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青年はステータスを確認する

長らくお待たせしました。

「 ふざけるな! どうせドッキリかなんかだろ!! 」


 大樹の怒鳴り声が響き渡っている中、薄暗い石造りの四角い空間。

 

そこに俺とクラスメイトは立っている。

  

 空間の大きさは大きな体育館ほどあり

 壁には等間隔に並んだ松明

 床全面には中二病感満載の大きな魔法陣


更に一段上に上がってる場所に可愛いというより綺麗な少女と、全身に鎧を纏ってる騎士のような人達が10人程立っている。


 「 先ほどから言っているように、貴方たちは神に選ばれたんです 」


 「 だから! それが意味わかんないって言ってんの!! 」


 綺麗な少女に詰めかけるように大樹が先程から怒鳴り散らしているが、少女は何処吹く風のように平然としてる。が、周りの騎士のような人達は大樹を睨みつけている。

 

 ただそんなことに気づいてるのはおらず、他のクラスメイトが何人か、大樹と同じように詰めかけ問いただしている。

 

 そんな大樹達を静かにするためか、少女の回りにいる騎士のような人たちが大樹たちから少女を守るように壁を作る。


 ただ大樹はそれでもお構いなしに、顔を真っ赤にして更に詰め寄ろうとするも


 「 やめとけ 」


 輝夜が大樹に肩に手を置き、大樹を止めた。そして入れ替わるように、前に出る。

 

 大樹は輝夜に逆らえないからか、「チッ」と舌打ちをして渋々下がる。


一緒に騒ぎ立てていた人達もバツが悪そうにしながら渋々といった表情で下がる。

 

 「 正直このままでは話が先に進まないと思います。それは私達にとっても、そして貴方たちにとってもデメリットしかない。だからこそ、ここが異世界という証拠を見せてくれませんか? 」 


 大樹たちが素直に下がってくれたことに満足顔を浮かべながら、輝夜が少女に対して冷静に尋ねる。


 「 ・・・そうですね、分かりました 」


 少女はすこし思案顔を浮かべた後に、手を前に突き出す。


 その様子に皆が不思議そうにしていると

 その瞬間。少女が突き出した手の前に光り輝く球体が現れた。

 

 俺達は全員、少女の作り出した光輝く球体を見て、固まってしまう。

 

 逆にそんな俺達を見て、少女はどこか安心したような表情をし、周りにいる鎧を着た人たちは自慢げな表情を浮かべる。


 「 これが魔法です。あなた方異世界人は魔法のない世界から来るようなので、これで信じてくれるのではないでしょうか? 」


 「 そ、そうですね・・・。ここが異世界だというのは信じます。ですが、どうして俺達を呼んだんですか? どうして俺達なんですか? 」

 

 輝夜は引きつった表情をしながらも、少女に次々に質問を重ねていった。

 

 「 それは魔王が今から1年後に現れる。という予言があるからです。異世界人にとっては信じられないかもしれませんが、この世界の予言というのは、ほぼ100%の確率で当たります。そしてその予言の内容に、異世界から勇者を呼び寄せなければ人類は滅びる。というモノもありました。なので古代の文献から召喚方法を探し出し、今に至ります。またその文献にはランダムで召喚されるとも書いてありましたので、貴方たちが召喚されたのは偶然です 」


 少女はそこまで言うと俺達全員を見渡し、再び口を開く。


 「 このようなことを急に申し上げられても信じられないかもしれません。しかし、どうか・・・。どうか私たちを助けてくれませんでしょうか・・・ 」


 女性はそう言い切った後、不安そうな表情をしながら頭を下げる。

 それに少し遅れて周りの鎧を着た人たちも軽く頭を下げる。

 

 そんな少女たちを見て、クラスメイトは困ったような表情をしながらも、近くにいた人たちと話し始める。


 もちろん俺には話すような相手はいないため、始めからずっと隅で静かにしている。

 というよりも、クラスメイトは俺と関わろうとしないし、俺自身クラスメイトと関わろうとしていないため必然的にこうなったのだが。

 

 これからどうなるんだろうなぁ~。とりあえずクラスメイトと関わらない場所で静かに暮らしていきたいなぁ~。

 

 俺がそんな事を考えていると

 こんなバカげた話を信じていいのか。どうして私たちがそんなことをしなければならないのか。元の世界に帰らせてほしい。

 といった声が所々からあがる

 

 「 あぁ~・・・。そういえばそうじゃん。・・ハハ・・・ 」

 今になって俺は、金のことばかりの両親。自分のことしか考えていない先生。消えてほしいと思っていた人達が全員ではないが数人消え、もう会わなくていいんだと思い、ついつい笑みがこぼれてしまい、慌てて手で口元を隠す。

 

 ただ、自分を陥れた輝夜や、大樹を筆頭に暴力をしてきた人たちがまだいるから安心はできない。

 どうにかしてコイツ等から離れる方法。

 最悪、誰にもバレずに殺す方法が無いかと考えていると


 「 私たちが元の世界に帰るには、一年後に現れる魔王を倒さないといけないんですね? 」


 「 そうです。心苦しいですが、ここに呼ばれた以上戦う事しか選択肢はないんです。だからどうか、お願いします 」

 

 「 ・・・分かりました。ただ・・戦うかどうかは一人一人で決めさせてもらってもいいですよね? 」

 

 「 そうですね。戦ってくれる人がいるのであればそれでもかまいません。ただ・・・。勇者様方はそれぞれ強大な力を保持することになります。そのため何かと色々な問題に遭遇してしまうことも少なくないと考えられますので、それなりの()()や制限が強制されます。しかしそれでは勇者様方に申し訳なく思ってしまう。そこで私達の誠意として、叶えられることは()()()叶えようと思っています 」


 「 わかりました。そう言うことは僕の方から皆に後で説明しておきます 」


 「 ありがとうございます 」


 どうやら輝夜と女性の間で、色々と決まってしまったようだ。

 しかしそのことに対してクラスメイトは何とも思っていないのか

 逆にさっきまで不安そうにしていた人たちまでも、どこかやる気を出している。

 

 さっきまで不安そうにしたくせに。一体何を考えたんだか・・・。

  

 「 それでは皆さん。遅くなりましたが、ようこそ異世界へ。私はこの国の第一王女、アリス・ウスベニア・マリと言います。どうぞ、アリスと呼んでください 」


 アリスさんはそう言うと軽くお辞儀をする。

 クラスメイトの殆どは、王女様ということに驚きを露わにした。

 ただ中には王女と聞き、目を光らせる者もいたが。

 まぁ、どこのだれかとは今はどうでもいい。何故なら


 「 では今から、ステータスの確認をしてもいいでしょうか? 」


 ステータス!さっき輝夜とアリスさんの会話から聞こえて来たが、ワクワクしてしょうがない!!

 だってもしかしたら皆より強くて俺の前に跪かせることが出来るかもしれないやん!!


 「 ステータスですか? 」

 「 はい、そうです。レベルやスキル、そしてその人の身体能力が表されるようになっているモノです。こちらにある水晶に手をかざしてもらえれば、自分のステータスを確認することが出来ますよ 」


 アリスは説明しながら、拳サイズの水晶玉を出してきた。


 すると輝夜は躊躇もしないでその水晶に近づき、触れる。


 その瞬間、輝夜の頭上にアルファベットや数字の書かれた液晶画面のようなものが現れた。

 

 《名前》 ジンノ カグヤ

 《レベル》1

 《生命力》C

 《力》C   《器用》C

 《耐久》C  《幸運》C

 《魔力》C  《耐異常》C

 《敏捷》C  《知力》C

 《スキル》 憑依(アーサー王) 言語理解


 「凄いです!魔物と戦ってもいないのすべての値でCだなんて!」


 アリスは輝夜のステータスを見て、今までの落ち着いた表情とは打って変わって興奮した様子を見せた。

 ただ、ステータスの概念がない俺達は何がすごいのか分からずにいる。


 「 あぁすいません、ステータスについて説明してませんでしたね。まずレベルですが、自分よりも強い相手を倒す、または大きな困難を乗り越えると上がります。そして《力》などといったステータスは、まぁそのまま言葉の通りの意味です。《スキル》ですが基本的に最低でゼロ個、最大で五個だとされています。ステータスランクは最低がR、最大がS。普通は魔物と戦っていないのであれば、一つでもEランクのものがあれば優秀なんですが、流石勇者様ですね! 」


 アリスの説明を聞いた瞬間、俺を抜いた男子達は、我先にと水晶の下に向かいだした。

 きっと輝夜みたいに褒められたいのだろう。

 アリスさんは長髪で金髪。まるで空のように綺麗で澄んでいる青色をした瞳。身長は160あるかないかぐらいで、どこか守りたくなるような可愛さも持っているしな。

 

 それか最強の力を自分が持っているかもという期待からか、まぁ、俺は静かに待って最後にいけばいいかな。

 というか、最後じゃなければ皆に何をされるか分からんから。



 ただ結局、男子達は次々に自身のステータスを見ていくが輝夜に勝る人はいなかった。

 

 ただ大樹は、器用や知力といったモノがEだっただけで、それ以外は輝夜と同じCランクだった。


 男子が終わった後は女子たちがやって行ったのだが、やはり誰も輝夜と並ぶようなステータスを出す人はいなかった。


 そして俺以外の全員のステータスチェックが終わり、俺はアリスさんの元にやってくる。


 俺は緊張しながらもその水晶に手を当てる。


 もしかしたらラノベ主人公のように最強の力を得ることが出来るかもしれない。最強でなくても輝夜たちを圧倒出来る力があるかもしれない。そして、何にも縛られず静かに暮らせるかもしれない。


 そんな「もしかしたら」のことを考えながら表示された液晶画面のようなモノに目を向ける。


 その瞬間、体から力が抜けていく感覚がした。

 

 あぁ、やはりこの世界でも神は俺を見放したんだと。

 また力あるモノに支配されてしまうのだろうと。


 そしてそれを肯定するかのように、あちこちから笑い声が聞こえて来た。

 


 《名前》 カサイ シン

 《レベル》1

 《生命力》R

 《力》R   《器用》R

 《耐久》R  《幸運》R

 《魔力》R  《耐異常》R

 《敏捷》R  《知力》R

 《スキル》 変態 言語理解


 ステータスランクがRという最低値と、変態という《スキル》。

 

 まさしく「死ね」と言っているかのようなこのステータスを、俺は恨むように睨む。


作者は豆腐メンタルなので優しい目で見てもらえると嬉しいです!

また少しでも「面白い!」「続きが読みたい!」と思った方は、今のところ不定期で更新していくのでブックマークしてください!


あと下にある★マークもお願いします!!

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