色の組み合わせであることは間違いない彼女の姿に圧倒される。――が、それはすぐに容姿の美しさに関する感想へとすり替わった。

 色が妙でも、それは些細なことであった。

「どうかしましたか?」

「え、あ、いえ。きれいだなっと思って……」

 するとそれを聞いた女性が、一瞬動きが止まったのち、噴き出すように笑った。

「ありがとうございます。私のことは……どうかオーグとお呼びください」

 オーグと名乗ったその女性は柔らかな笑みとともに、装飾を鳴らしながら再度一礼した。

 

いきなりリメイク前と全く違う構成!

ついに始まりました、ラクの物語

少しづつ旧作の子たちも出てきますのでお楽しみに!

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