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4 王都に行く フィナ編(5巻発売記念)

5巻発売記念です。

 ユナお姉ちゃんと一緒に王都に行くことになりました。初めての王都です。不安もありますが、楽しみです。ですが、そんな気持ちが、一瞬で不安で押し潰されそうです。

 なんでも、一緒に王都に行くのが、この街の領主様の娘さんのノアール様だと言います。

 そのことを聞いた瞬間、不安と恐怖が襲ってきます。

 もし非礼なことをしたら殺されるのでしょうか。一緒に行くのがノアール様と初めから知っていたら断りました。でも、ユナお姉ちゃんは良い子だと言いますが、不安になります。

 だんだんと領主様のお屋敷に近付いてきます。今すぐに家に帰りたいですが、逃げ出すこともできません。

 もし、ノアール様が、わたしと行きたくないと言うことがあれば、ユナお姉ちゃんには悪いですが、帰ろうと思います。


 領主様のお屋敷に付くと、遠くからお見かけしたことがある金色の綺麗な髪をした女の子がいます。ノアール様です。そのノアール様は門の前で仁王立ちするように待ち構えています。

 もしかして、わたしがいることに怒っているのでしょうか?

 近くに行くとはっきりと分かります。凄く怒っています。ノアール様はわたしの方をチラチラと見ています。申し訳ありません。すぐに帰りますから許して下さい。わたしはユナお姉ちゃんの後ろに隠れます。

 ユナお姉ちゃんがノアール様に怒っている理由を尋ねます。それはわたしがいるからですよ。と、わたしは思っていましたが、どうやら違うようです。

 なんでも王都に行くのが楽しみで、ユナお姉ちゃんのことを長い間、外で待っていたそうです。

 それはユナお姉ちゃんは悪くないと思います。

 そして、ユナお姉ちゃんがわたしの同伴の許可を貰います。ノアール様はわたしのことをじっと見ると、一緒に行くことを承諾してくれます。

 でも、わたしに指を突きだして、宣言したときは驚きました。


「クマさんは譲りませんよ!」


 くまゆるとくまきゅうを独り占めにしようと思ったみたいです。

 でも、クマさんには二人で乗るようにとユナお姉ちゃんに言われました。でも、再度、ノアール様に指を差されました。


「前は譲りませんよ!」


 うぅ、怖かったです。

 くまゆるの前にはノアール様が乗り、わたしが後ろに乗ることになりました。

 ノアール様は話してみると、凄く優しい方でした。わたしが平民と知っても嫌なそうな顔をしません。クマさんのお話で盛り上がります。くまゆるに乗って、お屋敷を一周したとか、くまゆるとくまきゅうと一緒に昼寝をしたとか、楽しそうに話してくれます。

 初めはどうなるかと思いましたが、楽しい旅行になりそうです。

 でも、旅って気分は半減します。それは野宿がありません。

 ユナお姉ちゃんのクマさんのお家のおかげで、安全で温かいベッドで寝ることが出来ます。料理も出来立ての温かい物が食べられます。それに絶対にありえないのがお風呂があることです。旅行でお風呂に入るって、どこの貴族様でしょうか。こんな贅沢な旅があるのでしょうか。

 冒険者ギルドで冒険者の話を聞いたことがありますが、快適な旅は聞いたことがありません。食事は簡単な物になり、夜は見張りもしないといけないと聞いてます。もちろん、お風呂なんて入れませんし、温かいベッドで寝ることなんて出来ません。

 なのにわたしたちは見張りもせずに、温かい布団で寝ます。本当にユナお姉ちゃんは凄いです。

 それに昼間はくまゆるとくまきゅうのおかげで魔物は近寄って来ません。本当に安全な移動です。冒険者が聞いていたら、絶対に羨ましがります。


 そんな楽しい旅をしているとユナお姉ちゃんがクマさんを止めます。この先に魔物に襲われている人がいるそうです。わたしには見えませんが、ユナお姉ちゃんが言うなら、きっと本当です。

 ユナお姉ちゃんはノアール様に意見を聞いてます。見捨てるか、助けるかです。

 助けに行くことは、わたしたちにも危険がおよぶことになります。そのことをユナお姉ちゃんは心配をしています。

 話し合った結果、救うことになりました。

 ユナお姉ちゃんが駆け出します。凄く速いです。わたしたちはくまゆるに乗ってゆっくりと進み、見えるところまで移動します。遠くに馬車が見えました。その馬車の近くでは大きな人の形をした魔物がいました。

 あれはオークです。ゴブリンよりも強くて、簡単には倒せない魔物です。……そのはずです。

 ユナお姉ちゃんが馬車に近寄るとオークが倒れました。オークの動きが止まったりします。ユナお姉ちゃん、なにをしたのでしょうか?


「ユナさん、なにしたの?」


 ノアール様も分からないみたいです。

 そして、ユナお姉ちゃんが襲われている馬車に助けに入ったと思ったら、数分も立たずに魔物は討伐されました。なにか、よく分からないうちにユナお姉ちゃんが倒してしまったようです。

 凄いです。

 もう、安全なのか、くまゆるとくまきゅうが馬車に向けて歩き出します。

 馬車の近くに到着すると、冒険者に剣を向けられて驚きますが、すぐに剣を下ろしてくれます。

 襲われたのはお金持ちのお爺さんと女の子。それと女性の冒険者でした。女の子とお爺さんはノアール様の知り合いだったみたいです。再会を喜ぶ姿があります。

 女の子の名前はミサーナ様。お爺さんはグラン様、お二人は貴族の方でした。

 また、わたしの心は不安になります。ノアール様は優しい方でしたが、お二人が優しいとは限りません。言葉と行動には気を付けないといけません。きっと、出発まで黙っていれば大丈夫なはずです。出発すれば別れることになります。

 でも、わたしの願いは届きませんでした。ミサーナ様とグラン様たちと一緒に王都まで行くことになりました。

 とても不安です。でも、わたしの口から嫌とは言うことはできません。良い人ならよろしいんですが。


 そして、不便なことが起きました。ミサーナ様と一緒に行くことになって、クマさんのお家が使えなくなりました。人前では使わないそうです。ユナお姉ちゃんはわたしとノア様は特別だと言います。ユナお姉ちゃんの特別と言われると、なにか嬉しく感じます。

 でも、お風呂とお布団が無いのは残念ですが、これが普通です。だから、我が儘を言ったりはしません。


 そして、ノアール様はミサーナ様と一緒に馬車に乗ることになったので、くまゆるにはわたし一人で乗ることになりました。少し嬉しそうしていると、ノアール様に「今回はクマさんを譲ってあげるけど、そこはわたしの指定席ですからね」と言われました。

 そんなに表情に出ていたのでしょうか?

 気を付けないといけません。


 わたしたちは王都に向けて出発します。

 馬車に合わせて移動するためくまゆるもくまきゅうも走ったりはできません。ユナお姉ちゃんは遅くて少しイライラしているようにも見えます。

 でも、ユナお姉ちゃんはくまきゅうの上で寝てしまいます。たしかにくまゆるの上で眠るのは気持ちいいっです。フカフカしていて、温かくて抱きついていると眠くなってきます。

 わたしがくまゆるに抱きついていると馬車からノアール様が羨ましそうに見ています。表情には出さないようにしないといけません。でも、ふかふかで気持ち良いので、顔が緩んでしまいそうです。


 そして、夜になりました。クマさんお家は使えないので、野宿になります。外で寝るには寒いかと思いましたが、ユナお姉ちゃんとくまきゅうと一緒に寝ることになったので、全然寒くないです。くまきゅうはふわふわでぬくぬくで温かいです。隣で寝るユナお姉ちゃんもモフモフしていて温かいです。凄く嬉しいです。

 ちなみにノアール様とミサーナ様はくまゆると一緒に寝ます。もし、わたしだけがくまきゅうと寝ていたらノアール様に恨まれたかもしれませんでした。良かったです。


 それから、ミサーナ様ともお話をすることもあり、お優しい方だと分かりました。初めはくまゆるとくまきゅうのお話で盛り上がります。なんでも馬車の中で、ノアール様からクマさんの素晴らしさを沢山お聞きになったそうです。

 そして、昨晩くまゆると一緒に寝てから、ミサーナ様もクマさんのことが好きになったみたいです。

 でも、その話を聞いていたユナお姉ちゃんが「本物のクマが現れても近寄っちゃダメだよ」と注意していました。

 くまゆるやくまきゅう以外のクマさんは見たことがありませんが、やっぱり怖いのでしょうか。ユナお姉ちゃんのクマさんを見ていると、そんな感じはしなくなります。今もわたしを乗せてくれています。とっても、優しい良いクマさんです。


 オークに遭遇してからは何事もなく、今日も1日を終えます。

 今日も夜営をして、くまきゅうと一緒に寝ていると体を揺らされます。冒険者のマリナさんに起こされました。

 なにか、あったのでしょうか?

 隣で寝ているはずのユナお姉ちゃんがいません。マリナさんの話によると盗賊が現れ、ユナお姉ちゃんが1人で倒しに行ってしまったそうです。

 ユナお姉ちゃんは「みんなは寝かせておいて」と言われたそうですが、マリナさんはさすがにそれは出来ないと思い。わたしたちを起こしたそうです。

 マリナさんはすぐに移動が出来る準備をするように言います。

 みんな、毛布や荷物を片付けます。いつでも、逃げる準備は出来ました。マリナさんがグラン様にどうするか尋ねます。それって、ユナお姉ちゃんを置いて行くってことでしょうか?

 グラン様は考え込み始めます。どうするか悩んでいると、なにか音が聴こえてきます。

 いったい、なんの音でしょうか?

 マリナさんたちが剣を構えます。

 遠くから黒い影のようなものがこちらにやってきます。

 現れたのは大きな檻を引っ張っている大きなクマさんでした。檻の中には盗賊さんたちがいます。

 ユナお姉ちゃんが1人で捕まえたそうです。捕まえたことも凄いですが、檻のことや、でっかいクマさんのことや、みんな何から聞いたら良いか悩んでいます。

 でも、ユナお姉ちゃんは「魔法でちょっちょいっと」と言います。魔法で盗賊を捕らえ、魔法でクマさんを作ったそうです。みんな呆れて何も言えません。

 魔法に詳しくないわたしでもおかしいと思います。

 そして、ユナお姉ちゃんが言います。

「それじゃ、寝ようか」

 みんなは心の中で叫んだはずです。「寝れません」と。

 結局、ユナお姉ちゃんの提案は破棄され、夜中に出発することになりました。


 それからは何事もなく無事に王都に到着しました。

 わたしたちは嬉しそうにしますが、盗賊さんたちは元気がありません。

 盗賊さんたちは、ご飯も与えらずに王都まで連れて来られました。皆さんが言うには、ユナお姉ちゃんがいなければ、殺されていたかもしれないし、もっと酷いことなっていたかも知れないとも言いました。

 それに食事を与えて、元気になれば何をするかわからないそうです。だから、可哀想でも食事は与えてはいけないし、近寄ってもいけないと言われました。

 盗賊さんたちに食べ物を頼まれますが、あげることが出来ませんでした。

 もっとも、お願いされても食べ物はユナお姉ちゃんが全部持っているので、あげたくてもあげることはできませんでした。

 そんな盗賊さんたちは王都の警備隊の人たちに連れて行かれました。

 でも、これできっと食事も与えられると思います。良かったです。

 わたしたちはグラン様の馬車に乗って王都に入ります。

 いったい、どんなところなんでしょうか。楽しみです。



フィナ視点からの王都に向かう話でした。


5巻を購入してくださった皆さん、ありがとうございました。

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