従業員
時間も経って、更に私達のトークに拍車がかかっていました。
ハイリ「にしまったら凄いんだよぉ。あのゴバラに退職金担保で麻雀をやる念書を書かせたんだよ」
ナガレ「はぁ?!担保ですか?!・・・マジっすか?!・・・」
にしま「スーさんに聞いたら、あれだけ毎日のように来てくれてるのに、ツケも全てただの口約束って聞いたからこりゃ将来的にマズいって俺的に思ってさ。なんか詳しくは知らないけど、どうもお勤めはいいとこらしいね」
ナガレ「『定年前役職付き独身』で、半官半民みたいな仕事してますから手取りはそれなりに貰っているでしょうね」
にしま「定年前役職付き独身(笑)」
ハイリ「麻雀とかお金以外の部分はかなり真面目なんだろうなー」
にしま「実際、麻雀は上手いの?」
ナガレ「あんま勝った事聞いたこと無いですが、勝ったらそのままこの店で飲んで帰られる時もありますよ、スーさんからはゴバラが来たら『ぼったくる』ように言われてます」
にしま「なるほどね・・・・・」
あのおじさん・・・ゴバラさん・・・・このビルの食い物にされてるぞ・・・・・。
このビルで稼いだお金をビルのスナックで使って貰う。
全部スーさんの家族の物になるのです。まぁ自分のグループ会社を勧める行為というのは当たり前っちゃ当たり前の話だとは思いますが・・・・・。
それにしても、これまでツケで麻雀をやっていて、効果があるかどうかわかりませんが一度も一筆も書かせなかったことについては本当に驚きでした。
周りのみんなは褒めてくれていますが、きっとめんどくさいだけだったんだろうな、という私の見解でした。
趣味であれば、節度と責任を持って楽しむべきです。
カランカラン!!
また扉が開きます。
「お待たせー!ママー!!」
若いドレス姿の女性が入ってきます。
「・・・・あっナガレ・・・そこに座っている彼が新しく入ったっていう人?こんばんわ♪」
にしま「いや・・・入ったっていうか・・・・・まぁそんな感じ、たまたまさ・・・・」
フウカ「私、燕で働いてるフウカって言います。宜しくお願いします」
スナックに入って来るや否や、直ぐに私達が座っているボックス席にそのまま座ってくる女性。さっき一度家に帰ったというこのスナック『燕』のキャストの女性従業員でした。
このハイリやママと比べて、顔つきが少し童顔ですが、髪をしっかり盛って私が住む田舎のスナック嬢にしてはわりと煌びやかな服装でした。
フウカが来て人数が増えても、話は先程の『ゴバラ』の話で持ちきりでした。
まぁこのビルでは有名人ですから、仕方ない事ですが、あのおっさんが居ない時のみんなの扱いが酷い・・・・。サービス業・接客業ではありますが、心の中では従業員は何を思っているか、それは様々なのです。感謝など微塵もないパターンもこのようにあります。
ハイリ「そうそう、さっき上で聞いたけど、にしまってみなみと幼馴染の同級生らしいよ」
フウカ「えっ?!そうなの?!あのみなみさんの?!・・・・」
にしま「あいつがこのビルのトラブル対応してるらしいけど、今住んでる所が遠くて来ないってスーさんが(笑)みなみにいくら渡してるか分からないけど、そういう関係はもうやめた方がいいと思うよ俺は。みなみに頼らなくてもさ、なんとかするでしょうナキさんやスーさんもこのビルには居るし」
ナガレ「それがですねにしまさん。中には揉めたくない人ともトラブルになってしまう残念なパターンもあるんですよ・・・。そうなると第三者というか・・・・このビルに関係ない人が間に立ってもらった方が良いんです。まずこちらと気まずくならないってのもありますし、楽って言うのもありますし、他のお客さんの目もありますし。」
にしま「ナガレ、ボーイやって何年だ?」
ナガレ「まだ1年も経ってないです。二十歳になったばかりです」
にしま「そうなのか。よくそこまで『中堅』っぽく話す事が出来るな」
ナガレ「よくお気づきで。俺、高校卒業してからずっと夜の仕事を点々としてて分かったんですが、わりと話すの得意みたいなんですよ。都会に出てホストでも何でもやろうかと思ったんですが、知り合ったナキさんに頼まれて、今ここに居る感じですかね」
確かにこのナガレという男・・・・年齢の割にはかなり喋りが達者で、こちらが嫌な話題も一度も話してきません。お酒も先程からかなり飲んでいるのにです。
落語家だったら聞いてしまうようなそんな印象を受けました。
今まで出会った二十歳の中でもピカイチで話が上手い人間です。
まさに川の流れのように話すナガレ・・・・・。・・・・はぁ??ダジャレですか??
フウカ「みなみさんってことは・・・・きたのさんとも同級生って事??」
にしま「おっ・・・きたの・・・・・。いよいよきたのの名前が出て来たか。・・・フウカはきたのの事知ってるの??」
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