素人の一作品目
──朝だ。枕元の携帯のアラームで目が覚める。視界には朝日をうっすらと反射する見慣れた天井が映り、耳はやけに激しいテンポで流れるロックなギターの音をほんの少しだけ受け止めていた。
「ああ、うるさ…」
意識が覚醒していくにつれ、耳元で鳴くギターの音が段々と大きくなり、いつもよりだいぶ─だいぶどころではない─このボロアパートの一室に響いていることに気がついた。
「そうだった……」
思い出す。今日は何としても寝坊できない日だ。
今日は高校二年生になって最初の登校日。
友達のできる、できないは初日の声掛けによって結構違うのではないか。と一年生の時に友達が出来なかった優美は思っている。だから、何としても昨年のように寝坊してお昼に腹の虫を鳴らせながら目を覚ますような失態は許されないのだ。
ただ、もう何年も友人などは出来たことがなく、休み時間に机に伏せて寝た振りをするのは慣れてしまったが。しかし友人が欲しいか欲しくないかで言ったらやはり欲しいし、いた方が楽しいだろう。などと自他ともに認めるぼっち女子は浅ましい考えを─
『─ドンドンドン!』
隣人が「壁ドン」する音が、友人欲しい欲の檻に囚われた思考が脱獄する合図になった。
「やっば、川谷さんごめん」
よく顔を覚えてない隣人に宙に浮きそうなくらい軽い謝罪の言葉を呟き、携帯のロックを解いて、スヌーズのボタンを押す。
ふわぁ…っとイノシシのような顔で欠伸をし、体を起こした。
「どっこいしょっ…っとと」
少しフラつきながら華奢な体を起こした。
人間、寝ている状態から体を起こすまでは長いが、体を起こした後の行動は結構素早いものである。
素早く布団を畳み、押し入れにドサッと投げ込む。舞う埃にクシャミを堪えながら洗面所に向かい、口をゆすぐ。机の上に寂しげに置かれている特売食パンを皿に出して、スマホで今日の天気を調べた。
─女子力皆無。
「雨かぁ…困るなぁ面倒臭いや。」と、ため息と共に蜂蜜を食パンに落とした。窓から外を見れば雲一つない晴天である。これが昼頃には分厚い雲に覆われるというのだから嫌になる。
食パンを2枚ほど食べた後は携帯でクラスのグループトークを確認し、関わりもしない人の噂話を眺めてから家を後にした。
自転車に乗って駅に向かう途中、鞄の中から激しいロックなギターが流れ始めて思わず転びそうになったのはそのすぐ後のことである。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
読んだ感想がどうであれ、あなたに最大の感謝を。




