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07

 蒼葉を恐山(おそれざん)に置き去りしてからもう1年半。

 時は早いもので、わたしたちは高校生になった。


 今日が、入学式だと思うと感慨深い。

 これまで色々と働きかけてきたが、折れたフラグもあれば折れなかったフラグもあったなぁ……



 まずは、折れたであろうフラグ。


 1.紅楳深紅のレ○プによる処女喪失イベント

 青森旅行でたっくんに夜這いをかけられ、合意の上で初めてを失った。

 わたしたちは旅行でそんなことをするつもりはなかったが、その場のノリというのは恐ろしい。

 避妊具を用意していなかったにも関わらず最後までしてしまった。

 痛いのは初めだけで、徐々に気持ちよくなり最後は頭が真っ白で。

 おかげで、歯止めが効かなくなってしまった。


 翌日産婦人科に行ったので事なきを得たが、妊娠をしていたらと思うと……

 この世界、科学だけでなく医学も発達しているため、アフターで避妊率99.8%である。ありがてぇ。

 後日、お互いに反省して半年間は坊主とオカッパ頭で過ごした。


 早乙女さんの配慮により、互いの両親にはこのことは伝わっていない。

 ただ、わたしの母親だけはすぐに感づいたが。

 ニヤニヤしながら「認めたくないものだな、若さ故の過ちというものは」とかわたしの耳元で呟いていくんだから。


 まあ「そんな大人修正してやる」と言ってやったらものすごく動揺して、その場でズッコケたが。


「私は完全に脱オタしたの! 洗脳しようとしたってダメだから!」


 この日、ものすごいどうでも良い理由で、初めて母親にキレられたので印象深い。

 父さんも懐が深いから、オタク趣味でも何も言わないと思うけどなぁ。


 今は、徐々に母親を洗脳するために一般人(パンピー)向けの漫画を、()()に貸すようにしている。

 すると「あの人と共通の話題になるから」という理由で母さんも漫画を読むのだ。チョロいですわー。



 2.蒼葉の霊力覚醒イベント

 恐山での修行により、見事に蒼葉の才能は開花した。

 ゲームでの切っ掛けが”紅楳深紅の死”という精神的な要因であるが、才能自体は本人が秘めているものなので、切っ掛けがあれば開花すると思っていたが……上手くいったようだ。


 イタコさんに気に入られ、3日間の予定だったのが夏期休暇をフルに修行に使うことになったのが蒼葉らしい。

 ”おばあちゃん”、”アオちゃん”と呼び合っており、本当の孫と祖父母の関係に見える程だ。

 ただ、修行の時は修羅になるそうだ。

 何度も死にかけて三途の川を渡りそうになった話を、長々と聞かされた。


 だが、修行のお陰で、蒼葉の能力は大幅強化された。

 しかも、『妖怪憑きと王子様』とは違う方向に才能が開花した。


 非現実(ゲーム)では妖怪と契約し、霊力によって具現化させ使役する”妖魔使い”だったが、現実(リアル)では、御霊と契約し、蒼葉の身体に降臨させ戦う”口寄せの巫女”という和風寄りの職業(ジョブ)になったのだ。


 蒼葉は”小松さん”という天正期に生まれた弓の名手と契約をしている。

 おそらく、本多忠勝(有名な戦国武将)の娘の稲姫のコトであるとわたしは睨んでいるが、真相は不明だ。

 真名(マナ)はおいそれとは口にできないという、例のアレである。

 小松とか名乗っている時点で殆どアレだけど、気にしたら負けだと思っている。


 それに、ジャンガリアンハムスターの”小梅ちゃん”。

 生前は蒼咲邸のペットとして、蒼葉を初めとする家族に可愛がられていた。

 口寄せするとどうなるか聞いたのだが、蒼葉は顔を赤くして首をぶんぶん振るだけだった。気になる。

 真名は蒼葉も知らない。ハムスターの両親に名付けてもらった名前があるらしい。


 ともかく、これだけ強ければ妖怪と対峙した時も蹴散らせるであろう。

 紅蓮の乙女(ヴレイズヴァルキリー)の紅楳深紅はお役御免ということだ。

 生者に取り憑いている妖怪や、ち○こに似た形状をしている触手にレ○プされる未来はなさそうで安心。



 3.ゲームにおける攻略対象との交際、及び百合ルートのイベント全般

 蒼葉と弟が正式に結婚を前提とした男女交際を始めた。

 これで蒼葉とゲームキャラとの交際が始まることはないだろう。


 以前に「緋色(おとうと)くんとキッスしちゃった! ファーストキッス!」と報告してくれた時は「あれれー、おっかしいなぁ。蒼葉のファーストキスは小学生の頃に」と言いたくなったが、まぁ、良いだろう。

 わたしもたっくんに「ファファファ、これはファーストキスなんだから!」と偽りの真実を語ったのだから。


 ともかく、仲が良いのは素晴らしいことだ。

 末永く幸せな関係が続いて欲しい。


「深紅ちゃんの初体験が中学2年生だから、緋色くんがその年齢になったら、あの。その、私も……頑張って、もっと仲良くなるから!」


 と言っていたので、今年の夏が楽しみである。

 蒼葉、高校1年生。弟、中学2年生で、当時のたっくんとわたしの年齢になるし。


 わたしが初体験の思い出をそれはもうロマンチックに何度も何度も語ったため、蒼葉はセッ○スに過剰な期待を抱いている節がある。

 期待値を上げすぎて弟がしんどいと思うので、5月の誕生日にはセッ○ス入門の映像ディスクをプレゼントしよう。予習は大切だ。

 今回が、弟を性的な意味でからかう最後の機会だろうし。本腰を入れないと。

 たっくんに相談すれば、二粒おいしいし。


 プリカでは年齢認証が出来ずに買えないので、購入は早乙女さんに頼もう。



 以上。

 総合すれば、わたしの死亡フラグはもう完全に折れているんじゃない? という感じ。

 しかし、折れなかったフラグに嫌な予感が集約されるのもまた事実。


 ――――私立紅楳高等学校。

 わたしの父親が理事長を務める高校に、結局通うことになったのだ。

 理由は、新設された学科の存在にある。


 娘の「レベルが高い高校で勉強したい」という発言に対して親馬鹿が発揮されて、学校に『普通科・蛍雪コース』なんてものを創ってしまったのだ。うちの父親は。

 そんなことまでされたのに「別の学校行きたい」なんて言えることもなく、渋々と紅楳高校に通うことになった。

 ただし、我が儘は言わせて貰ったが。


 内容は『黄瀬黄土(きせ おうど)』『翠川碧(みどりかわ みどり)』『村崎紫龍(むらさき しりゅう)』『外道院獣(けどういん じゅう)』という名前の入学生がいれば、面接、筆記が良くても無条件で落として欲しいということ。


「わたしと蒼葉にちょっかいをかけてくれる厄介な子らだから」


 そう簡潔に説明すれば、父は「任しておけ」と答えてくれるのだ。

 持つべきモノは権力を持った両親である。



 そして、だ……

 やれることはやったにも関わらず、折れていないフラグがやっぱりあった。

 嫌な予感というのは、総じて当たるものらしい。


 校舎前に貼り出されているクラス別け一覧表に、気かかる名前があるワケだ。


「やった! 一緒のクラスだよ深紅ちゃん」

「お、おう……」

「もー、もっと喜んでよ!」

「だって、蛍雪コースは1クラスしかないじゃない。内定している時点でわたしらは一緒だから」

「様式美ていうのがあるんですー!」


 蒼葉の笑顔が眩しい。

 一緒に馬鹿なノリでキャッキャしたいが、素直に喜べない。


 何故なら『外道院獣』と同一存在である可能性が高い人間がクラスメイトにいるからだ。


祁答院獣(けどういん じゅう)


 漢字と濁点に違いはあるが、ほぼ確定的だろう……

 現実で”外道院”という名前はアレなので、運命力的な何かでそれっぽい名字に修正されていてもおかしくない。


 外道院獣は、その名前の通り外道で獣のような男で、チャラチャラしながらも荒々しい大人の雰囲気をしている。

 そのため、主人公の同年代には見えず、開発スタッフからは淫獣先輩の渾名(あだな)で親しまれていた。


 キャラクターテーマは『レ○プから始まる恋』と、なんとも最悪。

 妖怪や霊能力者を性的に食べるコトで力をつける能力『房中妖術』を持っている。


 淫獣先輩の好感度が一定値以上まで上昇すると、蒼葉と仲良くしているキャラクターを彼女が見ている場所でレ○プする。

 両刀使いなので、男女問わずだ。処女も非処女も美醜も関係ない。

 そんな光景を見て、ゲームの蒼葉は「滅茶苦茶に犯されたい」とトチ狂ったことを思うのだ。


 当然だが、レ○プ対象の中には深紅も含まれる。


「その深紅に輝く髪、実に俺様好みだ――――愛してるぜ」


 なんて言いながら押し倒される。勘弁してほしい。


 乙女ゲー的には、内部BL受容を満たす貴重な存在として”私”含む女性スタッフから歓喜された彼。

 むしろ、嬉々としてシナリオをメインで考えたのが”私”だ。

 メインライターの蘭ちゃんが若干の修正を加えたものの、殆どが”私”の犯行である。

 頭が腐っているんだから、仕方ないと思うんです。


 今の”わたし”も腐っているけど、当時はもっと腐っていた。

 惨事に好きな人もいなかったし、虹のやおいの世界こそ私の理想郷(エデン)だったのだ。


 この結果は因果応報というべきか。

 くっそ……悔しい。


 おそらく、弟を彼の体系に近いマッチョにしたことがフラグの成立に咬んでいたのだろう。

 蒼葉が乗り換える先としては、見た目でいえば上位相関だ。

 性格なら圧倒的にうちの弟が絶対無敵に大勝利だけどな。くそぅ。


 不本意だが、展開としてはNTRが考えられる。


 あれだけ好きだった淫獣先輩だが、今はゴキブリ以下の害虫だ。

 蒼葉同様に、ゲームキャラとは違う本人の意思があるんだろうが関係ない。

 近寄ってくるなら、社会的に始末しなければならない敵だ。


 もはや死亡フラグは関係ない気がしないでもないが……

 ”私”が蒔いた種は、責任もってわたしが刈り奪らねばならない。


 幸い、院獣先輩は妖怪でも、半妖でもない人間だ。

 相手は人間、こっちも人間。

 霊能力者だろうが、何だろうが、カネとコネの力を持つ紅楳深紅に勝てると思うなッ……!


 日々運動を欠かさず、身体能力の強化にも励んでいる為、肉弾戦になっても簡単には負ける気がしないが。

 最悪、リスクを承知で紅蓮の乙女(ヴレイズヴァルキリー)としての力を解放すれば良い。

 蒼葉の霊術とは違う、科学の力で。ククク……


 まあ、威力を上げたスタンガンで殺れるからそこまでしなくて良いだろうし。

 切り札は切った瞬間に殺しきれなければ切り札ではなくなるから、残しておくのも良い。


 まずは淫獣先輩から蒼葉に対して好感度が上がらないように、悪い先入観を与えておこう。


「蒼葉……祁答院獣という生徒には注意するように」

「なに? 危ない人?」


「変態よ」

「深紅ちゃん……」


 蒼葉は、急に真面目な顔になってこう言った。


「同族嫌悪って言葉知ってる?」

(^q^)「……」

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