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帰郷初日の終幕


 私は帰郷して直ぐに新しい仲間が出来ました。


 コウツビル

 3階 雀荘『ローズ』のスーさん、ハイリ、シュン。

 そして1階 スナック『燕』のナキママ、ナガレ、フウカ。

 それから、会う予定が全く無かった質屋のハネフのおっちゃんにも会いました。


 初日でこれだけの人と出会えば自分的にはまぁまぁ上出来でしょう!!



 スナックも閉店時間になり、ママから「また良かったら来てね」と一言だけ言われました。

 ハイリが持っている二万円で購入した『ゴバラの時計を5万円で買い取る&買い取らない』という話も最後の最後に出ましたが、ハイリは搾取される危険性を感じたのか、すぐに断って自分のバッグの中に入れました。



ハイリ「ねぇにしま。シュンが仕事あがるの待ってさ、もう一杯どっかで飲もうよ♪」

にしま「いいけど、店空いてる?もう店出る時に三時は回ってたぞ??」



 この性格だからハイリは直ぐに散財してしまうのです。所謂典型的な浪費家でした。性格は良いのに、ここだけが本当に残念です。今日初めて会った自分でもそれだけはなんとなく分かりました。



にしま「ハイリの家はアパートかな?ディスカウントショップで飲み物買って、アパートでみんなで飲んだ方が多分安上がりだぜ。この時間で空いてる所って『ぼったくりバー』くらいしかないんじゃないかな?わざわざ他人を混ぜて飲まなくてもよくないか?知った顔だけの方がなんか安心だし」


 という提案をしました。


ハイリ「じゃあシュンが終わったら、タクシー乗ろう♪歩くのめんどくさいから」

にしま「いや、歩こう。ここはジッと我慢しておつまみを多めに買うか、お酒を発泡酒にランクアップさせた方が良い。」


 典型的な散財パターンです。大してお金を持ってないのに見栄を張る・・・・一番良くないパターンです。



シュン「・・・あれ?ハイリと・・・・にしまさん??」


 仕事終わりのシュンがビルのエレベーターから驚き顔で出てきました。


ハイリ「待ってたよ。今からさ、お酒買って私の家で飲もうよ♪」


シュン「おっいいねーハイリ!♪たまには学生みたいなことやるかぁ♪にしまさんの歓迎会だな♪」



 仕事が終わって疲れているかと思いきや、シュンもお酒が飲みたかったようです。



にしま「シュン、お疲れ様」

シュン「にしまさんさっきはありがとうございました。車があるので、俺の車乗って下さいよ。少し離れた月極に停めてます」


 そう言うとシュンはポケットから車の鍵を出しました。


 ガシッ・・・・・・・・(手を掴む音)


シュン「え?・・・・どうしたんですか?」


にしま「駄目だシュン、酒飲んでるだろ。酒臭い」

シュン「あー客に少し呼ばれて・・・・・・」



にしま「駄目だ。飲酒運転は。あれだけ世間で言われてるのに、まだやる奴が居る。この街くらいだぞ飲酒で捕まってるのは・・・・」


シュン「だ、大丈夫っすよ」


にしま「駄目だ。・・・さっき確認したらそこ曲がった所で警察が張ってる。この横丁は警察の格好の獲物。お互い良い気持ちで今日一日を終えようなんて微塵も思っちゃいないぞ向こうは。このまま車に乗って出発した瞬間、シュンも俺もハイリも捕まる。同じ会社で働いてるんだ、言い逃れが出来ない。・・・俺達の職業はフリーターと無職、まだ申請して無くて社会保険も年金も入ってない。社会的に信用が無い人間が何を言っても、公務員には信じて貰えない事になってる。・・・何かと難癖を付けて来て、身ぐるみ剝がされて車の中もしっかりと調べられるぞ。それでも問題ないのか?」



 シュンはゾッとした表情をこちらに向けました。

 さっきまでイケイケだったハイリも私の言葉を聞いて、黙り込みます。



シュン「歩きましょう。にしまさん、ハイリ・・・・」

にしま「行こう。あの・・・・シュンやハイリの事がどうでも良ければ俺は何も言わない。お前達の仕事の後釜を狙っている悪い奴や悪徳警察官から金を渡され、わざとシュンが飲酒だと分かっていてハメるかもしれない。・・・・・すまんな、これから楽しく飲むっていうのに。俺はみんなとこれからも長く仲間として一緒に居たいだけだ。まだ地元に帰って来て初日だ・・・気付いたら二日目になったけど、その気持ちはきっと明日も変わらないだろう。」



 三人でビルからディスカウントショップに歩き始めると、直ぐそこには覆面パトカーと思われるセダン車に二名のスーツ姿の男が乗っていました。こちらを睨みつけているようにも見えました。



ハイリ「誰も私達の行動を信じてないってことだね・・・」

にしま「悲しいけど、そういう事だ。昔からそうだけど・・・もうこの横丁で働いてる者はマークされてるんだ。浮いている時計を安く変えて、楽しく安く酒を飲む事が出来た。それだけで今日は勝ちだと思って、潔く世間のルールに従おう。それ以上を求めたら痛い目に遭うんだよこの街ってのは。俺は赤子の時から高校卒業まで住んでる。きたのやみなみと一緒に居たんだ。・・・そこの部分は、今も昔もまるで変わってないからな。全く同じ出来事が毎日繰り返されてる。だから今日は、俺の言う事を信用して欲しい」

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