雀荘の女
雀荘ローズに入店すると、若々しい女性の声が聞こえました。茶髪のボブヘアで大きなピアスをしている若い女性でした。
女「あっスーさん!どこ行ってたんですか?常連のカベさん達もう来てますよ。奥のVIPに」
スー「わかってる、それよりも・・・・・」
ローズは地元の常連連中で賑わっている様子でした。お酒を飲んでいる人も沢山居ます。もう少ししたら、まだまだ人が増えると言います。
スー「にしま、この娘がさっき来る途中で色々と話した『ハイリ』だ。この娘に麻雀を教えてやって欲しい」
にしま「にしまです。よろしくハイリさん」
ハイリ「年上でしょ?だから呼び捨てでいいよ。にしまさん宜しく!」
スー「レジは一旦シュンに任せて、お前はにしまと端っこの卓で特訓しなさい。忙しくなったらまた呼ぶから」
今日私はハイリを稽古をつけてやらないといけません。柔道なら稽古をつけてやった事はあります。しかし他人に麻雀を勧めるのはどうかと思いましたが、アルバイトで入ったという事はしっかりその道の良し悪しを覚えないといけません。
言われた卓につくにしまとハイリ。
ハイリ「にしまさんどこ出身??」
にしま「ここが地元だよ」
ハイリ「そうなんだ、どおりでガラが悪いと思ったよ」
にしま「ガラが悪い?いやそんなことはない、たまに肩に小鳥が止まってる事もあるんだぜ俺は。・・・・・ハイリは学生?」
ハイリ「小鳥ってスナフキンかよ!私ね、この近くの専門学校に居たけど直ぐ辞めちゃったのよ。全然学校楽しくなくて、辞めた事を親に電話言ったら、世間体が悪いから暫く地元に戻ってくるなって言われたからこっちで仕方なくアルバイトしてんのよ、うちの親酷くない?にしまさんって煙草吸うの?」
と言うとハイリは卓横から周りから見えないように煙草を手渡してきました。
にしま「エレベーターっぽい事はできるんだな」
※ エレベーター=イカサマ。あらかじめ多めにツモった牌を卓上から下へ流すこと。
にしま「パーラメント・・・・ハイリこんなもん吸ってるのか?」
ハイリ「だって、レジの所に死ぬほどあるよ!」
にしま「ええ??それ店のストックだろうが、バレるぞ。確かこれ・・・・まぁまぁ高いから。」
ハイリ「それがさ、ここの常連こればっかり吸うんだよ。見栄っ張りなのかな?個数の管理ももう一人のバイトのシュンがやってるから滅茶苦茶よ。全然数えてねぇ」
にしま「杜撰だなぁ・・・・はぁ、俺の友達もこのタバコが好きだった。ローズに打ちに来てるかもな」
ハイリ「え?友達の名前は?」
にしま「みなみ」
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
ハイリ「えっ・・・・・・・みなみさんの友達?へぇーあの人って友達居るんだ」
にしま「なに?あいつの事知ってんのか?」
ハイリ「たまぁーに仕事中かな?スーツ姿で来るよ。仕事の面接や社交場としてここを使ってくれてるよ。でもほんとたまにしか来ないよ」
にしま「あいつはなんの仕事してる?」
ハイリ「なんか登録しろとかなんとか言ってたから・・なんだろうな・・・しっかり話した事が無いけどあんまり関わらない方がいいよ。夜の店を行き来してて、怖い人と一緒に来ることもあるから」
にしま「怖いって、きたのの事だろ?きたの本人は俺から言わせたら全然怖くないぞ。ヤバいのは取り巻き」
ハイリ「えっ!良く知ってるね!!そのきたのさんのお父さんとかその部下の人達とかかな。」
にしま「だろうな。子どもの頃からずっと一緒に居て、仲が良いはずだから。・・・・まぁみなみの話はこれくらいにしといて、早速始めるかぁ麻雀を。早く始めないとスーさんに叱られるわ」
ハイリ「うん!そうだね!」
私の幼馴染のみなみもきたのもここに訪れるようです。どうやら今日は来てなさそうですが、このローズに入り浸れば、いつか会う事になるかもしれません。ひがしぐちはきっと金が無くて店から追い出されてます。後でスーさんに言って、出禁リストを見せて貰おうかな。
にしま「じゃあ早速、やってみるか、2人打ちな。ちょっと先にハイリの実力だけ見せて貰うわ」
※ 2人打ち=麻雀は本来4人ですが、2人で行う事。3人でやることを「サンマ」とも言う。
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にしま「ツモった?あれ?・・・おい多牌だぞ、キリ忘れただろ」
※ 多牌=本来の牌の数よりも多く持っている
※ キリ忘れ=不要牌を場に出し忘れ
ハイリ「は?なんの話」
にしま「それチョンボ。多牌はアガリ放棄だ。或いは罰符。」
※ アガリ放棄=ロン、ツモ不可。(要はその局勝てない)
※ 罰符=反則による罰金
ハイリ「ちょっと、楽しめないじゃない!厳しいよにしまさん!」
にしま「どこがや!!もっと厳しいこと山ほどあるわ!!」
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