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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異能使い《ルールブレイカー》の落ちこぼれ ~科学と魔術が交差する世界で、俺は最強を目指す~

作者: 三茄子

新作です!!

こちらは短編版となっておりまして、約一か月後に連載版を開始する予定になっております。

どうぞそちらの方もよろしくお願いします。

 時は2300年。

 人類が科学という異能を手に入れて、早100年になろうとしている。



 古代エジプトより始まった科学というものの探求は、2200年に大きな転換点を迎えたのだ。

 それこそ、『遺伝子の調整』という技術である。



 通常、動物の生体というものは、遺伝子……もといDNAによって構成されている。

 それは、猫でも、兎でも、勿論、人間にも言えることだ。

 それを調整して、存在そのものを進化させること……それを、『遺伝子の調整』という。



 この技術が発見されたお陰で、人々は、人類は大きな発展を迎えることが出来たのだ。



 顔の造形や体型までも思うがままなので、世界には大量の美男美女が生まれた。

 妊娠時の強制性転換も可能になり、好きな性別の子供を産めるようになった。

 脳細胞を活性化させ、記憶力や思考力、計算力までも向上させることが出来るようになった。



 様々な変化が起こる中で最も注目されたのが、『異能』の獲得についてだった。

 詳しい技術は国によって厳重に秘匿されている。

 だが、一つだけ、確実に言えることがあるのだ。



 ————『異能』は人を狂わせる、と。



 ◇◇◇◇◇



「……よって、日本とアメリカ、それに中国の三カ国が、『異能』を獲得する事に成功したのです」



 俺の名前は、高田陽生。普通の高校二年生である。

 今、俺は『科学歴史』通称『科歴』の授業を受けていた。

 三十年くらい前から導入された科目らしいが、眠いったらありゃしない。これなら、『古典』の授業の方がましだ。

 俺はどっちかと言うと、文学少年なのである。



「まあそう言ってやるなよ、高っち。俺は好きだぜ、科歴」


「うるせー金谷。お前は理系だから良いだろうが、俺は生粋の文系なの。てか、人の心を勝手に読むなと何回言ったら分かるんだ?」



 授業中なのにも関わらず、こうやって遠慮なく話しかけてくるのは、金谷大樹である。

 金髪で色黒、制服を着崩したその姿は、まごうことなきチャラ男である。

 勿論顔はイケメン。



「こら~!授業中に勝手に喋らないの!」



 そうやって俺達を叱ってくるのは、担任の日高愛良である。

 歳は二十代前半の若めで、黒髪をショートにした、背が低めで優しそうな女教師である。

 実際は、俺達みたいな成績の悪い奴を強制的に居残り学習させる鬼畜なのだが……



「高っち、鬼畜は言い過ぎやないか~」


「おい!心読むなって!!」


「高田く~ん?」


「ち、違うんです先生!」



 まずいことになってしまった。

 横に座っているチャラ男がニヤニヤしながらこちらを見てくる。

 ウゼェ。

 てか、お前のせいでこうなったんだぞ!責任とれや!!



「宿題、増やしときますね?」


「や、止めてくれ~!!」



 り、理不尽だ……



 ◇◇◇◇◇



「てめえ、やってくれたな金谷!!何で俺だけ宿題が倍になってんだよ!!」


「にゃはは~、悪い悪い。ちょっぴり魔が差しただけだぜ」


「あ、の、な!!」



 金谷は反省している素振りすら見せず、ケタケタ笑っている。

 俺は溜息をつきながらも、大量の宿題を抱えて帰路についていた。



「折角の夏休み前だってのに、居残り学習と大量の宿題なんて最悪だ……」


「まあまあ、後でアイス奢ってやるからさ、元気出せよ」


「アイスで帳消しに出来ると思ってんなら、大間違い……」


「おい!てめえが高田か?」


「……ん?そうだが?」



 後ろから突然、見たこともない大男から話しかけられた。

 身長は二メートル程あり、筋肉の付き方が最早ボディービルダーで、いかにも戦士って感じの奴だ。

 まためんどくさい奴に絡まれたものだ、と俺は後ろを振り向く。



「八ッ!こんな弱っちそうな奴が、第三席だと?笑わせる!委員会も仕事してねぇんじゃないか?」


「はあ~、話はそれで……」


「おいおい。どこぞの誰かは知らないけどよ、高っち馬鹿にすんなら命かけねぇとダメだぜ?」



 俺が『それで話しは終わりか?』と聞こうとしたら、横から金谷が割り込んできた。

 どうやら、俺を庇ってくれているらしい。……どう考えても挑発しているようにしか見えないのだが。



「————ちっ!『四天王』かよ」


「だったらどうする?尻尾撒いて逃げるか?」


「てめぇには関係ねぇだろうが!俺様は、高田に用があるんだよ!邪魔すんな!!」


「俺に用があるのか?……大体は想像がつくが、何の用だ?」



 このままでは、金谷の挑発で取り返しがつかなくなるかもしれないので、ここらで参戦しておく。

 ……もう取り返しつかなそうだが。



「八ッ!!俺様はなぁ、てめぇが気に食わないんだよ!てめぇみたいな糞雑魚が、『七学園将』の第三席だと?笑わせる!!」


「それがどうした?俺が勝手に名乗ってるとでも思ったのか?文句があるなら委員会にでも問い合わせたらどうだ?」


「そんな面倒なことしなくても、ここでてめぇをぶっ飛ばせばそれで終了だろうが!俺様と決闘しやがれ!!」


「断る」


「あ”?」



 決闘なんて冗談じゃあない。

 こんな街中で決闘なんてしたら、反省文何枚書かされることやら……

 コイツはそれが分かってないのかよ。



「おいおい、天下の七学園将様が、決闘を受けないだとぉ~?四天王の威光に隠れるだけの臆病者かよ!!」


「はあ~、めんどくさいことしてくれるね~」



 この筋肉馬鹿が騒いだことで、野次馬がどんどん集まって来た。

 ここで決闘を断ることは簡単だ。何か理由をつけて去ることができる。

 だが、そうしてしまうと『七学園将』の名前に傷がついてしまう。それは、俺の本意ではない。



「仕方ない、か。決闘を受けてやる」


「そうこなくっちゃなぁ~。俺様は、栄えある『二十英傑』が第十二席、『豪傑』の将人だ。てめぇをぶっ飛ばして、『七学園将』入りしてやるよ!!」


「そうか。御目出度い奴だな」


「舐めるな!!」



 将人なる筋肉馬鹿は、拳を強く握りしめ、こちらに向かって走って来た。

 そのスピードは通常の人間とは比べ物にならない、異能使い(ルールブレイカー)のそれであった。



「身体強化系の異能か。ひと昔前は流行ったみたいだが、もう古いぞ?」



 そう言って、俺は空中に土の塊を出現させて、相手に飛ばす。

 俺の異能は、『土石操作』だ。

 空中に土の塊を出現させることなど容易い。



「そんなチンケな岩ごときで、俺様を止められるとでも思ったか!!」


「筋肉馬鹿がっ!!」



 将人は、飛んできた岩を軽々と打ち砕き、こちらへと迫ってくる。

 俺はすかさず岩の柱を足元に生成し、上へと逃げた。



「八ッ!逃がすかよ!!」



 将人は生成された岩の柱を難なく破壊し、俺を地面に叩き落とそうとしてくる。

 俺は次から次に岩の柱を設置して、後ろへ逃げていく。



「逃げるだけしか能がないのか?あ”?」


「やっぱり馬鹿だな!上をもっとよく見てみろ!!」


「上だと……っつ!!」



 俺は将人が正面に気を取られている隙に、地面から岩石でできた拳を将人へ大きく振り下ろした。

 将人はそれを両腕で受け止める。



「こんなもんで、止まるかよ!!おらっ!!」



 将人は岩石でできた拳を粉々に破壊し、再びこちらへと迫って来た。

 迫りくる奴の足元を蟻地獄にしたり、泥沼にしたりと妨害してみたが、全く通用していない。

 その隙にも何回か岩の塊を投げつけてはいるが、それも簡単に腕を薙ぎ払うだけで壊されてしまう。



「仕方ない。本気出すか」



 俺はそうやって小さく呟くと、逃げるのを止めて、地中から一本の剣を取り出した。



「おっと?ようやく逃げるのを止めたか!!だけど馬鹿だな~!!逃げ回ってればよ~、死ぬことはなかったんだからさ!!」


「どっちが馬鹿か、思い知らせてやる!!」


「土でできた剣ごときで、俺様を切れるとでも思ったか!!さっきまでの攻撃と何ら変わりないってのに……ガッ!!」


「おいおい。いつから俺の剣が土製だと言ったよ?」



 俺の袈裟切りを、両腕をクロスすることで受け止めようとした将人だったが、そのまま腕を軽く切り裂いた。

 どうやら、今までのように俺の攻撃は腕で簡単に受け止められると踏んでいたらしい。

 将人は、ふらふらと後ろに下がると、地面に片足をついた。両腕からは血も垂れている。



「俺の異能は、『土石操作』だ。ただそれは、土や岩を生成したり変形したりだけの能力じゃない。なあ、ダイアモンドってどうやって作られてると思う?」


「な、何だと……?」


「ダイアモンドはな、炭素を高温、高圧で圧縮したらできるんだよ。俺は、地中の炭素を変形させてダイアモンドで剣を作ったって訳だ。どうだ?ちょっとは第三席の強さが分かったか?」


「ありえねぇ、ちょっと油断しただけだ。まだだ、まだ決着は……!」


「それくらいにしておきなさい、二人とも」


「ちっ!また四天王かよ……」



 俺達の傍へとやってきたのは、『四天王』第二席、秋口琴葉。我が学園の生徒会長その人である。

 どうやらこの騒ぎを聞きつけてここまでやって来たらしい。



「お~これはこれは生徒会長殿じゃないっすか。お久で~す」


「金谷……お前がいたのに、なんだこの騒ぎは……。いや、お前がいるからこそ、か」


「酷い言われようだね~」



 かく言う金谷も『四天王』の一人で、第四席。異能は、『読心術』である。



「あんた、また派手にやったわね?」


「い、いや、これには深いわけがあるといいますか……」


「なんで決闘なんか受けたわけ?一応、生徒会長として、理由を聞いておくけど」


「ほら、俺って『七学園将の落ちこぼれ』って言われてるだろ?その汚名を払拭したいといいますか……」


「それにしても、今年に入ってもう七回よ?何で相談しに来ないの?……もしや、戦闘が楽しくって楽しくって、仕方がないのかしら?え”?」



 そう。俺が襲われたのは、今日で七回目だ。

 ちなみに、断じて、戦闘が楽しくて決闘を受けていた訳ではない。

 ただ、秋口が怖くて相談できなかっただけだ。それだけなのだ。



「第三席が『落ちこぼれ』?そんな訳ないじゃない。これは大々的に発表するしかないわね」


「ちょっと!それだけは止めてくれ!!そんなことしたら目立っちゃうじゃないか!!」


「もう七回も襲撃されてるのに?」


「いや、それは……」


「で?毎回毎回こんなに街を破壊されては予算が足りないんだけど?あんたのポケットマネーで払ってくれるのなら、それでも全然かまわないけど」


「ナンカスイマセン……」


「本当に、いい加減にしてよね!!」



 ダメだ。完全に向こうのペースに持っていかれる。

 俺の幼馴染である秋口琴葉は、俺が思っているよりも手強い相手なのかもしれない。



「いや~、すっかり尻に敷いてますな~生徒会長殿は。でもそんなにツンツンしてちゃ、高っちも気づかないと思うぜ~?」


「~~~~っ!!あ、貴方が気にすることじゃないでしょうが!!」


「漫画とか小説の中ならまだしも、現実世界のツンデレは分かりにくいんだぜ?そんなに意固地になってたら、いつか盗られちまうぞ?」


「じゃ、じゃあどうすれば……よかったの?」


「あーいう時はな、『大丈夫だった?』って優しく聞いてあげるんだよ。開口一番説教されて、喜ぶ馬鹿がどこにいるかって話よ」


「で、でも……」


「でももクソもないってんだ。あいつ、お前に怯えてんぞ?相談できなかったのも、それが理由なんじゃないか?」


「……」



 金谷は、人の心が読める。

 だから、彼の疑問形の口調は、それすなわち本当のことなのである。

 だから、『理由なんじゃないか?』というのは、それが理由であることを、暗に示しているようなものだ。



 秋口は、唇を噛みしめながら、でも素直になれない自分を痛めつけたい気分だった。

 それを金谷は、悲しそうな、それでいて苦しそうな顔で見つめる。



「ま、ゆっくり時間をかけて変わっていきゃいいさ。知っての通り、俺は人の心を読むことができる。今、何を考えているのか、何を思っているのか、どうしたいのか……でも、逆に言えば、今のことしか読み解けない。昔のことは、これっぽっちも分かんないってことさ」


「……」


「だから、生徒会長殿が七年前のあの日、何があったのか俺は知らないけどよ、後悔はすんなよ?一番大事なのは、生徒会長殿は今後、あいつをどう支えていきたいのか、だ」


「……」


「生徒会長としてか、幼馴染としてか、恋人としてか、それとも、敵としてか……」


「私は……」


「……ま、そう背負うことはないってことよ。俺も、高っちも、いつでも生徒会長殿の力になりたいってことだけは、忘れるなよな」



 そう言って金谷は高田の元へと戻っていった。

 そして秋口は、自分の気持ちに整理をつけることが出来なかった。

短編版は、連載版のプロローグの部分にあたります。

よって、秋口の過去や主人公が落ちこぼれと呼ばれる理由などに関しては、連載版の方で徐々に明らかになっていく予定です。

また、『四天王』とか『七学園将』とか、訳わかんない称号がたくさん出てきたと思いますが、それも連載版の方で明らかになっていきます。


魔術師や巫女といった敵対(?)勢力も次回以降のご登場です。短編版だけだと、タイトル詐欺みたいな感じになってしまったことを大変申し訳なく思っております……


ということで、出来るだけ早く連載版の方を公開できたらな、と思いますので、作者のモチベーションアップの為にも、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして頂けたらと思います。

また、ブックマーク、感想、誤字報告なんかも受け付けております!!


では、また連載版の方でお会いできることを楽しみにしております!!

ありがとうございました!!

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