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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゾンビ気功

作者: セロリア

日本。


閉ざされた甲子園球場。


ゾンビに取り囲まれている。


甲子園球場の高い壁をゾンビ波が押し寄せ、まあまあ中に溢れていく。


甲子園球場の中には野球のキャッチャーの格好の老若男女が短い斧と長い斧と使い分けながらゾンビと戦っている。



老若男女222人VS老若男女ゾンビ7千万人。


その中で二人、明らかに別格にゾンビを倒している男性らがいる。


主人公社会人、眼鏡の上からジェイソン鉄仮面プラスライダースーツ、プラス、キャッチャーアーマープラス、極太日本刀二刀流。


主人公、皆の師匠のホームレスお爺ちゃん、短い柄の両刃槍プラス狐の仮面、プラス、ライダースーツ、プラス、キャッチャーアーマー。


武器、アーマーは全て気功で強化され、まるで豆腐のようにゾンビ共を切っていく。


ここにいる人間達全員気功を使えている。


師匠「いいぞい、いいぞい、はっはっはっはあ!」


主人公社会人「〈ズバズバ〉師匠!他の人達は時間がないんです、俺達が今の内に沢山殺らないと!」


師匠「解~っ〈ズバズバババ〉とる〈ズバン!〉わい!〈ズバズバババ・・〉」


目の前に大量のゾンビ波。


その波に日本刀を差し込んでいく。


柔らかい豆腐のように一気に6人ゾンビを切ってくれる刀にほっとする。


しかし、気功が解ければあっという間に切れなくなり、死が待ち受ける。


実践の中で強化し続けるのは至難の技。


始まって5分、既に味方の何人かは殺られたようだ。


キャッチャーアーマーごと、主人公と師匠が切っていく。


鉄でも問題なく切る。


切れ味は少しも落ちていない。


師匠「ぶれるなよ!集中じゃあ!」


主人公「はい!」


ゾンビ波はまだまだ始まったばかり。


澤野弘之のBGMが大音量で放送室から流されている。


師匠「うおあああ、〈ズバアアアアアン!!〉」 動きの流れのついでに、大男のゾンビを下から真っ二つ。


主人公「うおおおおお〈ズバババババババ〉」 日本刀を横に並べて平均的な高さに、そのまま突進し、波が別れる続ける。


甲子園の屋根からもゾンビ波が降ってくる。


ゾンビがクッションになり、死なない。


格闘家のおじさん「ふうん!〈ドン!〉ふうん!〈ドン!〉ふううん!〈ドオオン!〉」 格闘家はナックル手袋を装備、気功強化、一撃一撃が大砲並みの威力、10数人ゾンビが一撃で粉々に吹き飛ぶ、動きは左回りで延々と、淡々と正拳突きを繰り出す。


それぞれあまり動くなという指示を受けていた。


同士討ちを防ぐ為である。


しかし、それ即ち、助けは来ないという事だ。


威力があればある分だけ、味方とは離れなければならない。


一人一人がそれでも大丈夫なよう、師匠から訓練を受けているが、それでも30分も持たないだろう。


師匠と主人公は外気、即ち自然の中に流れる地球、いや、宇宙の気を吸収しながら戦える。


しかし、それもかなりの集中力が必要となる為、味方を助けている頭の余力は無い。


最後は師匠か主人公か。


どちらかが、立っているだろう事は此処に準備した222人は理解していた。


それでも、戦う事を選んだ。


少しでも人類の役に立って死にたいと。


一回戦いが始まればゾンビ波は止まらない。


こそこそ戦う事は不可能だったのだ。


一匹に見つかれば雄叫びを上げられ、それにつられ、ゾロゾロ集まりだし、最後には波となる。


常に全力ダッシュ出来るゾンビ波だ、逃げ切れる訳はない。


デパートのデパ地下で真っ先に全ての肉に塩を刷り込み、ストーブで乾燥させ、腐る野菜は塩漬け、塩釜に放り込み、という風に師匠と主人公で暮らしていた。


そこに奇跡的に流れて来た人達を訓練していた。


5年経過し、食料も尽きてきたのだ。


選ばれたのは2354人中、気功の才能があった222人。


ロープの先に鎌を巻き、甲子園球場の壁を登っる222人の下から蠢く波。


大音量で音楽を流してから20分経過、残りの人類は15班に別れ、それぞれ違うデパートに行く。


まあまあ気功の才能がある者達が護衛しながらそれぞれの班は散った。


人類を逃がす、いや、延命させる為に。


犠牲になる覚悟の222人。


次々にやられていく。


波に押し潰されていく。


主人公「うおおおおおあああああ!!」出来るだけついでに助けていくが、助けた後は後ろを見る余裕は無い。


それは師匠も同じだ。


いつの間にか。



ゾンビ波《あああああああオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ》


戦っているのは2人だけ。


まだまだざっと5千万人以上。


師匠「そろそろ使うぞい!」


主人公「はい!」


二人は北と南に別れる。


ワイヤーがトグロ巻きにされ、置かれている。



主人公、師匠『くらえ、奥義、ワイヤー凪ぎ払い』《ボ!》一気に半径5Mにはゾンビが居なくなる。


グローブは最初からはめている。


徐々に徐々に円を広げていく。


ワイヤーの長さは予めに調べていた。


師匠に当たる心配は無い、思い切り振り回す。


師匠、主人公『うおおおおおああああありゃああああ!!』


この動きは気を大量に消費する。


ワイヤーは重い。


これに尽きる。


無になり、自然の気と完全に一致しながら振り回す為、心は機械になっている。


振り回す事以外は全く考えられなくなる。


手加減、仲間を気がける、そんな事は出来ないのだ。


師匠、主人公『・・ふー、すー、ふー、すー・・』


最早振り回す機械。


そしてー。





2時間後。





師匠が倒れた。



ゾンビに食われながら、自分で小さいナイフで眉間にブッ刺した。


3時間後。


膝を着きながら振り回す主人公。


汗だく、目下は陥没、ガリガリに痩せている。


4時間後。


まだまだゾンビ波は止まない。


振り回す速度が遅くなっている、一度にゾンビ波が消える円が半円ずつになっている。


5時間後。


ゾンビ波が遅くなってきた。


しかし、それでもまだまだ6000人。


主人公「ひゅー・・ひゅー・・ひゅー・・」 腕、足がガクガク震えている。



6時間後。



主人公「(あれ・・俺、何してんだろ?・・ええっと・・駄目だ・・何も考えられない、いいじゃないか・・、もういいよな?もう止めたいんだ・・疲れたんだ・・)」


甲子園球場の外に新しいゾンビ波が合流。


2万ゾンビプラス。


登り、甲子園球場に落ちていく新しいゾンビ波。


グラウンドに落ちていく、主人公に向かって走っていく。


《ボウ!!》 それを凪ぎ払う。


まだまだ来る、来る、来る。


《ボウ!ボウ!ボウ!》 一気に東西南北30人は消えるから、一度の円で120人は消えている。


が。


遅い。


円がゾンビ波の勢いに追い付かなくなってきている。


主人公「(あーあ、止めたいなあ・・でも・・止めたら駄目な気がするんだ、何言ってる?理由は?・・解らない・・でもとても大事な・・大事な事だった気がする・・疲れたなあ・・止めたいなあ・・でも駄目な気がする・・止めたいなあ・・寝たいよ・・でも駄目な気がする・・ああ・・ああ・・なんだっけなあ・・何で駄目なんだっけ?・・なんだっけなあ・・)」


新たにゾンビ波合流。


1万到着。


主人公「(そういえば、リンゴ?久しぶりに食べてみたいなあ・・ああ、たこ焼きも、ふふ、イカ焼きも、焼きそば、チャーハンとか?ああ、いいねー)」


主人公の外見は瀕死の患者のソレ。


既に自然エネルギーは取り込めていない。


自身の気を振り絞り、振り絞り、一振り、一振り。


主人公「(ああ・・お腹空いたなあ・・もう・・止めよう・・決めた・・もう止める、止めるぞ・・絶対止める、止めるもんね、・・・・駄目だ・・駄目だ・・止めたら駄目だ・・何で?お願いだよ・・もう疲れたよ・・死んじゃうよ・・・・・・駄目・・駄目・・駄目・・駄目・・ビールと焼き鳥食いたいなあ・・・・ああ・・もう死ぬ・・俺・・もうすぐ死ぬ・・ふふひひ・・・・死ぬ・・・・ああ・・死ぬんだ・・確かそれで良い筈だ・・嫌だ・・死にたくない・・死にたくない・・止めたい・・駄目だ・・何で?・・解らない・・止めたい・・解らない・・食べたい物は?・・他は?・・解らない・・もう止めたい・・駄目だ・・・・死ぬ・・死んじゃう・・それで良いんだ・・何で?解らない・・)」


悟りの目で回し続ける。


心なしかワイヤー速度が上がってきた。


主人公「(止めたい・・駄目だ・・止めたい・・駄目だ・・止めたい・・駄目だ・・止めたい・・駄目だ・・止めたい・・駄目だ・・)」


ゾンビ波残り6000。


主人公の額に縦の割れ目?


光る縦の割れ目が額に現れる。


主人公の身体のオーラが《バチチ、ビジジ、パチバシ!ビシ!バチチチ!》 電気?が走っている。


ワイヤー速度が《ボウ!、ホボウ!》明らかに上がっていく、どんどん上がっていく。


身体全体を使って回していたのに、両ひざを着きながら、縄を軽く回すように片手で、手首だけで回し始める。


主人公「(止めたい・・駄・・・・・・・・・・・・・・・)」


思考が止まる。


《バチジジイ!バチチチ!ピシイ!バジイ!パァン!ピシャア!チチチ!》


ワイヤー速度《ビョオ、ボウ、ボウ、ボボウ、ボボボウ!ボヒョオオオオオ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ》


ゾンビ波が次々と消えていく。


残り1000。


500。


100。


1。


0。


甲子園球場内は血の海。


その南に台風。


そして、《ピシャアアアアア!!ゴロロロ・・》いきなり空から雷が落ち、主人公に直撃。


地面が抉れ、土煙が晴れていく。


オーラで強化されていたからだろうか、身体は焦げていなかった。


安らかな顔だ。


《ポツポツ、ポポザザザアアアアアア》雨が降ってきた。


若いグループが恐る恐る入って来た。


若い女性「て!?天馬ああああ!!」 駆け寄っていく。


他の若い男女『天馬!、天馬!?、天馬あ!、まじかよ・・、これ全部?・・化け物じゃねえか・・、うっぷくせええオロロロ』


若い女性「天馬!?天馬!?息してない!息してない!」


人口呼吸準備。


若い女性「天馬・・ごめん、〈プチュ、フウウウウ、グ、グ、グ、グ、グ、フウウウウ、グ、グ、グ、グ、グ、フウウウウ》」


若い女性「死なせないから!自分だけ!楽になんてさせないんだから!フウウウウ、帰ってきて!フウウウウ、帰ってきてよお!フウウウウ、天馬!フウウウウ、天馬ああ!」


暫く繰り返す。


他の若い男女『・・』


まだまだ繰り返す。


他の若い男女『おい、もう、死んでるよ・・美歌、もう、止めなよ』


美歌「駄目!帰ってこい!〈ドン!〉」 心臓に正拳突き。


他の若い男女『おいおい!』


美歌「帰ってこおい!〈ドオン!〉」


《ザアアアアアアアアア》


雨がうるさい。


他の若い男女『お墓作ってやろうぜ・・、うん、そうだね、だな、英雄だ』


首を膝に乗せる。



美歌「無茶って言ったじゃん、・・馬鹿だね、・・逃げても良かったのに・・本当に馬鹿なんだから・・」 抱きしめる。


天馬「すーー、すーー」


美歌「え・・」


他の若い男女『さ、行くぞ、英雄は俺が持つ、何処に埋める?』


美歌「生きてる・・」


他の若い男女『は?』


美歌「天馬が!〈プルプル〉い、生きてあああああ!!あああ、うああん、うああああん」


他の若い男女『おい、早く基地に連れて行くぞ!早く運べ!・・・・・・・・」


5年後。


日本。


アメリカ国籍の巨大なコンテナ船と旅客船、海軍船、が横浜港に到着。


霧が深い。


食料を求め、寄港してきたのだ。


特に水。


皆弱っていた。


海軍艦長「絶対に音を立てるなよ〈ガガ〉」


港を25人の部隊がじわりじわり歩く。


部隊隊長「了解」


1「隊長!?隊長、こちらへ!これを見てください!」


じわりじわり駆け寄る隊長。


隊長「どうした?」


1「・・」 指を指す。


巨大コンテナ船にあらゆる言語で横一列に文字がペンキで書いてある。


英語「此処にはゾンビはいない」


隊長「は!?な!?」



霧の中から現れる一人の男性。



部隊『!?《ガチャガチャ、カキン》と、止まれえ!何者か!?」


髪を伸ばし、後ろでポニーテール、黒の半袖コート。


丸腰。



天馬「ようこそ、日本へ」



天馬の後ろの霧が晴れていく。



部隊に赤外線レーザーが大量に当たる。



隊長「な!?」



明らかに天馬の後ろには500人以上は居る。



天馬「良い子にしてれば、殺しはしない、同じ人類だ、仲良くやろう、あ!言っておくが、銃を向けたのはそちらが先だからな?」



隊長「・・」


部下達『隊長!?指示を!?隊長!?」 じりじり下がりながら請う。


隊長「・・」


天馬「後ろに水を用意した、飲むなり、洗うなり、好きにしな、またな《ザン!》」 足踏みの音が鳴り響いたと思ったら、500人は消えていた。


隊長「・・何だ?・・何なんだこの国は?」


霧の中には踏み込めず、水を船に持ち帰るしか出来ない海軍猛者達だった。








《END》



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