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スイレン

作者: ミズキ

「花野さんのことなのですが、事故にあい今は意識がないそうです

 皆さん、花野さんのお見舞いなどにぜひ行ってあげて下さい」

「え、、、事故?」

あの時の先生の声が今でも頭の中に響いてる

中3の時に事故で意識不明となったあの子、

花野スイ、、、

なんで、あの時あんなことを言ってしまったんだろう、、

悔いても、彼女は目を覚まさない


「はい、授業始めるぞ~」

「規律、礼、着席」

日直の号令に合わせ、授業が始まる

いつも通り、ノートに先生の書いた板書を写す

「ちょっと!伊藤くん!」

「なに?」

「消しゴム持ってる?貸してくんない?」

「いいよ、はい」

「ありがと」

横の席の女子に消しゴムを渡し、板書の続きを書く

あれ?シャー芯がない

そっか、昨日徹夜で勉強してて、途中で使い果たしたんだ

筆箱にも代用できるものがない

しょうがない、寝よう

            ・

            ・

            ・

「ね、ねって、聞こえてる?照~?」

なん、だ?

目を開けると黒髪の女の子が立っている

「え?」

混乱のあまり変な声がでる

「スイ!!?」

「やぁ!やっと起きたね!照、久しぶり!」

なんで、、彼女は3年前に衝突事故にあって、今はベットの上のはず、、

「授業中に居眠りとは良くないな!

 そんな悪い子にはこうだ!えい!!」

            ・

            ・

            ・

「痛!!」

「なにが痛!!だ!

 授業中に寝おって!しっかり受けなさい!

 教科書79ページから読んで」

「あ、はい!

 私は眠っている

 あなたが迎えにくるその日まで

 あなたが来ても眠っている

 私の心を見つけ出すまで、、、」

「はい、座ってよろしい

 もう寝るなよ」

「は、はい」

なんだ、たんだ?あれ

夢、だったんだよな、きっと


放課後、いつものように病院へ行く

別に僕の体が悪いわけではない

お見舞いだ、彼女の

305号室 花野スイ

彼女のいる病室へ入ると、先客がいた

彼女の母親だ

「こんにちわ」

「こんにちわ、今日も来てくれたのね

 伊藤くん」

「はい」

「別に毎日こなくてもいいのよ

 お友達とかもいるでしょ?」

「いませんよ、

 大丈夫です。僕が好きで来てるんですから」

今日も彼女は眠っている

白い肌、腕から伸びた透明な管、綺麗な黒髪

「スイがあの事故にあってから約3年

 この子ったらいつまで寝ているつもりなのかしら、」

「容態は変わらずですか、、」

「えぇ、」

「そうですか、」

沈黙、、、

あの夢のこともあって、少し期待していたけど、

やっぱり単なる夢だったのか

「それじゃあ、私仕事があるから帰るわね

 今日もスイに色んなこと聞かせてあげてね」

「はい」

そう言ってスイの母親は病室を出ていった

「今日、なぜか君の夢を見たよ

 それで授業中に寝るな!って怒られてさ

 で、目が覚めたら、国語の先生も怒ってんの

 僕、びっくりしちゃってさ、、」

こうして毎日学校終わりに病院に言っては

眠り続けている彼女に向かって話し続ける

「でさ、うちの母親が、、、」

その時、ノック音がなった

振り向くと、そこには少しというか普通に会いたくない人がいた

「なんで、あんたがここにいるの?」

「いや、その~」

「この子の部屋から出ていってくれる?殺人犯」

「う、うん

 ごめんね」

荷物をまとめて、急ぎ足で部屋をでる

いつもこの時間にはこないはずなのに、、、

予想外の来客

彼女の言っていたことはあながち間違っていない

彼女を今の状態にしたのは、僕なのだから


            ・

            ・

            ・

「やぁ、また来たね

 さっきの話の続き聞かせてよ!」

「スイ!?」

目の前には病院で眠っていたスイが楽しそうに笑っている

「なんで、君が、、目覚めたの!?」

「いいや、現実の私はまだお眠り中~

 君に会いに来たんだよ、照

 久しぶり」

「あぁ、ぁ」

涙が出てきた、声にならない言葉も

「なんで、再開してそうそう泣くのよ!」

彼女は何がそんなにおかしいのか腹を抱えて笑ってた

「スイ、僕は君に謝らないといけない!!

 僕はあの時、、、」

「ストーーーーーーーーーーップ!!

 せっかくの再開なのに、なに?いきなり謝罪って!!」

「で、でも、、」

「でも、じゃありません!

 もっと楽しい話しようよ!」

「じゃ、じゃあ、ここはいったいどこなんだ?」

「ここ?君の夢の中じゃん」

「そうじゃなくて、この白い空間はいったい、、」

「あぁ、白気に入らなかった?

 じゃ、変えるね!

 えい!」

スイの指パッチンひとつで周りはみるみる変わっていく

え?

「ここ僕の部屋?」

「うん、そうだよー

 こっちの方が照も、落ち着けるでしょ?」

スイの作り出した僕の部屋は3年前の僕の部屋だ

やっぱり彼女は眠ったままらしい

「照にお話があります」

「なに?急に」

「私はどうやら現実に戻れそうにありません」

「え、、」

現実に戻れないって、つまり

「死ぬのか?」

「え?」

その言葉を聞いて、スイはなぜか大笑いをした

なにがおかしいのか全くわからない

「おい!ちゃんと説明しろ」

「いや~、ごめんごめん、

 君があまりにも凄いことを言うものだから」

凄いこと?

「私は今は死にません

 ただ、戻れないだけ

 でも、この部屋も3年いると飽きちゃってね

 そこで君にお願いがあります!」

「お願い?」

「そう!お願い」

なんだろう、私がやりたいことをやって、

その話を聞かせてみたいなやつか?

「まずは、友達を作って下さい!」

「友達?」

「うん、君どうせ友達いないんでしょ

 君から聞く話は君自身のことだけだからちょっと飽きちゃった笑

 だから友達を増やして、その友達と色んな所に遊びに行ったり

 したらもっと楽しいお話が聞けるでしょ?」

「病室の話聞こえてるのか!?」

「一応はね

 このラジカセから聞けるようになってる」

そういって彼女は灰色のラジカセを出してみせた

「あ、そうそう

 君今日夕姫と喧嘩してたでしょ~?」

「いや、あれは、、」

言いとどまった

何を言えばいいかわからなかったし、

被害者の前で被害者に行った行為をいえるわけがない

「駄目だよ、喧嘩しちゃ

 あ、友達夕姫となりなよ~!!」

「は、無理だよ」

「なんでやってもないことを先に決めつけちゃうの?

 大丈夫、夕姫なら君の思いも受け取ってくれるはずだよ」

思い、、、

「そもそも、彼女と会う機会なんて殆どないし」

「あ~それなら大丈夫

 夕姫毎日欠かさずお見舞いきてくれるし

 今週一週間はなんか体育館の工事とかで部活がなくなって

 早めにお見舞いにこれるって言ってたし」

だから彼女はあんな時間にきたのか

「じゃ、まずは夕姫ね!」

「いや、だから、、、、」

突然周りに霧が出だし、辺り一面が白くそまる

「なんだ?スイ!大丈夫かー」

「大丈夫~!

 それより夕姫と友達になってきてね~」

彼女の声がどんどん遠退いていく、、、

            ・

            ・

            ・

鳥の鳴き声がする

どうやら朝のようだ

体を起こし、頭の整理をする

紅さんと友達になる?

あぁ、考えるだけで頭が痛くなってきた


学校が終わり病院へ行く

今日はスイの母親は来てないみたいだ

確か、スイのお父さんも働いてて共働きだとか

「あのさ、やっぱり彼女と仲良くなるのはきついと思うんだ

 僕はあの人、、紅さんに嫌われているし」

寝ているスイに話す

返事はこないが聞こえているらしい

「だいたい、いつ来るかもわからないのに、、」

ノックが鳴る

「、、また来てたの?

 出てってくんない?」

「いや、えっと、君に話があるんだ!」

「話?殺人犯から聞く話なんてないわ

 さぁ、早く出ていって」

「は、はい、、」

やっぱり無理みたいだよ、スイ

僕は病室を出て、その後普通に帰り、眠りについた


朝起きて驚いた

スイに会わなかった

不定期なのか?わからない

そもそもやっぱり単なる夢じゃなかったのか?

ん~わからない

その次の日も彼女が夢に現れることはなかったし、

紅さんも一向に話を聞く気はないらしい

それから数日後、、、

          ・

          ・

          ・

「ヤッホー、照」

「ぅわ!!スイ」

目の前にはスイがいる

一週間ぶり位か?

「いや~この一週間の君の夕姫へのアプローチ見事全拒否だったね!」

「頼んできた本人がそれを言うか?」

「アハハ、確かに」

彼女はおかしそうに笑う

「やっぱり君にも友達は必要だと思うんだ

 夕姫はまだ難しそうだから、高校の友達とか!」

「まぁ、そのうちな、、」

僕は正直言うと、あまり友達はいない

いや、0人だ

作れないのではなく、作る気があまりないのだ

帰り道一緒に遊んだり、部活を一緒にしたりする青春に

そこまで興味があるわけでもないし

「その内、その内ってそんなのいつまでたってもこないよ!

 さぁ、考えたらすぐ行動だ!!」

「え~」

「中学校の時は人気者だったじゃん!

 いけるいける」

確かに中学の時は人からの好感度もそこそこにあり

世間一般からみれば、潤った人生に見えていただろう

あの事件までは、、

あの事件以来、僕は人との繋がりを拒絶し、

周りの連中も僕から離れていった

「おーい、どうしの?照眉間に皺がよってる」

「、、何でもないよ

 わかった、難しいとは思うけど何とか頑張ってみるよ」

まずはこの彼女がお願いと呼んでいる

彼女にとっての利益があまり感じられないものを引き受けてみよう

「やった!」

「でも、友達なんてどうやって作るんだ?

 僕もう高3だし、受験もあるんだけど」

「そんなの簡単じゃん!

 部活とかバイトとかやって、人との交流を増やすんだよ

 君みたいに私に会いにくることでしか、外にでないようじゃ

 人との交流なんて全く増えないからね!!」

「部活はもう無理だとして、バイトか~」

今は5月、受験生からしたらそこそこ忙しい時期

「私昔からパン屋さんで働いてみたかったんだ~」

「うん、知ってる

 でも急になに?」

「わかんないかな~

 これは私のお願いなんだから、君はパン屋さんで働きなさい!!」

「え」

「あ、、、じゃあ、頑張ってね」

前と同じように霧が出てきて、彼女の声が遠退いていく、、、

             ・

             ・

             ・

起きてすぐにスマホで求人サイトを見る

ハンバーガー屋やコンビニの求人募集はあっても、

高校生でパン屋はなかなかない

ん~やっぱり難しいか、、

スマホの電源を切り、学校に行く準備をする


休み時間に入り、もう一度違う求人サイトでパン屋のバイトを検索する

うちの学校は最近では珍しく、学校でのスマホの使用ができて助かる

やはり、ない

「うぉ!伊藤くん、パン屋で働きたいの!?」

急に声をかけられ、少し驚く

隣の席の女子だ

「まぁ、ね」

「へ~この時期にバイト始めるとはなかなかの勇者ですな」

なぜか僕を見て笑っている

なにもしたくて、しようとしているわけではない

「求人サイトに高校生でパン屋ってなかなかみないよね、」

「うん、」

困ったな、スイのお願いが

ん?そもそもなんであの何でもできる空間でしようとしないんだ?

ラジカセとかが作れるなら、パンは簡単なはず

もしかしたら人間だって、作ることは可能じゃないのか?

考えが深くなっていく

「、、おーい、伊藤くん?大丈夫?」

「!!

 うん、大丈夫、、」

「良かったらさ、うちで働かない?」

「うち?何か自営業してるの?」

「あれ?知らないの?

 うちの店この辺じゃ、結構有名なパン屋だよ!」

「え!?」

知らなかった、、

あ、母さんがよく買ってくるパンってこの子の所のだったのか

「いいの?そんな勝手に、、」

「いいよ、いいよ!

 私も手伝わされるの嫌だし」

少し嬉しそうな彼女

「じゃ、じゃあお願いします」

「了解!!

 あ、LINE交換しよ

 住所とか送んなきゃだし、多分知らなくてもわかると思うけど」

連絡先を交換した所で、授業開始のチャイムがなり

また、いつも通り先生の板書を写す


交換した名前をみると

斉藤望美と書いてある

望美、望み、、、

あ!この子ってあの<のぞみパン>の娘だったのか

確かに、この辺りじゃ有名なパン屋だ

確か、テレビの取材もちょくちょく入っているのだとか

僕もここのパン屋のパンを食べたことあるが、絶品だった

特に、クリームパンは僕が今まで食べたなかで、一番美味しかった

今日はスイに良い報告ができそうだ!


病室へ行き、寝ているスイと話す

「君が言っていたパン屋のバイト

 知り合いにその店の娘さんがいてできるようになったんだ

 クリームパンが美味しいお店で、この辺りじゃ凄く有名な店なんだ」

気のせいかもしれないが、彼女が少しだけ微笑んだ気がした

午後3時もうすぐ彼女がくる頃だ

ん~どう話したものか、、、

そうだ!今日はひとまず家に帰って、彼女にかける言葉を考えてこよう!

そう思い、スイに「また、明日」といい、病室を出ると

ばったり彼女に会ってしまった、、、

「また、来てたのね

 いい加減にしてくれない

 加害者が被害者に毎日お見舞いなんて、、」

「、、、僕の話を少しだけでいいから、聞いてほしいんだ」

「前も言ったわよね?

 殺人犯から聞く話なんてないって

 大体なんで毎日のように来てるの?」

「それは、、」

あれ?なぜだろう、

スイに会いたいから?自分の犯した罪を咎めてほしいから?

自分を許してほしいから?

なぜ、だろう、、、

「もし、スイのお見舞いに行くことで、罪の償いをしているなら

 二度とこないで!!

 スイが可哀想」

「ちがっ、、

 違うんだ、それは違う

 罪の償いなんてできるはず、ないんだ、、」

「じゃあ、なんで」

「、、、とりあえず、中に入ろ」

冷たい沈黙

彼女の方を少し見る

僕にいて欲しくないのだろう、険しい顔でスイを見ている

僕もスイを見る

まるで死んでるみたいに静かに寝ている

「で、話ってなに

 早くしてくれない」

きてしまった、、、いよいよその時だ

「いきなりで申し訳ないんだけど、

 ぼ、僕と友達になってくれないかな?」

「はぁ!!?」

やっぱりそうなるよな、、

「あんたふざけてんの!?

 親友殺した奴と友達になれ?ふざけるのも大概にして!」

うん、大方予想通りである

「よく聞いて欲しいんだ!

 信じられないかもしれないけど、これはスイのお願いなんだ!」

「スイ、、、の?

 あんたそんな嘘よく私の前で!!」

その時、急にドアが開いた

「ちょっとうるさいですよ!

 外まで声が丸聞こえです!

 騒ぐなら他の場所でやってください!!」

看護婦さんだ、ちょー怒ってた

「す、すみません」

2人して謝り、病院の屋上にでる

「あんた、なんでスイが言ってるなんて嘘ついたの?」

看護婦さんのお陰か、時間のお陰か、彼女は妙に冷静であった

「信じがたいことを今から言うからよく聞いてほしい、、」

彼女はなにも言わず、ただ僕の方を向いている

「スイと夢の中で会うんだ

 妄想とかじゃなくて、多分本物のスイ、、」

「夢の中、、、?」

混乱するのも無理はないだろう

僕もまだ理解しきれていない部分が大いにある

「そう、夢の中で

 彼女にお願いを叶えてほしいって言われたんだ

 なんでかはわからないけど、

 そのお願いの中に君と仲良くなるってことが入っているんだ」

「、、、あり得ない

 なんで親友の私じゃなくて、殺人犯のあんたなのよ

 仮に本当に夢の中でスイが現れたとして、

 なんで私とあんたを仲良くさせようとするの!?」

確かに、、なぜだろう、

「理由はスイじゃないとわからない

 でも、本当にこれがスイの願いなんだ」

どうだ?信じてもらえるか?

「、、、いいわ、信じてあげても

 その代わり、私もスイと会わせなさい

 そうじゃないと信じきれない」

「わかった

 でも、二週間待ってほしい、、」

僕の考えが合っていれば多分そういうことなんだろう

「なんで二週間?」

「紅さんはスイが事故にあった曜日を覚えているかい?」

「曜日?日にちならわかるけど、、、」

「うん、僕も覚えてはいないんだけど、多分火曜日なんだ」

「、、、本当だ!3年前の10月25日は火曜日!」

「やっぱり、スイは今日も現れたし、ちょうど一週間前にも現れた

 つまり、僕の仮説だとスイは事故にあった曜日でしか

 外部もの交流を交わすことができない」

「だから、二週間?」

「うん、スイに君の所へ行けるか聞くので一週間、

 君に会うので二週間必要なんだ」

「そう、わかったわ、待ってあげる」

「ありがとう」

そこで会話は終わり、2人で帰るのもアレなので、先に紅さんが帰り

タイミングを見計らって自分も帰ることにした

紅さんは帰る時に「明日もしっかりお見舞いきなさい」と言っていた

ん?そういえば、紅さんとは友達になれたのか?

まぁ、いいか

明日聞こう


それから一週間がたち、スイが現れる曜日に

この一週間、斉藤の店でバイトすることが決まり、結構忙しくしていた

「クリームパン1つと、クロワッサン2つ、持ち帰りで」

「はい、3点でお会計550円になります」

店内はそこまで広くなく、客席もテーブル2つ窓際にある位で

こんな感じで持ち帰りするお客さんの方が多い

「ふぅ、一段落、、」

17時~20時までの帰宅ラッシュを乗り切れば、

あとは閉店時間の21時を待つのみ

「伊藤くんちょっと来てくれないか」

「あ、はーい」

「君、パン作りたいって面接の時言ってたよね」

「はい」

「よし、じゃあレジは望美に任せるから

 帰宅ラッシュ終わりから閉店までの一時間、

 パン作りの練習をしよう」

「いいんですか!?」

「あぁ、いいとも」

「ありがとうございます!」

こんな早くパン作りをさせてもらえるとは思わなかった

スイに聞かせたら驚くかな

            ・

            ・

            ・

「やぁ、来たね」

目を開けると、いつもの白い空間にスイが立っている

「うん、話があるんだ、

 2つ」

「あ!そうだ、私もあった!君に話!」

「え、なに?」

「君、夕姫と喧嘩してたでしょ!聞いてたんだからね!!

 全く君は本当に女の子の扱いが下手だなぁ」

本当のことだが少しムカついた

「実はそのことなんだけど、、

 君は僕以外の夢にも出てくることが出来るの?」

「え?出来るよ」

「紅さんの夢に言ってほしいんだ」

「夕姫の?なんで急に?」

一週間前に屋上で話した内容をそのまま彼女に伝える

彼女は少し困った顔を作り

「うーん、でも夕姫の夢にいっちゃうと夕姫絶対にまた次もね!

 とか、言いそうなんだよなぁ」

「親友なんじゃないの?」

「もちろん、親友は親友だよ

 でも、私は君にも会いたいんだよね

 お願いのこともあるし」

胸が熱くなった

彼女は自分を殺した僕でも会いたいと言ってくれている

その嬉しさと自分への情けなさで少し黙ってしまった

「だからね~、ちょっと行きづらいというかなんというか、、

 まぁ、それはまた後で考えよう

 もうひとつの話ってなに?」

「あぁ、パン屋のバイト決まったんだ

 まだ、始めて一週間だけど、」

「え!?ほんと!?おめでと~」

「ありがとう」

少し照れくさかった

スイも嬉しかったみたいだけど、急に笑顔から怒った表情になり

「だから、お見舞いにこの一週間一度もきてくれなかったんだね!

 夕姫もめっちゃ怒ってたよ!!

 次あったら顔面パンチしてやる!って言ってた」

バイトを始めてから店が忙しく、お見舞いに行く時間もなかったのだ

そういえば、紅さんに明日もお見舞いにきなさいよって

言われてたの忘れてたなぁ

「まぁ、私が行く時に言っといてあげるよ

 腹パン位にしといてって」

「ごめんって~

 でも、これからも前みたいに毎日ってのは無理そうなんだ」

「そっかー

 まぁ、ここで会えるしいいかな」

「ありがとう

 それより行くことにしたんだ、紅さんのとこに」

「うん、

 だけど、夕姫の所に行っちゃったら、その日は君に会えないから

 1日に会えるのは一人までって決まってるんだ」

「そっか、じゃあまた、再来週」

「うん、再来週、」

いつも通り白い霧が発生する

大体ここの時間の感覚がわかってきたみたいだ

彼女が遠くに行ってしまう

僕はなぜかいつもこの瞬間に彼女にまた会えると確信してしまう

              ・

              ・

              ・


あれから一週間たった

今日が紅さんのところにスイが行く日だ

紅さん、きっと大泣きするだろうな

「伊藤くーん!」

「なに?斉藤さん」

「今日お父さんがぎっくり腰になっちゃって、

 それで店開けれそうにないから休みだって」

「そっか、ありがとう

 お大事にって伝えといて」

「わかったー」

バイトも休みになったし、久しぶりにスイの所へ行くとするか

スイの病院は学校近くのバス停から約10分程かかる

このバスに揺られる10分の間に僕はあの日のことを思い出す


スイは小学生の頃からの付き合いで、仲も普通に良かった

そして同じ中学に入り、そこで紅さんと出会った

僕は部活で忙しく、スイも紅さんと遊んだりして

お互い小学生の時より遊ぶ機会も少なくなっていた

ある日、帰り道にスイと会い、久しぶりに一緒に帰った

久しぶりに話す彼女との会話はとても楽しかった

その次の日、誰が広めたのかはわからないが

僕とスイが付き合っているという噂がたった

噂だけならまだ良かったが、

スイは可愛く、皆からの好感もそこそこにあったので

彼女を好きな男達からは不必要な嫌がらせを受けていた

何度説明しても彼らは聞く耳持たず

僕の心も容易に折れてしまった

そしてあの事故の日、、、

帰り道またスイと会い、一緒に帰ることとなった

でも、前ほどの楽しさはなかった

2人とも噂のせいで気まずいのだ

「いや~、困ったよね!私と照が付き合ってるなんて、、

 皆もほんっとそういうの好きだな~」

スイは苦笑いを浮かべ、この空気をなんとかしようと

「ハハッ」と笑ってみせた

しかし、その時の僕はその気遣いを汲み取ることができなかった

自分はお前とせいでいじめを受けているのに何笑ってんだ?

そう、思ってしまっていた

そう思うとなぜかスイに対する憎悪が膨れ上がってきて

「お前とは一生話さないことにしよう

 友達もやめだ」

当然スイは反論した

「え!どうして!噂なら気にしなくてもいいじゃん!!

 私達ずっと仲良くやってきたし

 それに、これからも、、、」

僕はスイの話を遮るように、彼女に罵詈雑言を投げつけてしまった

彼女は深く傷つき、なにも言わぬまま帰っていった

これで良かったんだ

そう思った矢先

何かの衝突音が鳴り響き、同時に女性の叫び声が聞こえ、

音の方向を見ると、スイと同じ制服の女性が血を流して、倒れていた

まさか、と思った

僕は絶望してしまい、その場に崩れ落ちた

スイだと思われる血を流した女性に寄って行く人々

そのなかにはなぜか紅さんの姿があった


彼女を殺したのは僕

あの時、彼女の気持ちや気遣いに気づいていれば、

彼女は今でもあの笑顔で周りを幸せにしていたに違いない

「香坂病院前、香坂病院前」

バスが病院に着き、バスを降りる

二週間ぶりか、、、

スイの病室に入り、久しぶりに現実の彼女を見る

やはり、未だに目は覚めていない

「やぁ、久しぶり

 多分この声も君は聴いているんだね

 今日はバイト先の店長がぎっくり腰しちゃってさ、

 久々に来ることが出来たんだ

 今日だね、紅さんに会いに行くの、、」

なんだろう、バスの中でのことを急に思い出してしまった

少し涙がでてきた

「あの日、、僕は君の気持ちを汲んでやることが出来なかった

 僕の心がもっと強かったら、きっと君の苦しみや気遣いに気付いて

 やれたのかもしれないのに

 僕は自分のことばかりで、本当にごめん、、、ごめん、、、」

誰も返してくれない謝罪を一人で繰り返す

その日はそれでスイの病室を出た


朝起きて、自分が泣いていることに気づいた

スイの夢を見たからだ

今度は本当の夢

彼女は笑いながらこちらを振り向き、そのまま2度と振り向くことなく

僕から離れていった

なぜか学校に行ってからも、その夢は頭から離れず

ずっと居座り続けた

「、、とう、伊藤!!」

「はい!!」

突然名前を呼ばれ、思わず立ってしまう

「立たなくても、いいから

 305ページの解を読んで」

「はい、」


「伊藤くんさっき何考えていたの?」

隣の斉藤さんがにやけながらこちらを見てくる

「別になにも、、、」

「あ、そうそう

 お父さんがね、腰まだ痛くて店は無理そうなんだって!」

「そっか、わかった」

「で、店開くのは無理だから、君にパンの作り方を教えるって!」

「え?」

「で、今日帰り店に寄って欲しいんだって

 だから、一緒に帰ろ!!

 以上!」

「え、待って」

「ん?何か予定でもあるの?」

「い、いや無いけど、、」

「じゃあ、いいじゃん」

「その僕みたいな根暗なやつと一緒に帰ったら、

 変な噂がたっちゃうよ?」

「え?あぁ、私そういうの気にしないタイプだから!」

そう笑いながら言った斉藤さんはまるでいつかのスイのように見えた、、


「はい、連絡事項は以上!

 皆気をつけて帰るように」

ホームルームが終わり、皆帰宅し始める

「さ、伊藤くん帰ろ!」

斉藤さんは周りを気にすることもなく、笑顔でそういう

「え?あの2人付き合ってんの?」

「望美あぁいうのがタイプなんだ

 引くわ~」

周りからうっすらとそういう声が聞こえてくる

「さ、斉藤さんその、周りに聞こえてる、、」

「ん?私気にしないから!

 影でしか発言できない人なんていないのと一緒でしょ

 さ!行くよ!!」

彼女は強引に座っていた僕の手を引っ張り教室を出た

全く似すぎだ、、、


「たっだいまーー!

 パパ、伊藤くん連れてきたよ~」

彼女のそこそこ大きめの声が聞こえ、

奥から腰を擦りながら店長がでてくる

「いや~、悪いね、伊藤、、くん、」

ん?店長の目がなぜか鋭くなった

「伊藤くん悪いが今の君の実力じゃ、まだ店を譲ることはできないよ」

なんのことだろう?

店長の目線の先を見ると、彼女の手と自分の手が繋がれたままだった

「ぉわ!!」

思わず、繋がれてた手をほどく

「あ~、握ったままだったね

 もしかしたら、すれ違った人達

 全員私達を見てラブラブカップルって思ったかもね」

なぜか斉藤さんはニヤニヤしている

「な!さっきも言ったが、伊藤くん!!

 娘をやるには君はまだ未熟過ぎだぞ!!」

「い、いやいや、そのへんは大丈夫です!店長!!」

「店長じゃない!これからはお義父さんと呼びなさい!」

「え~」

どっちなんだよ~

横を見ると斉藤さんはやっぱり笑ってる

何がおかしいんだ?

ことごとく彼女はスイによく似ていると思った

スイもよく意味のわからないタイミングで笑ってた

てんちょ、、、お義父、さんに教えられて、

まずはあんパンを作ってみた

そしてそれを斉藤さんとお義父さんで味見する

「ん~不味い!!」

と、斉藤さん

「パンの水分量が多すぎるんだね

 食べてみて」

とお義父さん

そこまで言われる僕の初パン

一口食べる

「うぇ!まず!」

生焼けと言うかなんと言うか、ネチョネチョだ

二回目、、

今度は水の量を若干減らし、温度も少しだけ上げた

「うわー、今度は硬いよー

 石パンだ!」

と斉藤さん

「今度は水が少な過ぎるね

 あと、少しあんこの量少ないかな」

「すいません!

大事な材料なのに!」

「アハハ、いいよ

 未来への投資ってやつだよ!」

未来への、投資、、

「そろそろ切り上げよっか

 伊藤くんも勉強しないとだしね」

時計を見れば、もう19時になろうとしていた

「はい、では失礼します、」

「伊藤くん、また明日ね!」

「うん、また明日」

外に出ると、空はほんのり明るく太陽と月が同時に見れる空模様だった


一週間後の火曜日

お義父さんの腰が治り、店が再開し、お客さんもいつも通りに来た

厨房では久しぶりのパン作りで楽しいしているのか

お義父さんも笑顔でパンを作っている

「次のお客様どうぞ~」

いつも通りにレジをしていると、見知った顔の女性が2人

「うわ、ほんとうに働いてるよ~きもっ!」

「なに?伊藤、あんた望美とできてるの?」

クラスで斉藤さんとよく話している女子だった

「クリームパン2点とあんパン1点ですね

 合計500円になります」

「おい、無視してんじゃねーぞ?

 陰キャのクセに!」

「だいたい、望美はあんたのこと好きじゃないからな!

 勘違いしてんなよ!!」

勘違いしているのはどっちなんだろうか、、

「えっと、名前は存じ上げないのですが、僕はここでバイトとして

 働かしてもらっているだけで、

 斉藤さんとのそのような関係はございません

 他のお客様のご迷惑になるので、

 早く支払いしてもらって大丈夫ですか?」

一応、いち店員として間違ったことはしてないはず、、

と思っていたが、

「はぁ?お前まじふざけてんの!?」

なぜか彼女達は逆上した

周りのお客さんもこちらを見て、コソコソとしている

はぁ、どうするべきかと思った時

「え、ちょっと、2人ともなにしてんの?」

斉藤さんが店の様子がおかしいことを、察知し来てくれたみたいだ

「望美!なんであんたの店にこんな陰キャが働いてんのさ!」

「そうだよ、こんな店員がいたんじゃ、

 あんたのとこの売り上げ落ちちゃうよ、」

2人が必死に説得しようとしている斉藤さんの顔は

どんどん険しくなっていく

「2人とも出ていって

 お客さんにも迷惑だし、」

静かに斉藤さんは言う

「なに?あの陰キャの肩持つわけ!?

 やっぱあんたら出来てんでしょ!

 きもちわる!

 ほら、涼子帰るよ!

 こんなキモいやつの店のパンなんて食えない!」

「だね、望美幻滅しちゃったよ」

そう、捨て台詞を吐き2人は帰っていった

とりあえずお客さんに謝らないと、、

「、、、照くん」

パン!!!!!!

「え、」

何が起こったかわからなかった

右頬が熱くなった

「なんで、、言い返さないの?」

「え、、斉藤さん?」

「なんであんたはあそこまで言われて、何も言いかえさないわけ!?

 悔しくないの、自分が訳もわからない人に馬鹿にされて!」

どうやら彼女はあの2人の「陰キャ」や「キモい」などの

僕に対する暴言に怒っているようだった

「いや、まぁね、事実だし、、

 落ち着いて

 お客さんの前だし、」

とりあえずお客さんを待たせているという事実があるため

斉藤さんを笑ってなだめようとした

しかし、、、

「おーい!男が逃げんな!!」

「そーだ!そーだ!」

「女泣かせてんじゃねぇーぞ!!」

なぜか僕への鋭いヤジ

お客さんからだった

どういう状況だよ、これ

その後「伊藤くんレジは任せて望美と話してきなさい」という

お義父さんの言葉によりなんとかあの空間から抜け出すことができた

「えっと、斉藤さん?落ち着いた?」

「、、、、うん」

まだ少し泣いている

人のため、しかも僕のような人間のために泣くなんて

「そのさっきはありがとう

 僕のために怒ってくれたんだよね」

「、、まぁ、そうだけど

 照くんにも少し怒ってる、、」

「反論しなかったことだよね」

斉藤さんは静かにうなずく

「、、ごめん」

「うん

 僕もごめん」

「うん」

その後、冷たい沈黙が残る

この空気感少し苦手だ

「そういえば、斉藤さん、、」

「ねぇ、名字呼びやめない?

 もう友達、なんだし」

友達、、なのか?僕らは、、

「じゃ、じゃあ、望美?」

「照、、」

その後、また沈黙

なんだろう、気まづい、、

「どーだ!望美~泣き止んだかー!?」

という言葉でその気まづい空気から解放された

望美はなぜか怒っていたが、、

         ・

         ・

         ・

「やぁ、」

「久しぶり」

スイのいつもの挨拶に落ち着きを覚える

「どうだった?紅さんとは」

「、、、大丈夫だったよ」

気のせいか、スイが一瞬険しい顔になった

「そっか、泣きつかれなかったんだね」

「う、、ん」

やはりだ

スイと紅さんにはなにか、それも悪いことが起きたんだ

「どうしたの?

 さっきからちょっと様子がおかしいよ」

「、、怒らないって約束できる?」

なんだその質問は?

「できる」

僕はスイとしっかり向き合い、彼女の目を見つめながら言った

「あのね、私が眠る原因になっちゃった出来事あったでしょ?」

「うん、あったけど、」

なんで今その話が出てくるんだ?

「あの出来事の原因は、夕姫が原因だったの!!」

「え、」

「私と照が一緒に帰った日に塾の帰り道だった夕姫が私たちのこと

 見てて、それで嫉妬してあんなことを言いふらして

 照をいじめの標的にしたらしいの、、、」

そんな、

あの日に紅さんもいたのか

でもなんで嫉妬なんか、、、

なぜかバイト中にきたあの2人組のことを思い出す

そうか、あの2人も紅さんも親友を僕に横取りされたと思ったんだ

だから、怒っていたのか

「それ聞いて私、夕姫にちょー怒っちゃって!

 だって、そんなはずないのに照をいじめるなんて、、

 それで照が苦しんで、あんなことに、、、」

スイの目から涙が溢れる

僕はただ呆然としてるだけ

「ごめんね、照」

それが彼女の最後の言葉だった

              ・

              ・

              ・

目が覚めると家の電話が鳴っていた

親もまだ起きてないし、しょうがないから僕が出る

「はい、伊藤です」

「伊藤くん!?」

スイの母親からだ

「どうしたんですか!?

 こんな朝早く、スイに何かあったんですか!?」

聞いた質問の解は帰ってこない

「今すぐ病院に行きます」

そういって電話を切り、着替えて病院へ向かった


病院へ向かうとスイの母親と父親がいた

「伊藤くん!」

スイの母親が駆け寄ってくる

「スイの容態は!?」

「今日の朝、逝ってしまったよ」

後ろから静かにスイの父親が言う

相変わらず低くて優しい声だ

「逝ってしまった、、

 あ、ぁぁ、、、」

理解が追い付かない

スイが死んだ、、?

僕はその場に崩れ落ちた

そして、泣いた

大声で泣いた

病院の廊下に響き渡る位

廊下に水溜まりができる位

スイの母親は僕を優しく抱き、背中を擦ってくれた

高校生にもなって恥ずかしい、、、

しばらくして、落ち着いた僕はいったん帰らされ

その日は学校を休み、1人ベットの上で泣いた


今日は彼女とのお別れの日、、

額縁には彼女の中学生の時の写真が飾られ、

その笑顔は夢でみた通りだった

どうやら、紅さんは来ていないみたいだった

僕と会うのも、スイの両親と会うのも気まづいのだろう

今、正面に置いてある棺の中にスイはいて、

ほんの数時間で灰になってしまう

人はこの世からいなくなるときは、1人なんだな

遺族の焼香が終わり、僕の番になった

棺の中のスイを見る

とても安らかに眠っている

こう見ると急に起き上がって、「照!」って言いそうだ

涙が浮かび上がってくる

でも、君のお葬式で涙なんか見せたら

夢に出てきた君に怒られてしまう

線香を立て、後ろへ下がる

式も一通り終え、後は遺族が残って

スイの遺体を火葬場へ持っていき火葬するだけとなった

僕も帰ろうとすると

「伊藤くん、出来れば最後までスイを見守っててくれないかな?」

と、スイの母親に言われた

「良いんですか?」

「うん、その方があの子も喜ぶと思う」

「じゃあ、お願いします」

火葬場へ行き、

火葬されたスイの骨を見る

なんとも言えない喪失感に襲われる

スイがもうこの世にいないとわかってしまう

自覚してしまう

その後、スイの親に家まで送ってもらう

車内はとても静かだった

家に帰るとある一つの手紙が届いていたと親から聞いた

この時代に手紙?と思ったが本当に来ていたのでよんで見ることに


〔拝啓 伊藤照様〕

私はあなたに謝らなければなりません

私の勝手な思い違いで、あなたがいじめを受けることになり

あの事故が起こってしまいました

いくら反省しても、悔やんでも

私は償いきることができません

夢で彼女、スイに会いました

私はとても嬉しく、彼女もとても喜んでいたのですが

私の愚行を知った彼女は怒り、悲しみました

そして私にこう言いました

「照にお別れを言いに行く

 照は夕姫にちょー怒るかもしれないから、

 気をつけてね

 バイバイ

 ありがとう、夕姫」

と、私はその言葉に涙が溢れ出しました

私はこの街から離れ、新たな道を生きようと思います

自分勝手ですいません

本当にごめんなさい

               紅夕姫


そこで手紙は終わった

今さら反省文を貰っても、、

という感情しか浮かばなかった

封筒を見ると、もう一枚紙が入っていた

こちらも手紙のようだ


照へ

この手紙はなんと!寝ている夕姫の体を借りて書いています!!

フフフ、驚いたでしょ~?

君に伝えたいことがあったんだよね!

私は君が好きです!

それもとってもです

私はあの日のことは事故だと思っています

だって、そうでしょう?

車がギュイーンってきたら誰も避けれないって

だから、君は悪くないよ

大丈夫!自信持って

バイト先の娘可愛いんでしょ

積極的にアタックしなよ

私はあの世でその光景を見ています

嫉妬しちゃって、変なことおきたらごめんね

君は私のこと大好きだろうから

私が死んだら、泣き崩れてもう立てなくなっちゃうでしょ?

そのためにお願いして、私がいつ死んでも良いようにしてたこと

気づいた?

じゃあ、もうそろそろ夕姫に会いに行かなきゃ

またね、照

              スイより


スイからの手紙、、

駄目だ、、

また、涙が、、

馬鹿っぽくて、元気で、それでいて人のために全力で優しい

君はどうしてこうも自己犠牲を払えるのか、、

僕は君のことをどう思っているか

そんなの知らないよ

でも、君といたあの日常もあの夢も

僕にとっては何よりも嬉しくて仕方なかった、

バイバイ、スイ


その後、なぜか望美に告白をされた

理由はわからない

でも、OKしてみた

紅さんみたいに新たな道で歩くことも大切な気がした

そして僕らが付き合ったことで、お義父さんは大喜び

一週間店でパン半額フェアを行う程に

学校ではそこそこ注目されたが、

もういじめられて折れるような弱い僕はどこにもいない

また会えるかな

君に、、、

スイレンの花が咲く頃、君は僕の夢の中で何を要求するんだろう

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