兄さまの婚約
スズラン兄さまは最近、とってもおかしい。
まず、私のことを全然からかわなくなった。
それどころか、みんなで食事をとるときもなんだか、ぼーっとしている。
最近は、食事を一緒に取ることも少なくっているので、たくさん聞いてほしいことがあるのに
食事をしながら、一生懸命話しても、
全然私の言うことを聞いていないみたい。
そういえば、家にもいることが少なくなって、
遠乗りにも一緒に行ってくれなくなった。
そう思っていたら、
なんと、スズランが婚約するとの衝撃ニュースを侍女のメローが教えてくれたのだ。
メローはすっごく興奮していた。
「スズラン様のお相手は子爵令嬢のミューレ様そうですよ。ミューレ嬢ってたしか、半年前に●×令息と婚約破棄したんじゃなかったですか?!いやーん。スズラン様ってば、相当情熱的にミューレ嬢に求婚したんってことでしょうか?!」
「・・・・・・」
そうだったのか。私は全然知らなった。
スズラン兄さまも私にはそんなお話一つもしてくれなかった。
そういえば、遠乗りにも一緒にいってくれなくなったのも
半年ぐらいまえからだったかも。
髪をくしでとかしてもらいながら、
私はぼーっとそんなことを考えていただけだったのに、
メローが突然手を止めた。
「お嬢様、どうしたんですか?スズラン様のご婚約がショックだったんですか?」
ひどく慌てて聞いてきた。
私は否定しようと口を開きかけたけど、
目の前にある鏡は私の泣き顔。
これはもう、ダメなときだ。
慌てて、鏡の前から離れて、ベッドにもぐりこんだ。
「大丈夫、なんでもないから。一人にさせて」
そういうのが精いっぱい。
ありがたいことにメローは何も言わず出て行ってくれた。
スズラン兄さまの婚約はとても嬉しいことなはずなのに。
スズラン兄さまが幸せなら、わたしも嬉しいはずなのに。
こんなに悲しくてさみしいなんて、間違っているのに。
そう自分に言い聞かせても、涙はでてくるし、
ちいさく悲鳴をあげているような声しか出てこなかった。
3階フロア全部を私の部屋にしてくれたのを初めて母様に感謝した。
ここで泣いても誰にも聞かれてることはないもの。
そう思ったら、余計泣きたくなってワンワン泣いた。




