【悲報】夫が雪だるまになっちゃっちゃ……
まーなんてこと?
オーマイゴット! この世に神様はいないのかしら!? いたら助けて頂戴! ケテスタ!
私の大事な夫が雪に埋もれてしまったの!
ほんの愉快な冗談のつもりだったのよ。屋根に上がって雪かきしている彼をちょっと押しただけなのに、彼は雪の中に滑落し、大きな雪だるまのようになっていなくなってしまった。ああ神様!
北国のこの山荘から麓までは人を呼ぼうにも歩いて4日の道程。スマホの電波も来てないから助けも呼べない。ガッデム!
決して保険金目当てなんかじゃないんです神様。たしかに二ヵ月前にかけた死亡保険金額は3億円。だけど、夫の命はお金じゃ買えない。
結婚して二ヵ月。夫は75歳。私は19歳。でも愛は年齢じゃない。
趣味も話も全然合わないけど、関係ない。だって愛しているんだもの!
親が資産家で遺産が莫大とか、たくさんある不動産だって夫が雪の中から戻ってきてくれるならいらない!
それに夫の先祖が残した山林はちょうど住宅地にかかって、15億円が入るのにも関わらず、夫は先祖代々の土地とか分けの分からないこと言って売らなかった。そんな一本気な夫が好きなの!
はっ! 雪の一部がモコモコと動いている!
まさかあなた! あなたなのー!?
ああ神様! ありがとうございます!
しまった! 私としたことが、嬉しさのあまり爆竹と間違えて火のついたダイナマイト三本を動きのあった地点に投げてしまったー! これじゃ遺体が出て来ても保険会社になんて言い訳したらいいの? まあなんとかなるか!?
ぬ! あの爆発の中でもまだヤツの気配は消えていない。どこだ?
その時、雪の中から黒い影が飛び出した! これは猛獣に違いないわ。私がたまたま持っていた手裏剣を投げても自然なことよね!?
襲われる前に殺れ!
「忍法血煙紅蓮ッ!」
私の投げた手裏剣が音を立てて獲物に当たる! 手応えアリ!
駈け寄ってみると丸太に夫の上着が掛けられている。
「しまった! 空蝉の術!」
すでに私の後ろ15cmのところに人の気配! 殺られる!
私は屋根を蹴り上げ、杉の大木を駆け上り、山の岩肌に着地するもののピッタリとマークされてしまっていた。
私は後ろの気配に声をかける。
「──あなた。無事だったの?」
「そうさ。雪の中で気が遠くなりかけた時、神様が現れて君の悲しみように心打たれたんだって。僕の寿命と身体能力を延ばして若者にしてくれるってさ!」
あー神様。私の願いを叶えて下さったのね。余計なことをありがとうございます。




