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1話「出会い」

令和2年5月「お疲れさまです」そんな一言で今日のバイトも終えた。いつものように休憩室で予備校の宿題をこなしていると、不思議と、視線を感じたような気がしたので上を向く。すると、鮮やかな紅色の和服をまとった、綺麗な少女が机の上に座り、興味深そうにこちらを眺めていた。少女は、少し間を開けた後に、信じられないような顔をしてこちらと目を合わせ『あなた、私が見えるの?』と、その小さな顔についた口をを両手で抑え、驚いた様な目、だけど、どこか嬉しそうな瞳で見つめてきた。少し間を開け、(その間、僕が驚きのあまり言葉が出なかったことは言うまでもないだろう)彼女は続けて『わたしね、実は幽霊なの。だから、本来は見えないはずなんだけどなぁ。おかしいなぁ。』僕は信じられなかった、何?幽霊だ?新手のどっきりか?確かにこの子は、可愛いというより美しい。いや、意味分かんないって。『信じないの?じゃあ、私の手を握ってごらん?』僕は、状況がいまいち理解できないまま、机に鎮座した少女の手に触れようとしたが、そこには何もない、無機質な机の樹脂の感触しかなかった。少女はこちらのそんな反応を伺うと『でしょ?』と得意げな表情で言った。すると、ドアの向こうから声が聞こえた「桂くーん!戸締まりよろしくね!勉強熱心なのは感心するが、早く帰ってやらないと真子さんがが心配するぞー!」僕は続いて「はいはい〜!わかりました!お疲れさまですー。」と、平常心を装って答えた。『かつらって・・・あなたが』僕は名前が呼ばれた気がしたので、その少女の方を見た。少女は再び目が合うと、美しい笑顔に戻った。「あ、自己紹介してなかったな。ぼくの名前は桂、桂 泰瑛」すると少女は、『随分冷静ね?人は幽霊を見たら驚いて3日は失神すると思ったんだけどなー。』と頬を膨らまして言った。その少女は本当に綺麗だったので、僕は彼女が幽霊であることを忘れていたので「んー、3日は言いすぎじゃないかな?」と、まるで親しい友人と話すように応えると『私の名前は木崎ひかり、流行り病で慶応元年にこの世を去ったことになってます。まぁ、歳はおばあちゃんだけど、気持ちも姿ものハタチのままよ。』令和アイドルも顔負けな、満点スマイルに夢中になっていると『あら、私の顔になにかついてる?令和の時代は、じっと見られた時、こう応対すればいいのよね?』「ああ、ごめん‥! 20歳、ってことは一つ年上だね。そんなに若くして・・・」僕が悲しげな表情でこんな事を言うと、ひかりはクスッと笑い『あの頃は、今みたいに医学も大して発達していないしね。平均寿命も今よりはずっと短いのよ。だから、あなた方が思うほど、20歳でこの世を去るのも、そう珍しいものではなかったのよ。』そんなこんなで、僕とひかりは、お互い名前で呼び合う程度になるまで話した。”どうやって現代語を覚えたの?”だとか”さっき熱心に取り組んでたそれはなんだ?”とか、物珍しさか、お互いのことばかりだ。「あ、もう11時だ」『あら、本当だ、もう帰らないと、あなたのお母様やお父様が心配するんじゃない?』僕は少し考えたあと「また、会える?」と聞いた。するとひかりは、『そうね。桂くん...いや、泰瑛くんとなら、また会えるね。』僕は今日のことを、誰かに話すつもりはなかったが、高校時代の旧友(っていっても、一年前まで高校生だったんだけどね)にだけ話すことにした、電話が繋がったので、早速「実はさ、バイト先で和風美人と出会ってな」すると『何だお前?まさか幽霊でも見ちまったんじゃねえのか、幽霊でも羨ましいね。』と通話越しでもニヤついているのが想像できるようなイントネーションで言われたので、僕は声のトーンを改め「じつは、そのまさかなんだよ〜」内容は割愛するが、なんとか半信半疑まではもちこめたようだ。『その、お前の幽霊話を7億歩引いて信じたとして、なんでお前だけにしか見えないんだ?そんなことあるか?』「それが疑問なんだよね」『彼女も作らず勉強のしすぎて頭がおかしくなってしまった浪人生を哀れんだご先祖様が、せめてものはからいで幽霊の少女をくださった・・・。んじゃね?』「そういうお前はどうなんだよ。大学生活で少しくらいは浮ついた話し、あるんじゃないのか?」『実はな、俺と同じ大学に進学した、同じクラスののぞみっているだろ。あいつが今の彼女だ。』「まじ??意外すぎるんだけど」・・・そんなこんなで、時計は深夜一時を指していた。流石に明日に響くと思い、電話を切った。その後いつも通りベッドに横たわり「ひかりちゃん、か。」今日出会った幽霊少女の事を気にかけながら、僕は眠りについた。


まさか、これが、あんな事件の予兆であることは、知る由もなかった。

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