すみません、たぶん召喚に失敗しています
「な、なに? コレは! ……魔法陣?」
学校が終わって、自分の部屋で横になりながら、漫画を見てまったりとしていたときだった。
突如、私の部屋を眩い光が覆い、目をくらませる。
「う、くぅ!」
必死の思いで、目を凝らしながら光の元を確認してみれば、私の部屋の畳に不思議な紋章が浮かんでいる。
「いったい何事なの!」
なにか、超常的な現象が起こっていることだけは分かる。
慌てて部屋から逃げ出そうとしたが――
「で、出られない」
見えない壁があるかの様に、光る魔法陣から出ることができなかった。
「う、うわぁあああ!」
光が弾ける。
「う、うう」
私は、霞む目を押さえながら体を起こした。
辺りは先ほどの光の影響か、煙が立ち込めていて、その向こうに人影が見える。
「ようこそ、おいで下さいました……聖女さま」
「え?」
時代錯誤なドレスを着た女だ。
「突然のことで、さぞ驚かれた事でしょう。ですが、私の話に耳を傾けては頂けないでしょうか?」
「……なにを」
「私はこの国の第一王女、ミクマリアセイレーンと申します。実はこの国は魔王により瘴気に侵されようとしているのです」
女はこちらの返答も聞かずに話を進める。
「そこで我が国は、古より伝わる聖女召喚を用いて貴女様をお呼びした次第です」
腕を組み、すがる様にこちらを潤んだ目で見てくる女。
「どうか……貴女様の力をこの国に貸しては頂けないでしょうか?」
「……えっと」
「どうかっ!」
「……とりあえずさ」
これだけは聞いておかないといけない気がした。
「アンタ……私の部屋で何言ってんの?」