【1】 見知らぬ部屋 ~テオの世界~
「ここは・・。」
気が付くと、そこは見知らぬ小屋だった。
「教室は、先生は?」
ベッドから起き上がる。手を見ると、何やら見覚えのないアクセサリーが。
「これは、僕じゃない・・・?」
「あれ、あんた、まだ転生してなかったの?」
何もない空間から、声が急に割り込んできた。反応が追いつかない。
「こっちにも後片付けってもんがあるんだからさ、死ぬなら早くして欲しいんだけど。」
「し、しぬっ?」
やっと目を上げたが、急に襲ってきたパワーワード。体が凍りついた。
少女は腕を組んで、続ける。
「おーい、テオ。まさか魔力が足りないとか?」
頭がショートしている。少女は首をかしげる。
そして、顔を覗き込むようにして、言う。
「あなた、テオ、なのよね?」
言葉が通じたことは、不幸中の幸いだった。
「ぼ、僕はケイです。」
「ふーん、なるほどね。」
「ごめんね、ケイ、って言ったっけ。うちのテオが。要するに、あんたは、テオと入れ替わっちゃったのよ。テオったら、転生魔法もまともに使えないなんて。」
理解が追いつかない。いや、現象は理解した、かもしれないけど。
「とにかく、あんたは元の自分に入れ替わり魔法を使えばいいってわけ。あっちの体にはテオが入ってる。あとでみっちり説教しとくから!」
一番の疑問をぶつけてみた。
「魔法、使えるんですか?」