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逢魔ヶ刻高校のちょっとオカしな七不思議  作者: 越谷さん


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【024不思議】我こそは生徒会長

 まだ空の明るい放課後の部室には、どこか緊張しい空気が張りつめられていた。

「右だって右」

「真ん中でしょー」

「下から二番目の左とかいいんじゃない?」

「いや今までを踏まえるとこれ以上左に傾かせるのは危険」

「お前ら五月蠅いなー!」

 部室に充満していた小さな声を多々羅は大声を上げて掻き消した。

 多々羅の目の前にはジェンガが組み立てられており、既に穴がボコボコと開いている。

 静かになった部室で多々羅は再びジェンガに向き合い、真剣な表情で安全地帯をくまなく模索する。

 そこで多々羅は一つのスポットに手を伸ばした。

「えっ、多々羅先輩そこいくの!?」

「そこは危ないと思うけどなー」

「絶対崩れる」

「お前ら少しは黙ってろ!」

 再び湧き上がった声に多々羅はもう一度静かにさせ、これ以上ない真剣な眼差しでジェンガに挑む。

 多々羅の大きな手は想像できない程の繊細な手つきで一つのピースを抜きだそうとする。

 誰もが『いけた』と確信したその時、部室のドアが勢いよく開いた。

「失礼する! 西園はいないか!」

 ドアの方から聞こえた声と同時に、ジェンガが音を立てて崩れていく。

 一瞬何が起こったのか事態を把握できなかった一同はしばらく放心状態になっていたが、一足先に把握した多々羅が眉間に皺を寄せてドアの方に目を向けた。

「貴様何者だー!」

「貴様とは何だ! 何をそんなに怒っているのだ!」

 多々羅の剣幕にドアの前に立っている男性は少し困った表情をしている。

 そんな男性の顔を博士、いやこの部室の中にいる全員が知っていた。

「……貴方は」

山崎(やまさき)君?」

 博士の言葉を抑えてそう言ったのは西園だった。

 西園の声に山崎と呼ばれた男性も気付いたようで、声のした方へ目を向けて西園を見つける。

「西園! やっぱりここにいたのか!」

 西園は席を立って山崎の方へと歩いていき、山崎も西園の元へ歩いて隣へとやって来た。

 他の部員達を置いて進められていく話に、乃良が慎重に口を挟む。

「えーっと、確認したいんですけど」

 乃良の声に西園と山崎も反応し、乃良に視線を送ると、乃良も一つ咳払いをしてそれを口にした。


「そこの貴方って生徒会長ですよね?」


「如何にも! ……と、いかんいかん。君達には自己紹介がまだであったな」

 山崎はそう言うと、黒縁眼鏡をクイッと掛け直し、見慣れない一年生達に向かって自己紹介をした。

「僕は逢魔ヶ刻高校生徒会長である山崎だ! 以後よろしく頼む! そして、隣にいるのが逢魔ヶ刻高校副生徒会長である西園だ!」

「いや西園先輩は知ってます」

 意気揚々と声を張り上げて言った山崎に、博士は冷たく水を差す。

 山崎が言い終えたのを見計らって、西園が山崎の顔を覗き込むように見て口を開く。

「それで山崎君、何の用? 今日は生徒会の活動無い筈よね?」

「そう! 確かにそうだ西園!」

 熱血染みた人なのか、山崎は熱くそう言うと、その後も熱く語り出した。

「しかし西園! 例え生徒会活動が無くとも集まるべきであろう! 生徒会とは生徒の手本となる存在。そんな生徒会がだらだらとこんなところにいて良いと思うのか西園!」

「この人西園西園五月蠅ぇな」

 熱く語る山崎であったが、それに対して西園は不機嫌そうに頬を膨らませた。

「えー、活動が無いならどこで何してても良いでしょ?」

「そういう訳にはいかん! 何せ生徒会だからな。しかも君の所属する部活は、生徒の手本となる生徒会があまり居て良い場所では無い」

「あ? そいつはどういう意味だ?」

 山崎の声を聞いて今まで黙っていた多々羅達が、まるで威嚇するかのように山崎を睨みつける。

 しかし山崎には効いていないようで、山崎はそのまま話を続けた。

「そのままの意味だ。生徒会がありもしない妄想を追い求めるなどあっていい筈がない! オカルトなど想像しただけで吐き気がする」

「ちょっとアンタいい加減にし」

 ドンッと千尋の声を遮るかのように大きな音が部室に響き渡った。

 目を向けるとそこにはテーブルに手をつけている博士がおり、勢い余ったのか立ち尽くしている。

 博士はそのまま山崎の元へと歩いていき、目の前で立ち止まった。

 山崎も少し俯き加減で表情が読めない博士に怯えているのか、さっきまでの熱い声明を出してくる様子はない。

 そんな中、博士は山崎の手を取り、顔を上げて山崎の顔を見つめた。

「同志よ……!」

「は?」

 博士の目には涙が溜まっており、山崎は訳も解らずに無様な声を出してしまう。

「高校入学早々こんな訳の解んねぇ部活に入部させられて、訳の解んねぇヤツらに囲まれて、どんだけ探しても俺の味方なんてどこにもいなくて……、だから……、だからー!」

「おい! この子泣いてるぞ! お前達今までこの子にどんな事してきたんだ!」

「何もしてませーん」

「そいつが勝手に泣いてるだけでーす」

 袖で涙を拭う博士に慌てて山崎が叫ぶも、他の部員達はそんな博士を冷たくあしらう。

「よーしハカセー、連行するよー」

「離せー!」

 千尋によって襟首を掴まれ、そのまま引きずられていった博士に、山崎は眼鏡の奥から憐れむ視線を向けていた。

 そんな山崎を眺めて、今度は乃良が口を開いた。

「ねー生徒会長さん。どうしてそんなにミキティ先輩を連れてきたいんですか?」

「ミキティ先輩!? ……だから言っただろう、例え生徒会活動が無くとも生徒会は集まるべきだと」

「別にそんな義務無いんでしょ? もしかして生徒会長さんが西園さんを連れてきたい理由って他にあるんじゃないですか?」

 意地悪そうに笑ってそう言う乃良に、山崎の顔はみるみるうちに赤く染まっていった。

「なっ、何を言っている! そんな事……その……」

 急に語彙力を失った山崎を西園は眺めると、不意に斎藤の方に目を向ける。

 斎藤は西園の視線に気付いていないようで、急におかしくなった山崎を心配している様子だ。

 そんな斎藤に西園は目を細めると、スタスタと歩き出した。

「じゃあ私ちょっとお花摘んでくるね」

「おっ、ようやく行く気になったか!」

「山崎君、ごゆっくり」

 西園はそう言って山崎に笑顔を向けると、ドアを閉めて部室から出て行ってしまった。

 ――あの感じ……、やっぱあの人、全部知ってんな?

 西園の態度に乃良は心の中で確信すると、視線をぼーっとしている山崎に戻す。


「生徒会長さん、ミキティ先輩の事好きでしょ」


「「!?」」

 乃良の言葉に山崎は勿論、斎藤も目を真ん丸にして驚いた。

 山崎の顔色は最早真っ赤で、熟した林檎でも見ているかの様だった。

「きっ、君は一体何を言っているんだ! そっ、そんな事、あああある訳」

「あぁそういうの良いです。見てれば解るんで」

「はい!?」

 冷静に対応としてくる乃良に、正常に作動しない山崎の脳は爆発寸前だった。

 そんな山崎に斎藤は恐る恐るといった様に声を捻りだす。

「山崎君、本当なの?」

「………」

 斎藤の弱弱しく、それでいて真っ直ぐな瞳に山崎は何も言い返す事が出来ず、その重苦しい無言がそれが真実であると示していた。

 山崎の肯定に斎藤はしばらく山崎を見つめていると、決心した様に声を出す。

「ぼっ、僕も」

「あぁそれは知っている」

「ほぇ!?」

 予想外の山崎の回答に斎藤はどこから出したのか解らないような声を上げてしまった。

 そんな斎藤に山崎は厳しい視線を送る。

 ――そして、西園もおそらくこいつの事を……。くそっ、何でこいつなんかが!

 山崎の心の声などもつゆ知らずに斎藤は考え込んでいるのか、ずっと黙ったままでいる。

「ていうか、俺的にアンタがそれを知ってるのが驚きなんだけど」

「ん? いや見てれば解るだろ?」

 多々羅と乃良のそんな会話も斎藤の耳には届いていないようだ。

 そうしてしばらくすると、斎藤が何とか作ったような優しい笑顔を山崎に見せた。

「じゃあ、お互い頑張らなくちゃね!」

「!?」

 斎藤の理解不能な言葉に、山崎は驚いて真意を確かめようとする。

「何を言っているんだ君は!」

「だっ、だって、西園さんを……、その……、取り合って仲良くなくなっちゃうのは嫌だし……」

 ――そもそもそんなに仲良くないだろう!

 山崎のそんな本音も斎藤の頼りない笑顔によって引っ込められた。

 そんな空気の中、ドアが開いて西園が帰ってきた。

「ただいまー」

「おかえりなさいでーす」

 何てことない会話でもさっきまでの空気のせいか、斎藤と山崎はどこか馴染めないようでいる。

 それを何とか壊そうとしたのか、山崎は突然大声を上げた。

「それじゃあ西園! さっさと生徒会室に行こう!」

「えっ、ちょっと! 山崎君!」

 西園の手を掴んで無理矢理連れて行こうとする山崎に、西園は手を振り払った。

 振り返って西園の手を再び掴もうとすると、西園の瞳が山崎の瞳を捕えた。

「やっぱり私、この部室にいたいんだけど……ダメかなー?」

 西園は山崎に向かって上目づかいを極めており、人形のような瞳はまるで山崎の心を見透かしているかの様である。


「お・ね・が・い♡」


「……しょっ、しょうがないなー! 今日だけだからな! また今度来るからな!」

 山崎は顔を真っ赤にしながらそう言って、部室を跳び出していった。

「ふふっ。山崎君、いつもあー言って帰ってるよね」

 その言葉は恐らく斎藤に向けて放たれたのだろうが、斎藤もさっきの西園に脳がやられており、言葉を返す事が出来なかった。

 ――あの人……、魔性だ!

 嬉しそうに微笑む西園に乃良は呆れた視線を送り、これから西園に対して警戒心を持とうと心に決めていた。

逢魔ヶ刻高校生徒会長の登場回でした。

ここまで読んで下さり有難うございます! 越谷さんです!


今回は今までもちょっと登場していた、生徒会長の紹介回となりました!

別にこの作品は生徒会にスポットライトを置く予定はなく、生徒会長も登場させなくていいんじゃないかと思ってたのですが、

今後の書きたい話の流れを考えると、書いた方が良いなと思い、書く事にしました。

こんな熱いキャラにする予定も無かったのですが……ww


どうせ登場させるなら、西園の美少女感を引き立てる為に、西園に惚れているキャラにしようと思い、斎藤を含めて三角関係になりました。

僕は三角関係の話を見てると、邪魔者に対してイライラしてしまったりするのですが……、大丈夫かな?ww

まぁ、下手したら当分出てこないようなキャラなので、頭の片隅にでも置いといてくださいww


それでは最後にもう一度、ここまで読んで下さり有難うございました!

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