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【16】 妹 ~ケイの世界~
「妹よ、話がある。」
「ひな、俺は、魔法が使える。」
「あー、はいはい」
宿題から手を離さないヒナ。こちらのは話など見向きもしない。
「私が昨日学校にいかなかったのは、このためだったのさ」
これを見ればヒナも納得する、差し出したのは、あの、水の瓶だ。
「そこに魔力が入ってるっての?」
「ああそうだ、さすが私の妹、察しがいい。」
「んで、なんなの、手品でも教えてくれるっての?」
明らかに興味を押し隠しているが、きっと、内面はワクワクしているに決まっている。
「魔術を使いたくはないかい?」
妹が、回転式の椅子をくるっとまわし、こちらを向く。
「あ、の、さぁ、勉強忙しいの、わからない?」
明らかに機嫌が悪そうな声で言う妹。はて、この世界において、魔法は、ある程度認知されているんじゃなかっただろうか・・・
「だいたい、最近お兄ちゃんおかしいよ?一人称変わるし・・」
ああもう面倒くさい
「すまんな! 妹よ!」
そう言ってテオは、詠唱を始める。そして、妹を床に押し倒し、体に手を近づけていった。