プロローグ
今日から投稿を始めさせて頂きます。
いまいちキャラ達の喋り方が固まってなかったり、オイオイと思う点もあるでしょうが、一癖ある人達の生活を書きたいと思っているので、応援していただけるように頑張ります。
よろしくお願いします
とある夜、とある男は枕へ顔を埋め、さながら演劇部の発声練習の如く、大きな声をあげていた。
だがちゃんとわきまえているのか、ちょうど良い大きさとなっているその声は、壁の向こうにいる人へはぎりぎり届かない。
「恥ずい恥ずい恥ずい恥ずいっ、あーもう、なんであんな事するかな!
僕は!よし死ぬか!死ぬ!?いやっ、まだ死にたくない!でもでも……」
支離滅裂気味、非常に強い後悔の念が感じられる嘆きは、この後もしばらく続いたのであった。
◇
男は少し前まで、地元の中学に通うなんて事ない普通の何の変哲もないただの全くもって平凡などこにでもいる有りふれた中学生だった。らしい。
これはこの男本人の証言であり、同級生から言わせてもらうと、実はすごくすごくすごくすごくすごくすごくすごくすごく変な中学生だったのかも知れないのだが…
割愛
ある日、その平々凡々(本人曰く)の中学三年男子の元に、一枚の手紙が届けられた。内容は、
【我が校はあなたを歓迎いたします。入学試験不要、寮制、入学金授業料、その他諸々は我が校で負担します】
という、なんとも胡散臭いもの。
普通ならば首を傾げ、躊躇い、考えた上悪戯だなとゴミ箱に捨てるようなその手紙。
しかし、それを見た男は、こう思った。
(ラッキー、この高校に決めた)
思い立ったが吉日、男はすぐさま記述してあった番号に電話をかけ、その日のうちに入学を決めたのだった。
彼の所属する学校側は、最初こそ何事かと騒いでいたのだが、男が気づいた時にはそんな声も消え、本来受験生として勉強に励むべき一年は、ただただ平穏に過ぎさっていった。
男の唯一の家族である姉は、男が家から離れて寮暮らしをするなど許さんと憤慨していたが、やがて自分もついて行くと言う結論にたどり着いたようで、これには男も驚いていた。
◇
四月、
男は入学式のため、姉の新しい家から学校へと向かっていた。
今日からは寮生活、休日は姉の家に帰ったりする事もあるだろうが、これからの平日はずっと寮住まいである。
姉の家は近いのだし、毎日帰っても構わないのだが、金は要らないんだし寮の方が楽しそうとの理由で男は寮住まいとなった。
男は、歩いている途中、前に同じ高校の制服を着た女子を発見した。
彼女も入学式に出る新入生かな?男がそう考えていると、突然、どこからか突風が吹き込んだ。
人はのちにこう語る。あれは、神風だったと。
風は全ての物に差別する事なく与えられる。ベランダに干された洗濯物にも、地面に散り散りとなっている砂にも。
スカートも勿論例外ではない。防御力を持たないただの布など、何の抵抗もなく舞い上がるのだ。
ふわり、ではない。ぶわっ、だ。
「ーーっ!」
女は風に捲られたスカートを咄嗟に抑え、前から誰も見ていなかった事を確認した。
前の次は後ろ。前方に誰もいなかった事で、女は少し安堵の気持ちを持って振り向いた。
そして発見した。手で押さえているスカートを、臀部のあたりを凝視する、制服姿の男の姿を。
「なっ……」
普通、ここで男が見せるべきだった態度は、見なかった事にする、自分は他のところを見ていた程をとる。
もし目が合ってしまったら、これはもう謝るしかない、と言った感じだっただろう。
そんな選択肢がある中、男がとった行動は、ある意味正直ではあったのかも知れないが、決して取るべきではない選択だった。
「あの、そのパンツ、レースの黒であってる?すげぇエロかったんだけど」
男に、躊躇などなかった。
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