3 クマのお姉ちゃん。孤児院編(2周年記念)
朝、お腹が空いて目が覚めます。目が覚めた理由はそれだけではありません。少し寒かったせいもあります。壁の隙間から冷たい風が吹き込んできます。
わたしが起きると、他の子も起き上がります。
ここは孤児院。親がいない子供たちの集まりです。
わたしも親がいません。お母さんの顔もお父さんの顔も覚えていません。でも、微かに抱かれていた記憶があります。
いつから居なかったのかも覚えていません。記憶があるときは、孤児院にいました。
初めの頃は朝と夜に食事がでていましたが、最近では夜の一回だけになっています。その理由を先生に尋ねても謝るだけです。
でも、わたしたちは先生とリズお姉ちゃんが食べ物を集めていることは知っています。
だから、わたしたちは文句を言わない約束を皆でしました。わたしたちを優しくしてくれるのは先生とリズお姉ちゃんだけです。
優しくしてくれる2人に嫌われたくないからです。もし、2人に捨てられたらと思うと、怖くて体が震えます。
でも、お腹は空きます。
わたしたちは起き上がると水を飲みます。でも、水だけではお腹は膨れません。わたしたちは食べ物を求めて、屋台が並ぶ広場に向かいます。先生には止められていますが、どうしてもお腹が空いてしまうので、向かってしまいます。
屋台が並んでいる広場に着くと、お店の人に嫌な目を向けられます。仕方ないことです。わたしたちは食べ残しを拾って食べています。でも、お腹が空いているから、気にしていられません。
屋台を見ていると、いろいろな屋台から美味しそうな匂いがしてきます。匂いを嗅ぐとお腹が鳴ります。それはわたしだけでなく、皆も同じようです。
わたしたちは屋台をジッと見て、食べ物を買った人を見て、食べかけを捨てるのを待ちます。
せめて、わたしよりも小さい子には食べさせてあげたいです。
わたしたちは1つだけ、約束をしています。それは盗みだけはしないことです。
前に盗みをした子がいました。それがばれて、先生とリズお姉ちゃんが謝っていました。わたしたちが悪いことをすれば、大好きな先生とリズお姉ちゃんに迷惑がかかります。
だから、悪いことだけはしないと約束をしています。
屋台を見ていると、変な格好をしたお姉ちゃんがやって来ました。
あの格好はなんでしょうか?
誰かがクマと言いました。クマさん?
モコモコして、とっても温かそうです。
クマさんの格好をしたお姉ちゃんがわたしたちの方を見ます。
そして、屋台のおじさんと何かを話しています。
クマのお姉ちゃんは屋台のおじさんからたくさんの串焼きを受け取ります。とっても美味しそうです。でも、かなりの量がある。あれを1人で食べるのでしょうか。
クマのお姉ちゃんを見ていると、こちらにやってきます。
すると、串焼きをわたしたちの前に差し出します。
「1人1本食べなさい」
わたしはクマのお姉ちゃんが言っている意味が一瞬わかりませんでした。
でも、目の前に串焼きが出されています。
「食べていいの?」
クマのお姉ちゃんに尋ねると、「熱いから気をつけて食べなさい」と言う。
わたしたちはお互いに顔を見合わせると、串焼きに手を伸ばした。
口に入った肉はとっても美味しく。みんな夢中で食べました。クマのお姉ちゃんが慌てて食べないように言いますが、みんなの耳には聞こえていません。
食べ終わるころ、クマのお姉ちゃんはもっと食べ物を食べたいなら、孤児院に案内してと言われた。
わたしたちは悩みましたが、お腹一杯に食べれるようになるならと思い、クマのお姉ちゃんを孤児院に案内することにしました。
みんな、クマのお姉ちゃんを見ますが、誰も声をかけません。
わたしが声をかけることにします。
「あのう、ありがとう」
なにを言っていいのかわからなかったので、お礼をいいます。
クマのお姉ちゃんは「気にしないでいいよ」と言うと手をわたしの頭の上に乗せます。
頭の上がほんわりと温かくなった感じがしました。
孤児院にやってくると、クマのお姉ちゃんは驚きます。
「こんな、ぼろい家に」
小さい声でしたが、わたしには聞こえました。
家を見ていると、先生がやってきました。
そして、わたしたちが屋台に並んでいる広場に行ったことを知ると、少し悲しい顔をして怒ります。
みんな、謝ります。行ってはいけないと言われていたのに行ったからです。
クマのお姉ちゃんと先生が話し合います。なんでも、食べ物を出してくれるそうです。
先生とクマのお姉ちゃんはキッチンに向かいます。
わたしたちも付いてきます。すると、クマのお姉ちゃんは大きなお肉を出します。肉を切って、野菜と一緒に焼いていきます。凄く良い匂いがしてきます。
みんな、お腹を鳴らします。口の中に涎が溢れてきます。
先生は椅子に座って待つように言います。みんな、素直に席に座ります。
そして、テーブルの上には見たこともない量の食べ物が並びます。パンもあります。
でも、誰も手を出しません。
すると、先生がユナさんにお礼を言って食べなさいと言いました。
クマのお姉ちゃんの名前はユナお姉ちゃんと言うみたいです。
わたしたちはユナお姉ちゃんにお礼を言って、料理を食べます。
凄く、美味しいです。パンも固くありません。とっても柔らかくて美味しいです。みんな、凄い勢いで食べて行きます。
そんな様子を見ていたユナお姉ちゃんが、先生に孤児院の中を見回る許可をもらっていました。
ユナお姉ちゃんが部屋から出て行ってしまいます。わたしは急いで食べて、ユナお姉ちゃんを追いかけます。ユナお姉ちゃんは外に行きます。そして、魔法で穴が空いた壁を塞いでいきます。凄いです。穴がどんどん埋まっていきます。
家を一周すると、次に家の中に入ります。そして、同様に壁などの穴を塞いでくれます。
「これで、寒くないでしょう」
ユナお姉ちゃんが微笑みます。そして、ベッドにある小さなタオルを見て、少し悲しそうな表情を浮かべました。そこに先生がやってきました。すると、ユナお姉ちゃんは温かそうなウルフの毛皮を人数分出してくれました。
温かそうです。先生はお礼を言って受け取ります。
そして、食堂に戻ってくると、全員が食べ終わっていました。でも、肉の塊が残っています。
どうやら、明日に食べることにしたいそうです。
それはわたしも同じです。今日は食べました。でも、明日は食べれるかわかりません。
そのことを言うと、ユナお姉ちゃんは、たくさんの肉やパンを出してくれました。
ユナお姉ちゃんは数日分の食べ物を置いて行くと、帰って行きました。
その日の夜、みんなでユナお姉ちゃんに感謝をしながら、ウルフの毛皮を抱きしめながら寝ました。
目が覚めます。とっても温かい目覚めです。
隙間風も入ってきません。そして、なによりもウルフの毛皮が暖かいです。
そして、みんなで朝食の用意をします。これもユナお姉ちゃんのおかげで食べることが出来ます。
朝からお腹が膨れたわたしたちは外にでます。
家から外に出ると家の近くに大きな壁がありました。
みんな、「なんだ」「なんだ」と口にします。そんなこと誰にもわかりません。
先生を呼んで来ますが、先生も分かりません。だって、昨日にはありませんでした。わたしたちは怖くなって家の中に入ります。
すると、ユナお姉ちゃんがやってきました。
なんでも、あの壁はユナお姉ちゃんが魔法で作ったそうです。
凄いですが、なんであんな壁を作ったのでしょうか?
話を聞くと、なんでも鳥を育てるために作ったそうです。その鳥から生まれる卵を回収して、掃除をして鳥の世話をするそうです。その仕事をわたしたちにして欲しいと言います。
それで、お金にして食べ物を得るそうです。
先生がわたしたちに聞いてきます。
「あなたたちどうしますか? ユナさんが仕事を与えてくれるそうです。働けばごはんが食べられるようになります。働かなければ、数日前の状態になります。ちなみにユナさんが食料を持って来て下さることは、もうありません」
先生が真っ直ぐにわたしたちに尋ねます。「やりなさい」とは言いませんでした。わたしたちは顔を見合わせます。そして、1人が手を上げて「やります」と大きな声で返事をする。すると、次から次へと手を挙げる。わたしも手を挙げて「わたしもやる!」と返事をします。
そんなわたしたちを先生は嬉しそうに見ます。
わたしたちは鳥のお世話をすることになりました。
鳥のお世話は主に餌や水をあげることです。それから掃除、卵の回収になります。掃除は綺麗にしないといけないと言われました。病気にでもなったら大変だからです。そして、卵が大事です。これがわたしたちの食事になるそうです。
翌日、仕事をするために鳥小屋に入ると、鳥さんが隅でジッとしています。鳥さんを持ち上げると、白い卵がありました。わたしは卵を手に取ります。そして、集めた卵を綺麗に洗って、ユナお姉ちゃんが用意してくれた卵を入れる箱に入れます。箱は卵の形をしていて、10個ほど入るようになっています。
卵を集め終わると鳥さんを外に放し、小屋の中を綺麗に掃除をします。
鳥さんは少ないので、みんなでやるとすぐに終わります。
あとは鳥さんを小屋に入れるだけですが、まだ時間があります。それまで遊んだり、勉強をしたりします。そして、時間を来ると鳥さんを小屋に入れます。鳥さんは飛べないのに、走るのが速いので捕まえるのが大変でした。
でも、みんなで頑張って捕まえると、笑顔になります。
1日の仕事が終わります。
そして、翌日も鳥さんのお世話するために小屋にやってきます。
あれ、鳥さんが増えています。みんな、首を傾げます。
「鳥さんが増えているよ」
数を数えると、昨日より10羽増えています。
みんなが不思議に思いながらも仕事をします。すると、ユナお姉ちゃんがやって来ました。鳥さんが増えたことを話すと、夜のうちにユナお姉ちゃんが持って来たそうです。
驚きましたが納得しました。これから、どんどん、増えていくそうです。わたしたちは頑張ります。
お読み、ありがとうございます。
次話は未定です。
5巻発売か、なにか記念がありましたら、書かせてもらいます。