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その1

       (1)



 ボクの親友谷口くんの彼女は変わっている。

 ある日のこと、ボクが谷口くんの彼女の家に遊びに行った時の話。


「はい麦茶」


 外は暑かったので、ありがたくいただいた。


「あ、ゴメン。麺つゆと間違えて麦茶出しちゃったー」


「……あってるから」


 超高度なネタ振りだったのだろうか。



        (2)



 ボクの親友谷口くんの彼女は変わっている。

 麦茶の話の続きだ。

 谷口くんの彼女は冷蔵庫の前で何かゴソゴソとやっていた。


「さっきから何してるの」


「うん。自家製麺つゆと水だし麦茶が似た容器に入っているから、間違えないようにラベルをつけようと思ってねー」


 それは殊勝な心掛けで。


「ねえねえ。麺つゆの『つゆ』って漢字でどう書くの?」


 ボクはさっそく携帯を取り出すと、ウィキペディアで調べてみた。


「……液でも汁でもどちらでも良いみたい」


「ふーん。ありがとー」


 キュキュッキューっとマジックの音。

 なんとなく嫌な予感がしたので、谷口くんの彼女の肩越しに覗いてみると。

 ピンクの蛍光ペンで丸っこくて可愛らしい文字。

 『MEN液』


「…………どうかなー…………」


「MEN汁の方が良かった?」


「どっちでもいいよ。もうどっちでもどうでも」


 お昼に素麺をごちそうになった。

 谷口くんの彼女が、谷口くんのお母さんから作り方を教わったという麺つゆはとても美味しかった。

 谷口家の味だ。

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