ささやかな歓迎会
私達は横丁から歩き、少し離れたディスカウントショップに到着しました。
この田舎にしては24時間営業のお店で、地域の住民は非常に助かっています。何か困った時はここに寄るような、駆け込み寺のような立ち位置になっています。
にしま「ハイリが飲み足りないって言ってるし、今日は強めのお酒を買うかぁ♪」
何故か私はノリノリでした。恐らくアルコール・・・・・回っているのかもしれません・・・・。
ハイリ「賛成賛成♪大賛成♪」
シュン「そしたらチューハイはこのアルコール9%のやつにしましょうよ♪焼酎も炭酸水も極限まで安い物を買いましょう♪」
次の日は全員夕方からの雀荘勤務なので、この時間帯で強いお酒を飲んでも一切関係無しです。明日の勤務前にはきっと抜けている事でしょう。
仲間とのこの買い物が、実は一番楽しかったりします。
アルコール度数が高く値段が安い缶チューハイ、安い知らないメーカーの焼酎、炭酸が抜けてないか心配になるような値段の炭酸水と、バチバチに安い100円ツマミ達をそれぞれ購入し、わいわい話しながら近くのハイリのアパートに向かいました。
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ハイリ「・・・・ここだよぉ♪」
にしま「えっいいとこ住んでんじゃん!」
ハイリ「違う違う、その隣だよ!(笑)」
目線を少し奥にやると・・・・
オンボロアパートでした・・・・・。
シュン「おいおい、幽霊が出そうだな・・・・」
ハイリ「仕方ないじゃない、ここしか家賃が払えないんだから!一応シャワーとトイレは部屋についてるから!使いたかったら使っていいからね!!」
201号室。ハイリの部屋は二階上がって直ぐの角部屋にありました。
キッチンの窓にピンク色のカーテンが見えます。
にしま・シュン「おじゃましまーす・・・」
キィィィーー・・・・・・
真っ暗な廊下から薄い扉を開き、靴を脱ぎ、真っ暗の部屋を恐る恐る進んでいく私達・・・・
ハイリ「ごめんね!台所の電球切れてて!!(笑)」
にしま「だから暗いのか!!それは危なすぎる(笑)今度俺が電球つけてやるから、転ぶぞ」
部屋の中心にある、紐のような物をハイリが引っ張った所で、ようやく電気がつきました。
・・・部屋はピンク一色・・・・・・・『THE 女の子の部屋』・・・・・
正方形のテーブルも座椅子も寝具も全てピンク色・・・・置いてある名前の分からないキャラクターのぬいぐるみまでピンク色・・・・。
にしま「大ピンクハウス・・・・・」
シュン「てか狭いなぁ(笑)俺の方が良い物件に住んでるわ(笑)」
ハイリ「確か・・・・五畳・・・だったかな??・・・家賃滞納した時に追い出されちゃってさ、次の宿を探すの大変だったんだから!」
やはり彼女は、それなりに苦労しているようです。苦労する星に産まれています。
にしま「えっ!俺の実家の部屋は四畳半だけど、なんかそれよりも狭く感じるぞ!1Kだよね?」
ハイリ「あーそこのお風呂も併せて五畳だからさ・・・確か・・・・」
ハイリは恐らく、契約の時にあまり不動産屋の話を聞いていません。
部屋の一部がシャワールームになっていました・・・なるほどな・・・・ということはキッチンも何もかも含めて敷地面積が五畳分なんじゃないかな?・・・・勿論本間ではなく、京間換算で・・・・。
微妙ですが、騙された感があるハイリのお部屋でした・・・・。
今時になって驚かれる方も多いと思いますが、私の地元はこのような物件が非常に多いのです。
シュン「せっかくだからシャワーを借りようとしたけど、脱衣所がないじゃん(笑)」
ハイリ「無いよぉ、入るなら背中向けとく」
にしま「アイマスクと耳栓しておくわ」
ハイリ・シュン「耳栓は要らないでしょ!(笑)」
何かブツブツとこの部屋に対する小さな文句を言いながら、私達は正方形の小さな机を囲みました。
ハイリ「飲もう飲もう♪」
シュン「にしまさん、ローズにようこそ!!かんぱーい!!」
私達はハイリのアパートで飲みなおしました。
外壁は汚くて築年数についてはとても古そうに見えましたが、中は何年か前にリフォームして思ったよりもかなり綺麗でした。その時にシャワールームを設置したのでしょう・・・・。
にしま「ありがとう!2人とも!これから宜しく!!」
お酒を飲みました・・・・・。
シュン「くー---♪効きますねぇーこの高濃度アルコール・・・・」
ハイリ「工業用じゃないかな?って思うよね?(笑)まぁ・・・酔えればなんでもいいか(笑)」
にしま「効くなぁ♪これ♪でもなんか気持ちがいい♪」
シュン「そういえば・・・・にしまさんって雀荘に来る前は何か仕事をされてたんですか?あっ・・・・・・聞いても問題ないですか?」
ハイリ「あっ、私もそれ聞きたかったのよ♪」
いよいよ私の過去について話さなければならなくなったようです。本当はそこまで知ってもらわなくても仕事としては問題無いのですが、ここはローズのいち仲間として彼らに自分の過去を話そうと思いました。
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