不要な器官
突然激痛が走った。
今までに経験のない痛みだ。これはいけないと救急車を呼ぶが、そこで意識が途絶える。
目が覚めると病院だった。
医者はしばらく私の身体を調べていたが、原因が分かったようで手を止め話し始める。
「ああ、コレはアレだネェ」
「アレ……とは?」
「ある器官が酷く炎症を起こしている。切除するが良いかね?」
切除と言ったか?そんな乱暴な。
いくら炎症を起こしているとはいえ、いきなり切除とは。
「ああ、心配するな。特に必要な器官でもないのだ。切除しても長生きしている人がたくさんいるからね」
「不要なのでしたらぜひやってください、先生」
「うむ、分かった」
手術にそれほど時間は掛からなかった。
術後は先ほどまでの痛みが嘘のようで、心なしかさっぱりした気分だった。
「どうもありがとうございました」
「うむ。一応、経過を見たいので1週間後にまた来るように」
※※※
「それにしても、一体なぜ我々の体には、このような器官が備わっているのだろうな。特に何の仕事もしないのにエネルギーだけは喰らい、ときたま炎症で激痛を引き起こすだけの器官が」
医者は金属の腕で、先程摘出した器官を焼却装置に投げ入れる。彼らアンドロイドにとって不要な「人間」と呼ばれる小さな人型の臓器を———。