紫、出会う
まだ普通に妖怪襲ってくる時代の話ですよ~
紫がその人物と会ったのは偶然だった。
「まぁ、誰の目にも止まるわよね・・・・・・」
金色の尻尾に人一人くっ付けて移動しているのだ。
目に止まらないはずがない。
ーーーん?尻尾?
「ってことは妖怪?」
陰陽師が妖怪を式にする事はあるが、その逆はない(たぶん・・・・・・)。
そこで会話が聞こえてくる。
「おい、妹紅。いいかげん尻尾から離れろ」
「なんでだよ。別にいいだろ、師匠」
「・・・・・・はぁ」
色々苦労しているようだ。
「・・・あと、見てないで出て来たらどうだい」
「何言ってんだ?師匠」
「ん?すぐに分かるさ」
そこで紫はスキマから出る。
「なぜ分かったのかしら」
「ん~、勘、かな」
「ふふふっ。面白いわね、あなた」
「まぁなんだ。せっかく会ったんだし、自己紹介なんかを含めて歩きながら話さないか?」
「そうね。私は八雲紫。よくスキマ妖怪と言われるわ」
「僕は蒼輝。苗字は・・・たくさんある」
「・・・・・・そう」
なぜか一瞬暗くなったのが見えたので紫は深く入らないようにする。
「でもあなたの噂は聞いたことないわよ」
「ああ、目立つのがイヤなんだよ」
「それでもそれだけの実力があれば噂ぐらいは普通立つわよ」
「口止めしてるからな」
と、会話を弾ませていたら、藍がスキマの中から
「紫様。ご飯の用意が出来・・・・・・」
そこで言葉が途切れ
「ら、藍・・・・・・?どうしたの?」
次に出た言葉は・・・・・・
「お、お兄ちゃん!」
だった!
さすがの紫も面食らって
「え・・・・・・」
としか言えなかったようだ。
蒼輝は
「お、妹じゃん」
と言っていた。
藍は飛び付いて、訂正する。
「違います!今の名前は藍です!八雲藍です!」
「分かった分かった、分かったから」
九つの尻尾を振り回し狂喜乱舞する藍を蒼輝は受け止めていた。
「あのとりあえず、家来ない?」
紫はじゃれ合う兄弟に向かって一言言うのが精一杯だった。
「じゃあ先行ってますね紫様!」
「え?ちょ、ちょまっ・・・・・・て・・・・・・」
藍は兄を連れて行ってしまった。
さすがに尻尾にくっ付いているのはやめたが、置いていかれた妹紅。
「え・・・あ・・・・・・置いてかれた・・・・・・」
「えっ、と、行きましょうか・・・」
妹紅を連れて屋敷に向かう紫だった。
藍のキャラが壊れた気がする・・・・・・。