表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三上さんはメモをとる  作者: 歩く魚
第二章 黒木くんとメモ帳

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/70

能力者再び その2

「澪はあの二人のこと信じてるの?」

「私は能力とか全然わかってないです。ただ、男性の方は前回は靴下が左右逆でした」

「着眼点が謎すぎる……でも、この間テレビで、靴下が左右違う人は嘘つきって言ってたのよ。だから能力っていうのも嘘だと思うんだけど」

「なら見てみろ、あの二人の目を。あの目が嘘をついている目に見えるか?」

「うん。っていうかここからじゃよく見えないし」


 リアリストめ。

 だが、疑いの目を向けられるのも今のうちだ。

 きっと二人は、今回こそその“力”を見せてくれるだろう。


「……っていうか、なんで二人はまたあんなことになってるんだ?」

「そうですよね。この間は仲良さそうに帰ってた気がします」


 だが、見ている感じ、喚いてはいるものの、喧嘩をしているわけではなさそうだ。

 むしろ、今にも崩れ落ちそうなタケルを、ミチルが親身に介抱しているという風に見える。

 とりあえず今は情報を受け取ることに徹しよう。


「タケルくん、もう一回最初から考えてみましょう?」

「あぁ、そうだな……そうする」


 しっかり前回までのあらすじもやってくれるようだ。ありがたい。


「じゃあまず、マイちゃんと最後に会ったのはいつなの?」

「マイと最後に会ったのは……一昨日の昼だ。スーパーの特売のためのウォーミングアップをしようと思って、ランニングしてる時に偶然……」

「すき焼きをした日ね。その時マイちゃんに変わったところは?」

「ないな……」


 能力者がスーパーの特売のためにウォーミングアップするなと言いたいところだが、ポイントはそこではない。

 マイという新キャラクターが登場したことだ。

 今までの登場人物は彼氏・タケルと彼女・ミチル……あとはタケルの妹(仮)とミチルの会社の人間くらいだろう。

 三人目の名前ありの登場人物が誰か、そこから推測していこう。

 だが、この謎は簡単に解決できそうだ。

 ミチルは「ちゃん」付けで呼んでいるのにタケルは呼び捨て。

 ということは、マイは二人と知り合いで、特にタケルと近しい関係にあるということだ。

 一般的に男性が名前で呼び捨てする異性は、恋人か肉親。友達という線ももちろんあるが、それはミチルが許さないだろう。

 ならば該当者は一人しかいない。


「マイは――」

「マイさんはきっと、タケルさんの妹さんですね」

「すご! 澪なんでわかるの!?」


 まぁ、俺もわかってたけどね?

 タッチの差で負けてしまったが、次は俺が解答権を得るぞ。

 再びカップルの話に耳を澄ませてみよう。


「ミチルはその日何をしてたんだ? そういえば、マイはその日ミチルに会うって言ってたような……」

「そうそう、私とミチルちゃんはショッピングに行く約束をしてたわ。でも、その予定は中止になってしまったの」


 中止? 一体何があったのだろうか。


「ライトさんの靴下を買いに行くことになってしまったのよ」

「靴下? そんなもの、なんでミチルが買いに行くハメに?」


 またまた新キャラクター登場だ。

 今の情報ではライトさんの正体に迫ることはできそうにない。


「その日ライトさんは、近所に現れた能力者の監視任務に就いていたわ。そして、それが終わった後は総理への報告……。とてもハードな一日を送っていたの」

「あぁ、能力者の監視は相当精神にくるからな」

「でもその最中、彼は気付いてしまったの……自分の靴下の色が、左右で違うということに……」

「な、なんだって!? そんな状態で総理に会うなんて、無礼ッッッ!」


 確かにな。本当に総理に会うとするなら、身なりには細心の注意を払う必要があるだろう。

 自分の見た目にすら気を遣えない人間が、国の依頼を引き受けられるとは思えない。


「……いや、総理? ヤバくない?」

「これが能力者の存在の証明ってことだよ。なぁ三上?」

「…………ふっ……そ、そうですね……ふふっ……」


 あぁ、またツボに入ってる。

 三上は靴下の色が左右で違うという部分に笑いを感じるようで、両手で口元を必死に隠していた。

 とりあえず俺は話の続きを聞こう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ