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人生交換後の二人の日常  作者: sho
それぞれの課題
9/19

【8】 もう一人の転生者 ~ケイの世界~

高校、の授業は、全く意味が分からなかった。特に、「数学」や「物理」。あれらは私の知らない概念を多く含んでいたし、第一、学ぶ意味を感じない。


先ほど、ヘレナに、放課後、屋上に来るよう伝えられた。私の調べたところでは、放課後は、家に帰る時間だ、と。どちらを優先すべきか悩んだ。相手がもしヘレンだったら、と考えると、無下にできないのは、最初から分かっていたけれども。



屋上、朝の雷雨を忘れたかのような太陽が、こちらを睨みつける。

「やっときたわね」

逆光でよく見えないが、あれは多分ヘレナだろう。

「何の用だ」

「あそこまでの大騒動起こしといて、よくもまあそんなことがいえたもんね」

「何の話だ」

「もう、こうすればわかる?」

「うっ!」

急に出現した魔力の感覚に、戸惑うテオ。ヘレナの周囲から、黒い影のようなものが渦巻き、周囲を暗く染めていく。

「なるほど、お前も魔術を使える、ということか。」

「そういうこと。あなたも気づいているでしょうけど、ここの人間は、魔術を使えない。」

「ああ、ちょうど今、気づいた。」

「私は、彼らを征服するためにここに来た、ってわけ。」

なるほど。言いたいことはわかった。次の展開も、読めた。

「自己紹介のために呼んだのか。」

つまり、征服のためには私は邪魔者、ここで倒そうというのだろう。

「単刀直入に言うわ。私の部下になりなさい!」

次の瞬間、テオの手から黒い「うで」が伸び、ヘレナをつかんだ。腕に掴まれたヘレナの周りから、暗い影が消えていく。

へたへたと座り込むヘレナ

「悪いな。魔力を吸い取らせてもらった。」

数秒のフリーズ時間のあと、飛び上がるように立ち上がったヘレナ

「ねえ! あんた! 卑怯よ、卑怯。私が一体何をしたっていうの?」

両腕を振り回して、屋上を走り回る。

「仲間になれって言っただけじゃない! 私は危害を加えるつもりなんて! 危害を加えるつもりなんて・・・」

「なかった、とでも言いたいのか?」

「・・・。あったけど。」

やはりそうだ。こいつは9割ヘレンだ。信用ならん。

「もういいわ! こうなったら、もう一度転生して・・・。」

「なあ、ヘレナ。魔力がなかったら・・・」

「ああ~!」

膝から崩れ落ちるヘレナ。

「おわりよ、オワリ・・・」

さすがにかわいそうになってきた。

「わかった、魔力を補充できるところに行こう、聖なる泉とか、あるんだろ?」

「あったらこの世界の人間みんな魔法使ってるわよ! ハハ、ハハハハハハ」

そうか、魔力の回収方法がないというのは気になる。早めに転生をし直すべきだろうか。しかし、日記のこともあるし・・・


ヘレネは壊れたように笑い続けている。まあ、これがヘレンなら5分も待てば冷静に戻るし、放っておくのが一番だろう。



そうだ、ヘレン。あいつはどうしているのだろうか。おれの亡骸はちゃんと保存してくれているだろうな・・・。


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