【3】 現状把握 ~テオの世界~
「魔法、使えるんですか?」
「もしかして、あんた、魔法を、知らない・・?」
ああ、僕もやっと理解した。ここは魔法が一般的な世界、僕がいた世界とは、まるっきり違うってことだ。
「でも、あんた、魔力がないわけじゃないみたいだよ?」
予想だにしない一言。いや、つまりそれは
「僕も、魔法を使えるってこと、ですか?」
「多分、そうだよ。あんた、いっぺん魔導学校行ってみなよ。」
期待通りの展開!もし魔法が使えたら、あんなことやこんなことが・・・
「・・・。何考えてんのかは知らないけど、案内するよ。あんた、ここのことは何も知らない、ってことだろ?世話してやる。私はヘレン、よろしくな」
「よろしくお願いします、ケイです!」
ヘレンははにかんで見せた。
「知ってるっての。」
あ、かわいい。初めて笑ってくれた、その笑顔は、ひまわりよりまぶしかった 。
外の風景は、まるで観光地のように賑やかで、綺麗だった。レンガの道や、遠くに見える風車は、絵本で見たオランダの風景を思い出させる。それにしても、若者が多い。
「ここは観光地か何かなんですか?二十代の若者に大人気!って感じですね」
「はっはっははは」ヘレンが大声で笑った。
「二十代の若者?そんなのいないさ、みんな二百五十は超えてるよ」
周りの目が痛い。しょうがないでしょ!だって、普通に考えたら、みんな二十代に見えるもん!
もう下手なことは言うまいと、心に誓った。
「じゃあ坊や、観光はおしまい、そろそろ飛ぶよ!」
心の準備はおろか、言葉の意味すら理解する前に、目の前に、巨大な建物が飛び込んできた。
「ここが、魔導学校さ」