作戦。作戦、か……あるのかそんなもの
久々にこっちの方を投稿した気がします。変なものをかいたりしているせいで時間が足りない日本に比べればましな気がしますね。とはいえさすがにこの量は辛い。
フィリピン限定ですかねこちらも。レクイエムとかが片付けば入る感じになりそうです。
次の日。
「なあ、ラファエル?」
「ふむう……?」
まだ半分以上夢の中にいるみたいだが、時間はない。
「俺は、さ。この世界を壊そうと思ってるんだ」
しかし彼女は驚いたそぶりも見せない。
「りょーかい」
いまだにねむたげだが、そう答えた。まるで、予測していたかのように。いや、予測していたのだろうな。
「いいのか?」
「うん。うん? うにゃ、うん。そーするしかないんでしょ? それくらい私にもわかるもん」
「そうか。――ならこれから作戦を伝える」
「うみゅ――痛ぁい、舌かんだぁ」
ねぼけているのか、それとも素なのか正直分からないが、果たしてこの天然と俺で世界は壊せるのだろうか。
とにかく、俺が彼女に伝えた「作戦」は。
どっちかの国に侵入する。んでもって協力者を探す。
ある程度の人数が集まれば、クーデターを開始。内乱を起こす。
恐らくそのタイミングで敵国が攻めてくるので離脱。
力を弱め、後々叩く。
とはいったものの。
「いや、協力者とかいないでしょ」
ぐさ。知ってた。いやまあ、俺もそう思う。不可能だ。
「そうだな。ただ一つ言っておく。別に人に見えるものを使えばいいんだよ」
「人に見えるもの――って、あれ? でもそれって」
「ゴーレム、だ」
ゴーレム。名前は聞いたことがあるだろう。しかし基本的に岩石からなるそいつは人間に似せるのは難しい。あとついでにクーデターを起こせたとして、人間は二人だけ、ってのもばれたらまずい。
「いや無理無理。ぜぇーったい、無理ぃ! 岩石だよ、どうやって!」
「――まあ、無理だろうな」
あっさりと俺は肯定する。
「そんなの作戦じゃない!」
うん。そうですね。はい。
「ま、今のは冗談だ。――逆に言おう、もはや作戦とか言ってる場合じゃないってことだ」
「む……」
しかし戦闘もなかなか行われないとなるとなあ、戦場に出てって両方を壊滅させるなんてのはできないし。
困ったもんだ。
何をどうしろって。
いや待て。
俺たちを生み出した奴を倒せばそれでいい。いいはずだ。一般人を巻き込まなくてもいいはずだ。
ならやはりあの作戦は――いや、だめだ。まず第一そんなことを考える奴は消されるだろう。
いや、消される。
現に俺もそうしてきた。
苦い記憶がよみがえる。できれば思い出したくはなかったが。
「やっぱ作戦とかはねえな」
「そりゃそーでしょ」
なら、できることは。
「正面突破だな」
「……そういう、ことになるよね」
バカらしいわ。わかってはいたけどさ。
「いいのか?」
「うん。いや逆にいいや、って答えたらどうするつもりだったの?」
「さあな? そんなことは知らん。じゃあ、行きますか?」
「うん」
そして俺たちは歩き始めた。反対方向に。
「「え?」」
期せずして声がそろう。
俺は《機人》の国へ。
彼女は《刻者》の国へ。
ああそうか、さすがに仲間は殺したくねえよな。
「わかった。先に俺の国から行くか」
「本当に、いいの?」
「ああ」
結局後でも先でも変わらん。
俺はそう思う。
だから俺は彼女の手を取って。
「行くぞ」
「うん」
どことなく決意を固めたように見えるラファエル。
果たして彼女はついてこれるのだろうか?